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2005.06.04

新選組日記

5月25日に紹介した、『新選組100話』は、読みやすくてわかりやすい、新選組の史実を知るにはとても良い本でした。しかし1981年に出版されたちょっと古い物です(文庫化されたのは1996年ですが、中身は変わっていないらしい)。
これ以降に発見された重要な文献といえば、平成十年に見つかったという永倉新八の『浪士文久報国記事』が挙げられます。

新選組日記永倉新八といえば、『新撰組顛末記』がありますが、これはおじいちゃんになった彼が語った事を記者がまとめたものなので、記憶違いや間違いも多いと言われています。
『浪士文久報国記事』は『新撰組顛末記』よりも若い時期に遺された物で、しかも永倉本人の筆によるものという事なので、そりゃ貴重ですよね♪
そんな『浪士文久報国記事』と、島田魁の日記を一冊にまとめた『新選組日記』という本を読みました。これも図書館から借りたのですが、キレイでした。新選組にわかファンが手を出すような本じゃなかったかも(^^;)。
上部には原文、下部には現代語訳が載っていました。当然私が読むのは現代語訳のみ(解説も付いているので、それは目を通しましたが)。というワケで、同じ厚さの本と比べると半分のスピードで読み終える事が出来ました。

感想ですが……
永倉の日記の方は、新選組に興味の無い人が読んだら全く面白くないと思います。新選組に興味があったとしても、一冊目にこれを読んだらキツいでしょう。本のタイトルこそ「日記」となっていますが、これは覚え書きみたいな感じです。自分の思いが綴られているわけでもなければ、文章が特別うまいワケでもなく(作家じゃないもんね)、素人の(しかも今一な)ブログを読んでいるような感じです。その上読みにくい。新選組好きだったら、「ああ、あの事件の事ね」とわかると思いますが、「軽く幕末好き」というレベルでは何のことか、ワケわからなくなっちゃうんじゃないでしょうか。
とはいえ、書いているのはあの永倉本人ですからね〜。永倉ファンは必読でしょう。「ああ、永倉さんって、実在したんだ(当たり前ですが)」という事をリアルに感じられて、不思議な気分になります。ドキドキします。

『燃えよ剣』を読んで以来気になって仕方ない藤堂平助の件ですが、ここでは平助は特に悪くは書かれていません(ほっ)。ただ、伊東甲子太郎に近藤殺害計画があった事を明記しています(斎藤情報ですけどね)。
斎藤といえば、『新選組100話』とゲーム『幕末恋華新選組』では大坂で船酔いした事になっていた斎藤さんですが、この本と『新選組・斎藤一のすべて』では腹痛になっている所が斎藤ファンの私としては気になるところ。ちなみにゲームでは「斎藤さん、船が苦手ですか?」と尋ねると「あの時はたまたま体調が悪かっただけだ」とムッとされてしまうのです(^^;)。確かに腹痛だったら船が苦手なのではなく、「体調が悪かっただけ」となるわけで……いや、どっちでもいいか(苦笑)。

島田魁の方も日記という感じではないです。回想録っぽい。
前半は永倉の物より読みやすいんですが、京都時代の事はすっごい簡単に書いてて物足りないです。「新選組ストーリー・超短縮ヴァージョン」みたいな感じ。会津〜函館時代はかなり詳しく綴っていますが、函館時代の人物名などが全く頭に入っていない私には逆にわかりにくく、それはそれで読み辛かったです。でも土方ファンなら楽しめるのかな?

島田も出来事を記述していくばかりで、自分の思いや、隊士の人となりがわかるようなエピソードなどは殆ど記していませんでした。
ただ、近藤が亡くなった時に「近藤公の死に臨む顔色は平生とかわりなく従容として死につき、見る者は涙をながして近藤公を惜しんだ。実に古今の無双の人傑である」と記してあったのは、なんだか嬉しかった。
箱館戦争時の土方が部下に慕われていた話も良かったです。
でも、それ位かなぁ。もっとそういう話が、載ってれば良かったのに。

そういえば、山南さん切腹の件がどちらの日記にも全く触れられていません。なんで?

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