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2003.12.26

河原で吹いちゃった

波多江史朗さんのリサイタルに行って来ました。

以前、この方の演奏をタダで聴いてしまった話はこのサイトにも書きましたが、あの美しい音色を是非もう一度聴いてみたいと思っていたのです。波多江さんはホームページを持ってまして、これがとても興味深く勉強になるページなので、度々覗かせていただいています。そして、つい掲示板にも書き込んでしまったところ、とても気さくなレスを付けていただけたので、すっかり親近感を持ってしまいました。で、そのホームページからチケットを申し込むと割引があるとの事だったので、図々しくも申し込んでみたところ、丁寧なメールを頂けました。自分がサックスを習ってる旨は掲示板に書いたんですが、なんと「クラシックの先生を探しているようだったら、自分も教えているので気軽に声をかけて」というような事も書かれていました。「いい人だぁ」ともう好感度は抜群(笑)。リンクの連絡をしていないので、アドレスはここには記載しませんが、波多江さんのページはヤフーから検索できます。

さてそのリサイタル。内容はバラエティーに富んでいて、とても面白いものでした。オープニングは『カルメン幻想曲』。実は私、カルメン・フリーク(?)なのです。

スポーツ観戦が趣味の私ですが、中でもフィギュア・スケートが大好き。フィギュア観戦の為なら、サックスのレッスンも休んでしまう事は、このコーナーを欠かさずお読み下さっている方ならご存じでしょう。私をフィギュア・ファンにさせたのはカタリナ・ビット選手なんですが、彼女の十八番が『カルメン』だったのです。彼女はサラエボ五輪でも金メダルを獲っていますが、その時の事を私は朧気にしか覚えていません。けれどもカルガリー五輪のカルメンの演技は今でも脳裏に焼き付いています。本当にきれいでした。当時のライバル、デビー・トーマス選手もなんとカルメンを演りまして、カルメン対決となったんですが、見事ビット選手がこれを制しまして、「ビットといえばカルメン」となり、数年後にはフィルム化された程です。あれは氷上の音楽劇といえば良いのかな。氷の上にリアルなセットが組まれ、選手が氷上で音楽に合わせて演技をするのです。私はTVで見ただけなのでよくわからないのですが、映画だったかも知れません。当時の一流スケーター達が脇をかため、とても見応えのある面白い物だったので、ますます「カルメン好き」になりました。ビットは『ハバネラ』を美しく舞い、オーサーが華麗に『闘牛士』を決め、ボイタノが『衛兵』……という具合。素晴らしかったなぁ……。その影響か、その後も『カルメン』の楽曲を使う選手は後を絶たず、しかも私のお気に入りの選手がばしばし演るので、もう『カルメン』を聴くと条件反射で心が浮き立ってしまうようになりました。

そんな『カルメン』がミュージカル化(『カルメン・ジョーンズ』)されたと聞き、この来日公演を勇んで見に行き(ミュージカルとはいえ、主役はオペラ歌手でした)、日本版の大地真央さんの『カルメン』もTVでですが、チェックしました。バレエもガラでなら見てるという具合です。ただ肝心のオペラを見てないのでカルメン・フリークというにはクエスチョンマークを付けざるを得ないんですが。

話がかなりそれました。つまり大好きな『カルメン』を大好きなサックスで聴けるというのが、とても嬉しかったのです。幸せな気分でした。ピアノ1台とサックス1本による『カルメン』。こう書くと「それはちょっと淋しいんじゃ…?」と思われそうですが、そんな事全くなかったなぁ。アレンジというかアイディアも見事なんでしょうけれど、波多江さんの演奏はやっぱり素晴らしくて、本当に感動しました。前にも波多江さんの美しい音には驚いたんですが、自分で吹いてると「あんなきれいな音が出る楽器だ」という事実をつい忘れてしまうので、時々ああいうのをじっくり聴く必要があると思いました。私はテナーに憧れてサックスを練習するようになったわけですし、どちらかといえば「低音好き」だったんですが、波多江さんの出す音は特に高音が美しい。そういえば、須川さんも高音が印象的でした。クラシックのサックスでは高音の美しさに驚かされる事が多い気がします。

あと印象的だったのはインド音楽。サックスでインド音楽をやるというのがとても新鮮で、興味深く感じられました。ちょっとクセになりそう。

前衛っぽい物もありました。私はあいにくそっちのセンスは全くないので、よくわかりません。「へぇ、こんな事やるんだぁ」という驚きで面白く感じる事は出来ましたが、「もう1度聴きたいか」と尋ねられたら、それに関してはノーかも。
とはいえ、全く飽きさせない構成と、色々な物に挑戦する姿勢には感心しました。クラシックのイメージを覆すようなリサイタルでした。

賑やかな打楽器とのコラボレーションによるラストに続き、アンコールはピアノ伴奏によるしっとり落ち着いた美しい曲で締め。自分がサックスで演りたい事というのが「バラード曲を美しく吹く」という事なので、やはりこういった曲の方を真剣に聴いてしまいます。超絶テクニックとかには、ほとんど関心のない自分本位な観客でした(^^;)。あ、でも前の音を出して、その余韻が残ってる時に別の音を出してたような部分があって、そのテクニックは気になるなぁ。

上手い人の演奏を聴くと、自分も吹きたくなるものです。というワケで、もう吹きたくて吹きたくてウズウズしてしまいました。あいにく、来週はレッスンが休みです。もう待ちきれない~っ! というわけで、リサイタルの翌日、ついに河原に飛び出してしまいました。爽やかな秋晴れで、家にいるのが勿体ないような素晴らしい天気だったので、じっとしていられなくなったのです。この河原、自転車で行く分には近いんですが、楽器を持って歩いて行くにはかなりの距離です。が、散歩好きの弟が私に付き合って楽器を運んでくれる事になりました。なんて優しい弟なんだぁ(感動)。河原に着き、人のいない所を探して、楽器を組み立てました。しかし「さぁ始めよう」と楽譜を出すと、なんと風で楽譜が飛んでいってしまいました。クリアケースに入っていたのが不幸中の幸いだったんですが、拾って汚れをはらうと、なんだか手が埃っぽくなってしまいました。「げ~、イヤだなぁ」。
風はおさまりそうにないし譜面台もないので、結局楽譜を見ながら吹くのは断念しました。「やっぱり外で吹くのは大変だ」と思いつつも、吹き出したら……「うわぁ、すごい気持ちいい!!」

暑くも寒くもないという快適気温に適度な風。気分はサイコーです。楽譜を見ながらではないので、あまり練習になったとは思えないのですが、とにかく楽しかったなぁ。弟が更なる散歩に行き、戻って来るまで、時間を忘れて吹きまくってしまいました。彼は以前にも私の演奏をちょっとだけ聴いた事があったんですが、「随分上手くなったね」と誉めてくれました。私は上機嫌です(弟に誉められて、そんなに喜んでいいんだろうか?)。彼は「前の音はひどかったけど、この音を河原で聴いてると癒される感じ。いい趣味だね。一生続けなよ」なんて事まで言い出しました。弟は私の音のマジックではなく、気候のマジック(ホント、いい気分になっちゃう天気でした)にかかっていただけかも知れませんが、そんな事を言われると、さらにやる気が出て来てしまうのでした。我ながら単純だ(^^;;)。というわけで、波多江さん、弟、ありがとう!!

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