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2005.06.10

誠の旗がゆく

新選組のノンフィクション物を立て続けに読んだので、また小説に戻ってみます。『新選組血風録』が面白かったので、再び短編集に手を出しました。という事で、今日は『新選組傑作選 誠の旗がゆく』について。

新選組傑作選 誠の旗がゆく14話収録されているのですが、全部作者が違います。

大河ドラマ『新選組!』で近藤・土方・坂本龍馬・桂小五郎が佐久間象山と黒船を見に行くシーンが印象に残ってます(「ありえない」とクレームが殺到した所みたいですけど)。
黒船を見て、「俺も乗りたい♪」と子供のようにはしゃぐ龍馬、敵対心を剥き出しにする近藤&土方、「暗澹とした気分になる」と言う桂、そして、全く違う三様のリアクションを見て面白がっている佐久間象山。同じ物を見ても、人はそれぞれ違う事を感じるものなんですよね〜。
で、この短編集もちょうどそんな感じです。14人がそれぞれ、違った視点から新選組を見ているのが面白い。主役もそれぞれ違います。

どんな感じかというと……

★ごろんぼ佐之助(池波正太郎)
原田佐之助が主人公。左之助の馬賊説が展開されてます。さすが、池波正太郎さん。こういうの読みたかったよ!!

★豪剣ありき(宇能鴻一郎)
芹沢鴨の暴れっぷりが描かれています。

★近藤勇の最期(長部日出雄)
「近藤勇は大久保大和と名を変えた時から変わってしまった」というような事が永倉新八の視点から書かれています。大河の近藤の方が好きだけれど、「実際はこうだったのかもしれないなぁ」と思わされます。小説だけれどリアル。

★武士の妻(北原亜以子)
近藤の妻・ツネの視点で描かれています。ツネさんって、ホント気の毒な人だよなぁ。やるせない(涙)。

★影男(シャドウ・ボーイ)(神坂次郎)
佐久間象山の息子の話。あの象山が、自分の子供には甘甘だったなんて!!

★隊中美男五人衆(子母沢寛)
新選組研究のバイブルとも言われる『新選組始末記』中の作品。
「美男五人衆」という言葉はよく見聞きするし、いかにも当時使われていそうな言葉ですが、子母沢寛さんが使い出した言葉なんですよね、確か。

★密偵(津本陽)
中島登の話。

★墨染(東郷隆)
近藤を狙撃した阿部十郎の話。

★巨体倒るとも(中村彰彦)
島田魁の話。生き残った永倉と子供の話に花を咲かせるシーンに、ほっとさせられました。

★総司の眸(羽山信樹)
沖田総司と山南敬助の話。「ようやく山南さんの話だ」と喜んだのも束の間、ここに登場する山南さんはイヤな奴で……。「こんなの山南さんじゃない〜」と言いたい所ですが、堺雅人さんも最初は「イヤな奴」として演じようかと思っていたらしいですね(^^;)。大河以前はあまり良いイメージじゃなかったのね。

★祇園の女(火坂雅志)
藤堂平助の話。平助が新選組を脱退したのは、あのせいだったのか!!(?)
リアリティは感じられませんでしたが、引き込まれる展開でした。

★夕焼けの中に消えた(藤本義一)
好きな男性(隊士)の為に、体を使って倒幕派の情報を集める女性の話。
こういう話は苦手だし、男性の小説家が女性の目線で書くという手法も苦手。

★雨夜の暗殺 新撰組の落日(船山馨)
佐野七五三之助の話。
大石鍬次郎がそれはそれは酷い奴に描かれています。
大河でもゲーム(幕末恋華・新選組)でも悪役だったけれど、ここまで酷くなかった。この小説での大石はどうしても受け付けられない。一番イヤッ!!(>_<)

★さらば新撰組―土方歳三(三好徹)
土方と近藤の流山での別れの謎に迫っています。
近藤は諦め、土方は諦めていなかったという見解には「なるほどなぁ」と思わされました。近藤が諦めてなかったら、旧幕府軍は勝てたかなぁ? いや、そんな簡単な問題じゃないか。

という感じで、有名な人から無名な人まで多角的に描かれていました。
でも……斎藤さん、出てこなかったよ。御陵衛士の話は結構出て来たのになぁ。

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