パッチギ!
『虎の門』という番組をたまに見ています。関東ローカルらしいです。
この番組には『こちトラ自腹じゃ! 』というコーナーがあり、井筒和幸監督が映画評論をするのですが、これを見ていると「趣味が違うな〜」とつくづく思います。こんなに私と趣味が合わない人も珍しいような気がします(^^;)。
そういえば、昔井筒監督の映画『岸和田少年愚連隊』がテレビで放映されました。「ナインティナインが出るなんて面白そう」と思ってちょっと見たのですが、数分で観るのをやめてしまいました。良い監督なのかも知れませんが、私とは相性が悪いみたい。
なので、『パッチギ!』がどんなに評判になっても、あまり興味は持てませんでした。
オダギリジョーさんが出ていると知っても、映画館に足を運ぶ気はさらさら起きず、テレビ放送が決まっても、「一応録画はするけれど、他は飛ばしてオダギリさんの所だけ観よう」という邪道な態度でいました。
……っていうか、実際最初はオダギリさんの所しかチェックしませんでした(爆)。
いやぁ、スウェーデン行く前のオダギリさん、良かった〜。
フォーク・クルセダーズ(以下「フォークル」と表記)の話を楽し気に語る姿は素敵過ぎ。
酒屋さんの前掛けしててもカッコいい。
ギター弾く姿も似合いまくり。
「私もオダギリさんにギター教えて欲しい〜」って感じで目をハートにして見とれてました。
帰国後のあまりの変貌ぶりにはビックリ。これ観てたら『パビリオン山椒魚』での変身にも驚かなかったんだろうなぁ。
ちなみに、私もスウェーデン行った事ありますが、何も変わりませんでしたよ。もっとも、一泊しただけですけど(^^;)。
衝撃的だったのはオダギリさんが唄っていた『悲しくてやりきれない』。
この曲、初めて聴いたのは15年位前になります。同名タイトルのドラマのテーマ曲になっていました。ドラマの内容はもう忘れてしまって、とにかく暗いドラマだった事しか憶えていないのですが、途中でこの曲が流れ、そのあまりの暗さにうんざりして、「なんて暗い歌だろう。気分が滅入るイヤな曲だ」と思ったものでした。それ以降「大キライな曲」として印象付けられたのです。
その「大キライな曲」をオダギリさんが歌っているんですから、耳を疑いました(^^;)。しかし、オダギリさんが歌うとイイんです(贔屓目?)。なんか癒されるような? 聞き惚れました。いい曲だと思ってしまいました。15年前の精神状態が悪かったのか、オダギリさんが凄いのか、よくわからないけれど、不思議で仕方ありません。人の好みって妙なものですね〜。
そして、この『悲しくてやりきれない』と『イムジン河』と『帰って来たヨッパライ』を歌っていたのが同一グループ(フォークル)という事も恥ずかしながら今回初めて知って驚いてます。
こんな思い出があります。
昔……幼稚園に通っていた頃か、小学生の頃だったか……?
誰かの家に行ったら、フォークの曲ばかりがかかっていました。
たくさんの曲をかけていたのですが、知らない曲ばかりで全く興味を持てませんでした。
が、一曲だけ面白い曲がありました。それが、『帰って来たヨッパライ』。
私はウケまくり、弟と笑い転げて、同じ曲を何度もかけてくれるように頼んだような気がします。しかし、
「この人達は、本来こういう歌を歌う人達ではないんだよ」
と、そこにいた誰かが教えてくれました。「政治的な歌を歌って発売禁止を食らった」というような事を話していたと思います(映画では「禁止ではなく中止」と言ってましたね)。しかし、園児か小学生だった私はその説明の意味がさっぱりわからず、
「『帰って来たヨッパライ』は発禁になるような悪い事をしている人達が歌った物なんだ、そういえば、なんだかこの曲も恐ろしい歌のような気が……」
なーんてデタラメな事を思ったような朧気な記憶があります。
その後、そんな事はころっと忘れて今日に至っていたのです。
弟に、「『帰って来たヨッパライ』を聴いて笑い転げた事憶えてる?」と尋ねてみたのですが、記憶力の良い弟に「そんな記憶はない」と言われてしまいました。
『帰って来たヨッパライ』を聴かせてくれたのが誰だったかは全く思い出せないのですが、父方の親戚だったような気がしたので、父に「フォーク好きの親戚っていた?」と尋ねてみたのですが、「そんな人はいない」と言われてしまいました。
私の記憶は何だったのか? 夢でも見たのか……? なんだか狐につままれた気分です。
しかし、その「発禁を食らった」と思っていた曲が、『イムジン河』で、今になって思えば「発禁を食らうような作品とは思えない」という事がわかっただけでもなんだか嬉しいです。
この曲、NHK紅白歌合戦でキム・ヨンジャさんが歌ったそうで、その記憶はなんとなくあります。イムジン河が朝鮮半島の人にとっては大切な歌だという事もなんとなく知っていたのですが、「どういう風に大切なのか」という事はわかっていませんでした。イムジン河って、ベルリンの壁みたいな物だったのでしょうか。って事は、『イムジン河』は"HEROES"?(一部の人しかわからないたとえですみません)
隣の国の事なのに、ホント何も知らないよなぁ>自分。
知らないといえば、主人公が「おまえは何も知らないだろう」と責められるシーンがありました。
あ、ようやく映画の話に戻ってます。オダギリさんの部分見たら他の部分も気になって、結局全部見ました。
で、主人公が自分の無知を思い知らされるシーンですが、あのシーン、私も身につまされました。
