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2005.06.26

幕末新選組

「へ〜、池波正太郎さんも新選組の小説書いてたんだ〜」
と、ちょっと意外な思いで興味を持ったのが、『幕末新選組』という作品。

幕末新選組<新装版>6月10日のブログで『誠の旗がゆく』の事を書いてますが、あれは「『幕末新選組』を借りに行ったら貸出中だったので仕方なく池波正太郎さんの別の作品を借りて来た」という次第だったのです。前日にインターネットで検索したら「在庫」となっていたので予約もしなかったのですが、行ったら貸出中でがっかりしたわけですが、『誠の旗がゆく』も池波さんをはじめとする、複数の作家の作品が一冊で楽しめる興味深い物だったので結果オーライです(苦手な作者もいたけどね)。
で、改めて予約を入れて『幕末新選組』を借りて来ました。

これは永倉新八が主役です。斎藤の出番が少ない事は予想していましたが、土方や沖田の出番もびっくりする程少なかったなぁ。そして意外にも藤堂平助の出番が多かったです。池田屋事件での永倉がカッコいい。そして、その後の永倉と平助の関係がかなりイイ♪

興味深かったのが、作者の天皇への思い入れが強く感じられた事。「天皇は悪くないんだよ」という事を殊更強調していたような。そして、天皇の事を書く時には文体がまるで変わるのです。もちろん、他の人の小説でも天皇については尊敬語などを使っているのですが、池波さんの場合はそれが際立っているというか。天皇のくだりだけ空気が変わってます。別の人が書いたのかと思っちゃう程。天皇をすごーく敬っているんだろうなぁ。その辺りに世代の違いを感じました。ちなみにこれはかなり古い作品で……あ、『燃えよ剣』と同じ頃の作品です。お、しかも『燃えよ剣』の作者の司馬遼太郎さんと池波正太郎さん、どっちも1923年生まれだって!! 同い年か。びっくりした。1923年生って優秀なんですね。

それとですね、これで私、新選組の長編小説(っていうか短編集を除いた物)は4冊読んだわけですが、ちょっとだけ面白い事に気づきました。このうちの2冊が男性作家、2冊が女性作家(半々ですね)の筆によるものなのですが、男性作家の物はどちらも女性の描写にかなりのページが割かれているのに、女性作家の物には女性があまり描かれていないのです。女性は女性の事、描きたくないんでしょうか?(笑) 恋愛ドラマは女性の方が好みそうなのに、新選組に関してはその限りではないのか?
まぁ、太夫に興味があるのは男性の方かもしれないけれど、『燃えよ剣』で描かれているのは武家の女性だしなぁ。うーむ、これはどういう事なんだろう? 若い女の子だったら、「好きな隊士に女性の影があるのはイヤ」と思うかもしれないけれど、作家の先生だったらそんな事思わないですよねぇ。
まだ4冊なので、これではサンプル的に少なすぎて結論は出せませんが。
それに永倉新八が主役だったら、やっぱりその筋の女性の事は不可避ですかね。

御陵衛士となった伊東甲子太郎が近藤に招ばれた時に斎藤が同行して来るっていう辺りの描写は異彩を放っています。これも昔の作品だからこその創作という事になるのでしょうか……。

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