« 真選組バトン | トップページ | 斎藤一を熱く語る »

2007.07.07

るろうに剣心・斎藤の謎

『るろうに剣心』、
3年前までは全く眼中に無かった作品でしたが、今頃原作単行本28冊を読破しました。

最初に7巻1冊だけ読み、次に再放送のテレビアニメを見、ケーブルテレビで放映されていたOVA(追憶編・星霜編)と劇場版(維新志士への鎮魂歌)を見るというヘンな順で来てしまったので、一部感覚が麻痺してしまった感もあるのですが、改めて振り返ってみると……やっぱり、この漫画の「不殺」って、すごいテーマですね。
「不殺」vs「悪即斬」って、今の死刑廃止運動をめぐる争いと通じる所があるような無いような。

昔の漫画や時代劇だったら勧善懲悪で、悪者が斬られるのは当たり前でしたが、『るろうに剣心』では「悪即斬」を謳う斎藤一が最初は悪役にしか見えませんでしたからね〜。完璧悪人顔だし(^^;)。

この先、ネタバレばかりなので、まだ読んでいなくてこれから読む予定のある方はお気を付け下さいね。
るろうに剣心 悪.即.斬 Tシャツ ブラック : サイズL「長州」と「新選組」、「倒幕」と「佐幕」、「不殺」と「悪即斬」と常に見事な程に反対の立場にいる剣心と斎藤。
この2人の戦いが一番の見所だと思っている私ですが(斎藤ファンだから余計にそう思ってしまう)、なんと、最終巻で斎藤は剣心との決闘をすっぽかしてしまいます。 何故、何故、何故!?

斎藤は決闘に行かない理由を口では「自分が戦いたい相手は抜刀斎である(剣心ではない)」というような事を言ってましたが……

抜刀斎を斬りたい理由はとてもよくわかります。
「京都から長州勢を一掃する事は新選組の任務である」という公的な側面がある上に、「幕府に刃向かう人斬り」は斎藤にとっては「悪」なので、「悪即斬」という私的なポリシーにも適う。

でも、剣心と戦いたくないとも思えないんですよね。
別人のようだとはいっても抜刀斎と剣心は同一人物だし、剣豪には「強い剣客と剣を交えたい」という思いがありそうな気がするのです。

「強い」といえば、幕末時の抜刀斎と奥義取得後の剣心はどちらが強いのでしょう?
いくら奥義を取得したといっても、「不殺」では全盛時に及ばないのかなぁ?
でも、天飛龍閃を持つ剣心を倒したいとか思わない?
蒼紫と違って「最強」に拘らない斎藤にとってはどうでも良い事なのか?

あるいは、剣心と戦いたいけれど、それ以上に「殺し合いをしたくない」という気持ちが芽生えちゃったとか? なんだかんだいいつつ、この2人、結構仲良くなっちゃいましたからね。「人斬り抜刀斎」ならいざ知らず、「不殺剣心」では「悪即斬」と昂ぶれないだろうなぁ。モチベーションは上がりそうもないですね。

あとは、剣心の体を気遣っていたとか?
イマイチつかみ所がないのですが、ああ見えて、案外優しい所もありますからね。剣客としての余命を宣告された剣心とは戦えない?

あの……勝てそうにないから、すっぽかしたなんて事は……ないですよね、それだけは断じてないですよね!?(汗)

それにしても、灰皿の吸殻の山は印象的でした。相当迷ったんでしょうね。

……と、斎藤目線でばかり考えてしまいましたが、

「作者の和月伸宏さんはどうして、斎藤を剣心と戦わせなかったか」

と、考えた方が早いんでしょうか?
いや、でもそうすると、
「決着付けない方が謎めいていて面白いと考えたのか?」とか
「描くのが大変だったからやめたのか?」など下世話な理由が思い浮かんでしまう〜(爆)。和月さん本人のお気持ち、聞いてみたい所です。

と、斎藤の謎について、随分長く語っちゃいましたが、原作を読んで生まれた謎がもう一つあります。

「OVAの『星霜編』はなぜあんなラストにしてしまったんだろう?」

せっかく和月さんがハッピーエンドにしたのに、なんでわざわざ……。
あぁ、思い出したくないけれど、どうしても思い出してしまいます。
『星霜編』見るんじゃなかったなぁ。まぁ、見ないとそれはそれで気になって仕方ないんでしょうけど(^^;)。

しかし、薫が死ぬシーンはびっくりしました〜。
あ、このシーン、私全く知りませんでした。『星霜編』では人誅編の部分かなり端折られているのです(敵も縁位しか出てこない)。先を知っているので、「え、ここで死ぬわけないよね」と思いつつも、「もしや、原作とOVAは違う?」とハラハラしてしまいました。あれをリアルタイムで読んだ人はショックだったでしょうね。コミックならまだしも、ジャンプで読んでいたら、先がなかなかわからないから、あれは、ほぼ死んだと思いますよね。いや〜、和月さんも人が悪い(^^;)。

びっくりといえば、夷腕坊!!
あれが操り人形だったとは〜。ゲームでは食い逃げしてましたよ???←これも謎といえば謎
そして、今ウィキペディアで見てさらにビックリしたのですが、アニメ版ではなんと八嶋智人さんが声を担当していたそうです。うーむ、全く記憶にない……(爆)。