私、昔、オートフォーカスのコンパクトカメラの事を「バカチョンカメラ」と言い、友人(主人公と同じくお寺のお嬢さん)に「なんて酷い言葉を使うんだ」と怒られた事があるのです。これ、「バカでもチョンでも使えるカメラ」という意味ですが、この「チョン」が朝鮮半島の人(北?)を意味する言葉だと言うのです。その時は非常にショックを受けました。「『知らなかった』では済まされない事がある」と愕然とし、すごい自己嫌悪になりました。その事を思い出してしまったのです。ただ、今改めてネットで調べてみたら、「チョン」という言葉は江戸時代から使われている言葉で別に朝鮮の人を指す言葉ではないという説も見つけました。でも、語源はどうであれ、こういう言葉で傷ついている人がたくさんいたのかも知れないと思うとやはり、心苦しいというか……。なんだか難しい問題って色々あるんだなぁと感じます。
ところで、この映画、フォークルの松山猛さんの「少年Mのイムジン河」という本が原案になっていますが、ここのサイトの検索窓に「松山 (1)」と入れて検索すると松山さんの『イムジン河』のエピソードが読めます。(←ホントはダイレクトのアドレス入れたかったんですが、「リンクはトップページに」と書いてあったもので)
で、そこには「九条大橋でサキソフォンの練習に来ていた朝鮮中学のM君と仲良くなり、『イムジン河』を教えてもらった」という事が書いてありました。すごくいい話じゃないですか。「このリアル・エピソードをそのまま映画に使っても良かったのでは?」と思いました。
M君との友情物語ではなく、『ロミオとジュリエット』風に変えたのは井筒監督の趣味なのかなぁ? 友情物語よりも「世界は、愛で変えられる」の方がドラマチックだったのかなぁ?
もっとも、M君に『イムジン河』教わってたら、オダギリさんの出番も無く、私が見る事は無かったのかも(^_^;)。なんか色々な偶然が重なって面白い体験が出来たという感じです。
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コメント
YAGI節さま、こんにちは。
初めてコメントさせていただきます。
あさぎさんのところでコメントを拝見したり、こちらにも度々オジャマしていたのですが、「パッチギ!」について、あさぎさんや私と似たような感想をお持ちになったとのことで、勇気を出してコメントを(笑)
「帰ってきたヨッパライ」を幼い頃に笑い転げて聞きました。マネとかもしたりして。
「イムジン河」は“発禁”というのが何やら恐ろしく、随分大きくなってからその理由を知ったと思います。
そして、この両曲が同じ方の歌だったとは初めて知りました(笑)
スウェーデンに行く前のオダギリさんの「悲しくてやりきれない」とってもよかったですよね。声にとても合ってる〜。
出番が少なかったのが残念だったけど、それだけにインパクトがありました。
何気に酒屋さんの前掛け姿が好きです♪
今後ともオジャマさせていただきます!リンク、ご了解いただけると嬉しいです!
投稿: ネムソ〜 | 2007.05.23 13:42
ネムソ〜さま
ようこそ!!
私もあさぎさんのところでコメント拝見したり、ブログも度々覗かせて頂いていたのですが、やはり勇気が出ずご挨拶しそびれてました。
なのでコメントいただけて、嬉しいです。
リンクの件も、ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願い致します。
『帰ってきたヨッパライ』、やはり子供にはウケますよね。
しかし、「発禁」という言葉の恐ろしさは強大で、『帰ってきたヨッパライ』も「天国にいざなう恐ろしい歌なのか?」みたいなイメージに……。
そうすると、あの機械処理された声も一気に恐ろしくなります。
いやぁ、子供ってヘンな事怖がるんですよね(^^;)。
あ、肝心の、「皆さんと同感のケンカシーン」の事、こちらでは書きそびれてました。
ちょっとフォローしておくと、「幕末の斬り合い」よりも「昭和のケンカ」の方がリアルに想像出来てしまうので苦手なのかもしれません。
投稿: YAGI節 | 2007.05.23 23:59
「帰ってきたヨッパライ」
私も子供の頃は、何とも思わずに歌ってましたが、よく考えてみたら、確かに恐ろしい歌ですよね。
「悲しくてやりきれない」
映画の中でオダギリさんが歌ってたこの歌、良かったです〜
オダギリさんだから、良かったんだと思いますけど、、フフフ、、
「バカチョン」
私も意味知らずに使ってたことが有って、意味を知ってからは、使ってないんですけど、、江戸時代から使われてたんですね〜 で、本当はそういう意味じゃないって説も有る、と。
いい事を教えて頂きました。為になります。
投稿: あさぎ | 2007.05.24 09:01
あさぎさん
『帰ってきたヨッパライ』の歌詞、今回改めて読み返したのですがホント面白いです〜。深読みも出来るし、ただの冗談なのかも知れないし、よく出来た歌です〜←って偉そう?
「バカチョン」についてはネットでは色々な意見が見つかり、とても興味深かったです。
映画では無知を責められていたし、私も「知らないのはよくないな〜」なんて反省したりもしたのですが、「何も知らなければ差別のしようもない」とか、「気にしすぎるのも差別だ」とか……色々な主張があって、読めば読むほど「難しい〜」と思っちゃいました。感じ方、考え方はホント人それぞれですね……。
投稿: YAGI節 | 2007.05.24 23:52