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2003.12.26

体験レッスン

新宿のタカシマヤ・タイムズスクエアのHMVのクラシック・コーナーに、座って聴ける試聴器が置いてありました。「あれ、こんなの前からあったっけ?」と思いつつ近寄ると、その試聴器にはサクソフォンのCDが入っていました。「素晴らしい」と思いつつ、よく見ると、なんとそのCDには『メリークリスマス・ミスター・ローレンス』が入っているではありませんかっ!! あ~、びっくりした。

早速試聴して、とても幸せな気分を味わわせて頂きました。須川展也さんもこの曲をCDで取り上げていた事は以前書きましたが、こちらのヴァージョンはさらに色々な楽器が使われていて、また違った雰囲気でした。それを吹いていたのはサイモン・ハラームという人。例によって、私は知りませんでしたが、最近のヨーロッパのサクソフォン界の帝王的存在の人なんだそうです。そうなんですか?(爆) 「こんな曲を取り上げるとは素晴らしい人に違いない」と思い(^^;)、この人の他のCDを探し、息が止まりそうになってしまいました。なんと、『ワルシャワ』を取り上げているCDがあったんです!! この渋い選曲、もうボウイ・ファンとしか思えません。すごい。こんな曲を演っているサクソフォン奏者がいたとは。あいにく、そちらの方のCDは試聴器に入っていなかったんですが、もう聴きたくて仕方ありません。よっぽど買おうと思いましたが、運悪く(良く?)スペースホッグ(90年代デビューのアーティストの中では一番好き)の新譜を見つけてしまったので、この日はそちらを購入し、サイモン・ハラームのCDは断念しました。まぁ、どんなにカッコ良く吹いていてもオリジナル・ヴァージョンにはかなわないと思うし……。

さて前回、更新の件で悩んでいる事を書きましたが、悩んでいる最中に教室(事務の方)から電話がかかってきました。やはりFさんは更新されないとの連絡でした。私が希望すれば、今期はレッスンを受けれるけれども、生徒が増えなければ、来期はもう教室自体クローズしてしまうとの事だったので、悩みに悩んだ末、結局更新は見合わせる事にしました。

とはいえ、やはりレッスンは受けたかったので、すぐに別の音楽教室に電話をかけてみました。以前書いた『The SAX』という雑誌にY社のサクソフォン教室(日本全国に教室を構えているあの会社です)の案内が載っていたのです。そして、無料体験レッスンの約束を取り付けました。我ながら素早い(笑)。

翌週、その音楽教室に行きました。が、ここの先生は……怖かった(^^;;;;)。
「クラシックの先生に習ってたんですか? うわー、やっぱり青箱(リード)だ。それダメ! 1箱に1、2枚しかまともなの入ってない」「リードいきなり付けちゃダメ! 舐めてからじゃないと!」「ネックにグリース塗らなきゃダメ!」「そのグリース良くない。手が汚れる」「マウスピース奥まで入れすぎ!」「このリード、先が欠けてるから、こんなの演奏会とかで使ったらダメ!」等々、ダメ出しの嵐。勿論悪い所は直して欲しいんですけど、私は蛇に睨まれたカエル状態になってしまいました。サバサバした方だったので、慣れれば良いのかもしれませんが、体育会系というか、言い方がややキツかったので、レッスンが終わった時は精神的にぐったりしてしまったのです。また、その先生はジャズの方との事だったんですが、なんだかやたら、クラシックに対して挑戦的な感じがして、ちょっと嫌な印象を受けました。なんでも、Y社では講師が集まっての研修会のような物があるそうなのですが、同じ曲を吹いてもクラシック出身の人と、ジャズの人とでは全く違うというんです。レッスンで『ウォーターメロン・マン』をやった話をすると、「あぁ、じゃ、きっとカッコ悪い『ウォーターメロン・マン』だったんだろうなぁ」だって(^^;;;;)。その先生はクラシックの方が吹く『ウォーターメロン・マン』を聴いて、「うわ~、そんな風に吹いちゃうんだぁ。それじゃ全然カッコ良くない」と思ったそうです。

