新選組証言録
新選組証言録 『史談会速記録』が語る真実を読みました。
このPHP新書シリーズの赤い表紙、すっかり馴染みになったなぁ。
さて、この本はタイトルの通り、史談会での発言を記録した本です。それに山村竜也さんが解説を加えるというスタイルになっています。
以前ここで『地虫鳴く』について記述しましたが、あの小説は史談会のシーンから始まっていました。これをモチーフにして書いていたんですね。新選組研究本によく出てくる関係者のコメントの多くはこの史談会での発言なので既読の部分も多かったのですが、まとめて読むとまた興味深いものがあります。
やはり何度読んでも気分が悪いのは阿部十郎の話。
斎藤さんが「女にのろいヤツ」だとーっ!?(^^;)
『地虫鳴く』に出てくる阿部は好きではないけれど、「小物故の悲しさ」みたいな部分に自分と似ている物を感じて、共感する所もあったんです。しかし、斎藤さんに対する暴言は……ねぇ。
斎藤さんの事を悪く言っているのは知っていましたが、近藤や沖田の悪口も言ってました。新選組生え抜きメンバーの事はほとんど嫌いなのね。そもそも新選組自体が好きじゃないみたい。だったら新選組入んなきゃいいのに。一度辞めて戻ってくるなんて事しなければいいのに。戻った理由についても語ってましたが、あまり納得出来ませんでした。っていうか、この人、同志の篠原や加納の事も悪く言ってるよ!!
……哀れな人かも。幸せな人生じゃなかっただろうな。
ところで……史談会の意図が気になります。
新選組本を作る為に開かれた会ではありません。
『新選組証言録』は史談会の中の新選組に関する部分をピックアップしてまとめている物ですが、速記録自体は本にしたら40巻分位あるようで、かなり長い日をかけて色々な人に話を聞いて作られているようです。「明治政府にとって都合の良い歴史記録書を作る」という意図があったのかも…なんて、ちょっと勘繰っている私です。
証言者も、政府のご機嫌を取って薩長寄りの発言をしているのかも知れないし、自分の過去の失態を言い繕ってる部分もありそうです。自慢話している人もいれば、他人の手柄を、さも自分の手柄のように話している人もいるかな。
というわけで、証言録だけだったら「真実」というタイトルを付けて良いのか、首を傾げてしまうのですが、山村さんの解説によって「真実」に近づけているという感じでしょうか。山村さんは新選組ファンだから、どこまで公平かはよくわかりませんが(^^;)。
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