狂言サイボーグ
今日の『鞍馬天狗』も面白かった〜♪
ラストはちょっと切なかったですが。近藤局長、色々大変そうですね……。
今後はカラスの羽を見付けたら、あのラストシーンを思い出してしんみりするかも。もっとも、あんなにふんわりしたカラスの羽は見つけられそうにありませんけど(^^;)。
それにしても京都所司代、「松平定敬はなんとかしてくれないのですか?」と思い調べてみたら、定敬って所司代職は3年しか勤めていませんでした。結構頻繁に代わっているみたいです。
「京都所司代が登場して、京都守護職が出ないのはなぜ〜?」と淋しい気もしますが、松平容保が悪役だとショックだから、容保様を悪役にしない為の配慮だと思うことにします。
さて、すっかり天狗様もとい野村萬斎さんの虜な私ですが、今度は『狂言サイボーグ』という本を読んでみました。
これ、タイトルにとても惹かれました、萬斎さんにあまりにもピッタリな言葉だなと思って。狂言をやるためにつくられた改造人間?
萬斎さんには狂言(自分の狂言技術の向上&狂言普及)の為なら何でもやりそうなイメージがあったのです。本を読む前の勝手な先入観ですけど。
ちなみに、私の中では野球のイチロー選手とスピードスケートの清水宏保選手が二大サイボーグで、尊敬の念を抱いているのですが、ここに萬斎さんを含めて「三大サイボーグ」とお呼びしたい気分。
本を読んでみたら、私が想像していた「狂言サイボーグ」とは異なるニュアンスでこの言葉は使われていましたけどね。
本の感想を一言で言うと、
最高に面白かった!!
狂言の事と萬斎さんの事を色々知る事が出来る本です。
昨年読んだ、片岡愛之助さん(歌舞伎)の本も似たような趣旨で面白かったけれど、あれはライターさんが書いた本でした。やはりご自身の言葉で語っているというのが圧倒的に良いです。
書き下ろしと、転載文(過去の新聞や公演のパンフレットに載った物)の両方で構成されているのですが、一番古い物は1987年に書かれた文でした。その頃の文はまさに「学生が書いてる」という感じで、初々しく、青い(?)感じなんですよね〜。それが、少しずつ変わって、責任ある立場の大人の男性の文章になっていくのです。成長ぶりが、すごく現れているのです。これ、2001年に出版された物なので、それから7年経った今の萬斎さんはどんな文を書くのか、とても興味があります。
萬斎さんって、実に色々考えている方なんですね。感心したり納得する事がホント多かったです。「こんな事を考えながら演じているんだ」と思うと、舞台の見方も変わってきて、より楽しめそうです。
先日、YouTubeで萬斎さんのインタビュー画像(BSフジ)を見ました。
テリー伊藤さん・八木亜希子さんを相手に語ってましたが、これとかなりカブっている部分がありました。同時期の物なのかな。「この本面白いから、この辺りの事を語ってもらいましょう」という企画のインタビューだったのかも。
印象に残ったのは、
「制限こそ最大のステップアップの為の踏み切り板」という言葉。
これ、本にも似たような事が書いてありましたが、インタビューの方がよりわかりやすく語っていました。
狂言には絶対崩してはいけない部分というのがあるらしいんです。
「それを崩す気はないんですか?」というテリーさんの質問に対し、「崩す気はないです」と断言した後で、「でも、制限の無い部分で、どうやったら面白くなるか色々研究する」みたいな事をおっしゃっていました。手の角度を動かしてはいけないのであれば、頭を動かしてみるとか。「なるほど〜っ!!」って感じでした。
そういえば、ジャンルは異なりますが、三谷幸喜さんもよく「制限を付ける」とおっしゃっていたっけ(「しばり」でしたっけ?)。
『新選組!』では基本「一話で一日の話にする」とか「ナレーションを入れない」とか。
萬斎さんは鬼ごっこを例に挙げてましたけど。
色々ルールというか制限を設ける事で、却って面白くなる事もあるんですね〜。
あと、これは萬斎さんのおじいさまがおっしゃった事らしいんですが、
「美声家は自身の声の響きに酔いやすく、ともするとそれのみに頼ってしまう。(中略)
難声家の方が技術の鍛錬を怠らず、骨のある妙なる声を生む」という物。
私よく「歌の上手過ぎる人が苦手」と言うのですが、そういう事なのですよ〜。自分の声に酔ってるような人が苦手なのですよ〜。
それに引き換え、私の愛するデヴィッド・ボウイ(笑)って歌がそれ程上手くないじゃないですか(^^;)。通る声でもないし。でも工夫したり考えたりして、妙なる作品を生んでると思うんですよね〜。ま、ボウイの声は超好きなんですけど。
……相変わらずたとえが下手ですみません。
そして、驚いたのが歌舞伎との関係!!
かつて能楽師・狂言師達は大名お抱えだったのに、廃藩置県のせいで路頭に迷う事になってしまったそうです(ここにも明治維新の犠牲者が〜)。で、生き残る為に歌舞伎に技術を流出した鷺流という流儀があったそうですが、歌舞伎役者を蔑視している人達がいて、歌舞伎役者に近付いた鷺流は能楽界から追放され、消滅してしまったのだとか。『棒縛』や『身替座禅』はその鷺流の教えに依るものだそうです。
『身替座禅』なんて無茶苦茶面白いのに、裏にそんな悲劇があったとは〜。
『棒縛』も「勘三郎さんの方が面白かった」なんて以前ブログに書いちゃったっけ(汗)。
もう、ホント、びっくりしました。
最後は超個人的な事ですけど……
萬斎さん、東京ドームでマイケル・ジャクソンとポール・マッカートニーを見てるらしいです。私も、どっちも行ってますよ〜。同じ空間にいたーっ!? 話が合いそう!!(笑)
あと、ヘヴィメタルに影響されてバンドを組み、文化祭ではギターを弾きシャウトしてたのだとか。わー、ボン・ジョヴィはお好きじゃないですか? ますます萬斎さん、好きになった〜。
という感じで、興味深い話だらけでした。狂言に興味のある初心者の方にはお勧めです。
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