しかし、その「嫌な印象」を覆す程の衝撃を受ける事になりました。「私だったら、こう吹きます」と言ってその先生が吹いて下さった『ウォーターメロン・マン』、これが本当に無茶苦茶カッコ良かったんです!! 「これが私が吹きたかったサックスだ!!」と思いました。
初めてサックスのレッスンを受けた日、私はやや戸惑いを感じました。「あれ、サックスってこんな音だっけ?」という違和感をおぼえたのです。

私はジャズやロックのサックスの音に憧れていたんですが、今迄習っていた先生方(お二人共)が出していた音はそれとは異なった音だったんです。でも、とにかくサックスに触れる事が嬉しくて感動しまくっていた私は、そんな事はすぐにどうでもよくなってしまいました。それに自分は「まともな音を出す」という事が課題だったので、クラシックとかロックとかそんな事をいってるレベルでもありませんでした。それに、最近は「クラシックのサクソフォンもいいなぁ」なんて思うようになっていました。ただ、その一方で、なんとなくクラシックのサクソフォンの音色は自分には上品過ぎるような気もしていたんです。「クラシックの先生に習っていたら、自分の出す音の目標もああいう物になるんだろうか」と、なんとなく考えた事もあります。この日、『ウォーターメロン・マン』を聴いて、その事をより強く意識させられました。

とはいえ、この体育会系の先生と私はあまり相性が良くないような気がしました。この先生に習う事は私にとってストレスを伴いそうな事でした。おまけに、テキストは同じ物を使うのに、全部最初からやり直し、少なくとも3ヶ月間(もっとかも)は新しい曲は絶対にやらせてくれないと言うんです。最初の先生は(当然ですが)、最初の3ヶ月はほとんど曲をやらせてはくれず、2人目の先生にも最初の3ヶ月は前の先生に習った事の復習をやらされました。それなのに、また3ヶ月、新しい曲やらせてもらえないなんて、そんなのってアリ?……イヤだーっ!!

とはいえ、この先生の『ウォーターメロン・マン』のカッコいい事といったら!!
最初に教えて下さっていた先生の吹く『ダニーボーイ』は本当に素晴らしくて感動したんですが、『ウォーターメロン・マン』に限ってはこちらの先生の方がカッコいいし、私が目指すものにも近い……。けれども、音楽は楽しむ物だと思うし、楽しくなくちゃイヤ。そして、この先生の元ではとても楽しめそうな気はしなかったので(むしろ苦痛かも)、結局申し込む事はやめてしまいました。

という訳で今回の体験レッスン、ややストレスは感じましたが、すごく良い経験になったと思います。「リードをなめる」というのは今後ぜひやりたいと思いました。そんな事をしたのは初めてなんですが、好みの音が出たんです。そういえば『The SAX』にも「ジャズ奏者はリードを湿らせる」というような事が書いてありました。逆にクラシック奏者は乾燥させるそうなんですけど。リードも「次は青箱(バンドーレン)ではなくて緑箱を買ってみようかな」なんて思いました。なんでも緑箱の方は「全部使える」んだそうです。「一箱の中で使えるリードは1、2枚」という話は前にも聞いた事があって、驚きつつも「そういうもんなんだぁ」と思ってはいたんですが、「全部使えるリード」があったとは……。でもクラシックの方にとっては青箱が定番で、そのリードがお気に入りという事なんですよね。クラシックの先生の前で緑箱のリードをなめてから使ったら、やっぱり怒られちゃうのかな……。

それにしても、もうY社の別の音楽教室をあたる気にもなれないし、どうしていいかわからない状態に陥ってしまいました。あぁ、早くすっきりした気分でサックスを吹きたいなぁ。

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