新選組始末記
子母澤寛さんの本は、一見史実っぽいけれど創作部分も多いと聞いていたのでなかなか手を出す事が出来ませんでした。そういう本と、どうやって付き合って良いのかわからなかったもので。しかし、先月、壬生の八木邸(新選組屯所跡)を訪れて、「ここに子母澤寛さんが泊まり込んで八木老人に話を聞いて小説を書いた」という話を聞いて、急に読みたくなってしまいました。
で、お正月休みに『新選組始末記』を読みました。
さすが、「新選組本の原点」って感じです。
見た事ある部分がたくさんありました。「この話知ってる〜」というのではなくて、「この文に見憶えある〜」って感じ。つまり、ここから原文のまま他の本に引用されている事も実に多いんですよね。さすが古典(?)。
意外だったのは注釈が充実していた事。
たとえば池田屋事変については28ページにわたって述べられていて注釈が7つあるんですが、注釈だけで10ページ割かれています。そのうち吉田稔麿の項が2ページ、松田重助の項は3ページ以上という感じで、討たれた人の事がかなり詳しく書いてあるのにびっくりしました。注釈は本文より字が小さいのでかなり読みごたえあります。
これは、ゲーム『風雲新撰組』の「不逞浪士討伐帳」が好きな人にはたまらないんじゃないでしょうか(って一部の人にしかわからない話ですみません)。
これ、小説って感じは全くしないなぁ。
史実本みたいな感じで全部鵜呑みにしちゃいそうで困っちゃいます。
新選組の部分はまだしも、他藩の事なんて嘘書かれていてもわからないもん。……他藩の所は史実と思っていいんでしょうか?
あと、手紙などが引用されているのは嬉しいのですが、漢文が多いのに参りました。漢文は不本意ながら全部飛ばし読みしてしまいました(とほほ)。こんな所で漢文の勉強をサボっていたツケがくるとは。あぁ、現代語訳を付けて欲しかった。
という感じで、面白い部分もたくさんあるのですが、やや難解な一冊でした。
定番物として最初のうちに読んでおくべき物のような気がしないでもないのですが、新選組初心者が読むには難しい本だし、微妙だなぁ。
新選組研究者の皆さんが、これをわかりやすくして、なおかつ最新の研究結果も併せた物などを提供してくれているので、そういった物だけ読んでおけばいいような気もします。ただやっぱり、「八木さんから直接話を聞いている人の本」という魅力は大きいんですよねぇ。
今、近所の百貨店で「京都歴代のれん市」という物産展をやっています。思わず京都鶴屋さん(八木家がやっているお店です)を探してしまった私でした。ある筈ないか。でも、屯所餅が食べたかったんだよ〜。
ちなみに私のハンドル名「YAGI節」は民謡「八木節」から取っている物なので、新選組とは全く関係ありません。でも、こんなに屯所餅が好きだったら、ハンドルも「壬生の八木さんに因んだ」って事にしちゃう手もあるかな。いっその事、「節」は取っちゃおうかしらん。
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