るろうに剣心 完全版 ガイドブック 剣心皆伝 (るろうに剣心 完全版) (ジャンプコミックス)あと、これは結構重要な事だと思うのですが、剣心の十字傷の付き方が、原作とOVAでは違っているのですね。原作では一本は偶発的に付いた(巴の手から落ちた短刀がたまたま剣心の頬の上に落ちた)という設定になってますよね。OVAではなんと巴が意図的に傷を付けているのです。なぜ、巴が傷を付けたのかを結構考えてしまった私としては、ここは「えっ!?」とちょっと肩すかしな気分。自然にあの交叉する位置にきれいに落ちるというのは出来過ぎな気もするし、ここはどちらが良いか一概には言えない所ではあります。

さて、
ここまで追いかけると、今度は「剣心皆伝」とかも読みたくなってきますね(^^;)。 あと完全版の3巻(「月刊和月」というコーナーがあってゲストが斎藤らしい)と最終刊(「弥彦の逆刃刀」、「完全版後書き」、「春に桜」が収録されているらしい)も!!
でも単行本と完全版を両方置いてあるマンガ喫茶って、そうそうないんですよね〜。そのうち完全版の方がスタンダードになるのかしらん?

|

« 真選組バトン | トップページ | 斎藤一を熱く語る »

コメント

私個人的な考え方としましては。
かつての『抜刀斎』は、最初から相手を「斬る=殺す」気で向かって来ていた。
でも今の『緋村剣心』は、「不殺」の信念によって動いている。
斎藤は「最後は斬る」という「覚悟の上での真剣勝負」をしたかったから、「不殺」という甘っちょろい(←斎藤思考)思いをもって敵と向かう今の剣心とは対決する気にならなかった・・・・・・そう考えております。
個人的には、志々雄のアジトが爆破されて取り残された時に、どうやって脱出したのかが謎です〜。

薫が死んだシーン、衝撃的だったでしょう・・・
私、リアルタイムで読んだ時は一瞬思考が止まりましたよ・・・・・・
なので、光明が見えた時は、心から蒼紫に感謝しましたね〜。

あ、完全版の「月刊和月」、あれ実はチラシみたいなものなので、マンガ喫茶に入っている本には無いかも・・・

投稿: Natsumi | 2007.07.08 01:58

Natsumiさん
「今更『るろうに剣心』の感想文書くのもどうかな〜」と思ったのですが、どうしても他の方の斎藤見解も読んでみたくてアップしちゃいました。Natsumiさんだったら、きっとコメント下さると思って。
そして、やっぱり付けて下さいましたね♪ 嬉しいです、ありがとうございます!!

そうですね〜、最初の頃の剣心は揺れていて、時々抜刀斎に立ち戻りそうだったけれど、縁を倒した後はもう戻る気配は無かったですもんね。
剣心は「愛想を尽かされた」って言ってましたが、獲物(?)としての魅力は確かに無くなったんでしょうね。もはや「愛すべき善人」、いや「阿呆な善人」か(^^;)。

あ、じゃあ、Natsumiさんはあの晩の斎藤、迷ってないと思います?
剣心の事を考えて眠れなかった事だけは確かですが、迷っていたとは限らないのかな?

>私、リアルタイムで読んだ時は一瞬思考が止まりましたよ・・・・・・

おお、やはり!!
あれをリアルタイムで読んでたら、蒼紫ファンになりそうです。

投稿: YAGI節 | 2007.07.08 22:00

手紙を受け取った当初は、「いいだろう、受けてやる」という気持ちだったと思います。
でも時間が経つにつれて、「不殺」に迷いが無くなった剣心と勝負する事に違和感を感じ始めたのだろうと。
自分は、かつて神谷道場で戦った時のような「命を賭した」戦いを望んでいるが、今の剣心と戦ったとしても、到底それは望めそうに無いだろう。
そしてその「甘っちょろい流浪人」を倒したとして、果たしてそれで自分が満足できるのだろうか?
こう考えていって、最後には決闘に応じない事を決めたのだろうと思います。
その逡巡の他に、あの吸殻の量には「命を賭す」という精神を捨てた(←斎藤視点)かつての宿敵に対する苛立ちと失望もあったのかもしれませんね・・・
う〜ん、ちゃんとまとまってないかな・・・すいません。

投稿: Natsumi | 2007.07.10 01:08

Natsumiさん
うう、斎藤話、お付き合いありがとうございます〜。
うんうん、やっぱりあれは逡巡していますよね。

>「命を賭した」戦いを望んでいるが、今の剣心と戦ったとしても、到底それは望めそうに無いだろう。

ですね!!
もっとも、斎藤の場合「命を賭した」といっても、自分の命を落とすつもりはサラサラないんでしょうけど(笑)。
彼の生きる事への執着というのは物凄いものがありそうです。何が何でも生きる、そんな執念(?)があるから、志々雄のアジトからも脱出出来たのでしょう♪
「生き残ったもん勝ち」をポリシーにしているし、どんな手を使ってでも生きそう。
たとえ、人斬り抜刀斎に斬られてもあの人なら死なない!!(そうか?)
そんな斎藤なら、天飛龍閃会得時の剣心の「死ねない」という思いには共感しそうな気もします。生き甲斐は全く違いそうですが(^^;)。

投稿: YAGI節 | 2007.07.10 23:01

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: るろうに剣心・斎藤の謎:

« 真選組バトン | トップページ | 斎藤一を熱く語る »