新選組・斎藤一のすべて
「大河ドラマストーリー」と一緒に図書館から借りて来ました、『新選組・斎藤一のすべて』。斎藤ファンとしては無視できませんでした。
この本キレイだったなぁ。『燃えよ剣』と同じ図書館で借りたのですが、あちらはボロボロ、こちらはピカピカ。これに手を出す人は少ないのでしょうか。やっぱり新選組人気隊士といえば、沖田・土方がツートップですもんね。もっとも、これは2003年に出版された割合新しい本なので、読者が少ないのは当然といえば当然。
この本の最大の特徴は筆者が複数である事。
「色々な人の研究を読めば、偏見を持たずに済むかな」と思い手を出しました。
しかし、それが、この本の欠点でもあったのです。
というのも、一冊の中で矛盾がありまくりだから。
たとえば、「藤田五郎(斎藤さんの変名)という名は松平容保から授かった名であるのか、否か」、執筆者によって説が違います。どちらも、断言しているので困る(^^;)。
斎藤さんって、謎の多い人なんですよね……。
この本、斎藤さんの謎を提示した本という気がしないでもありません。結論は少な目で、「こういう考え方も出来る、ああいう考え方も出来る」とかそんな調子。「うーん、じれったい!! だから、実際の所はどうなのよ!?」なんて言いたくなっちゃう事も(笑)。
あとは、書き手によって読みやすさが違いました。すらすら読める部分もあれば、つまらなくて読み辛い部分もありましたねー。
「ページ稼ぎをしようとしているのでは?」と思われる部分も少々……。
わかっている事が、少ないんでしょうね。本にまとめるのに苦労したに違いありません。とはいえ、斎藤さんの事がこんなに書かれている物は赤間倭子さんの本以外では、そうそうないし、ファンには嬉しい本である事に間違いありません。
それに、2003年の発行だけあって情報が新しいです♪
たとえば近藤勇の試衛館のあった場所なんですが、古い本では市ヶ谷説と小石川説が載っているんですよね。しかし、この本では市ヶ谷と限定されてます。しかも「市谷甲良町1-20」と番地まで書いてありました。これには感動。
ただ、ネットで調べていたら「市谷柳町25番地」という記載もあって悩ましいところ。地図で調べたところ、この二ヶ所はすぐ近くみたいです。今度実際歩いてどの位の距離なのか体感してみよう(うぅ、またマニアックな事を)。
ちなみに私、以前市ヶ谷で働いてました。あぁ、私はとことん、新選組に縁があるんだなぁ(?)。
という事で、日々研究が進んでいるようなので、ノンフィクションは新しいものが良いですね。
「これからは、新刊をチェックしていかなければ」と心新たにした私でした。いつまでこの心意気が続くかわかりませんが。それに所詮図書館頼みなのよね(爆)。
この本の表紙、恐い絵だな〜(>_<)。
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コメント
はじめまして、富岡志郎といいます。幾つか異なる点が出てきておりますが。
藤田五郎の名を容保から授かったというのは、昔から語り継がれてきたことで史実ではありません。 高田移住者の人数も脱走者を含むか、とか何時の時点の人数なのかで3通りありますが皆、異なります。それと、柳町と甲良町ですが道を一本挟んでいるのみ。 確かに、今回の書籍には新史料などをもとに新たなことが数多く含まれております。
投稿: 富岡志郎 | 2006.11.23 02:16
それと、高田謹慎時に名乗ったのは「一瀬伝八」です。「一戸伝八」というのは、人名帳を活字化する時に誤って記録して活字したものです。その、誤りを世の中の人は知らずに使用しているわけ。執筆家や会津在住の方でも誤って書いているから世話がない。
投稿: 富岡志郎 | 2006.11.23 18:06
富岡志郎さん
はじめまして。
この本は昨年読んだのですが、その後無事柳町と甲良町歩いてきました。ホント、すぐ近くでしたね。
解説ありがとうございました。
投稿: YAGI節 | 2006.11.24 00:15
そして、明治20年まで試衛館跡は甲良町でした。20年以降に柳町と
変わるのです。ですから江戸時代の柳町というのは面積が^_^;
投稿: 富岡志郎 | 2008.04.20 02:01
富岡志郎さん
コメント、なぜか文字化けしちゃってたので、変換してみました。
名前は同じでも示している場所が違っていたり、同じ場所でも時代によって名前が違ったりするんですね〜。
ありがとうございました。
投稿: YAGI節 | 2008.04.20 15:03