万作を観る会(喜寿記念公演)
即日完売でチケット争いに敗れた……
と思ったこの公演ですが、何故かその数日後『ぴあ』のサイトをチェックしてみたら売ってました。時々そういう事あるんですよね〜。キャンセル分かな?
というワケで、最後列ではありますが、無事チケットゲット出来、観て来ました♪
最後列といっても9列目だから、ホール公演に置き換えて考えてみれば近い感じもします、うふ。
しかし、私の視力では眼鏡をかけても表情はよく見えませんでした、ちぇっ。
おまけに、中正面。
先月、『ござる乃座』の感想をアップした時に、
「(次の)公演のチケットは中正面です。中正面って、噂によると柱が邪魔らしいですね」
なんて書いてましたが、噂通り柱は邪魔でした。嗚呼。それについてはまた後ほど。
それでは、喜んだりがっかりしたりの、この公演の感想行ってみます。
『靭猿(うつぼざる)』で謡われる唄ですが、『靭猿』は「にほんごであそぼヴァージョン」しか観た事のない初心者な私です。あのヴァージョン大好きなんですけどね。
ラストの数秒だけ「お、聞き覚えがある」と喜んでました(^^;)。
◆狂言 酢薑(すはじかみ)/野村万之介・石田幸雄
言葉遊びというか駄洒落というか、そんな話。
うーん、あまり私の好みには合いませんでした。
◆狂言 花子(はなご)/野村万作・野村萬斎・三宅右近
これが今回のお目当て。
ま、「万作を観る会」ですから、唯一万作さんが出るコレがお目当てなのは当然といえば当然ですが、それ以外にも観たい理由がありました。
歌舞伎を観てクスリと笑う事はよくありますが、大笑いする事ってそれ程多くありません。その数少ない大笑い出来た演目の一つといえば『身替座禅』。
そして、この『身替座禅』の元となっているのが狂言の『花子』なのです。
というワケで、興味を持ってました。
とても重要な曲(演目)みたいですしね。
私が観た歌舞伎版では、中村勘太郎さんと中村獅童さんが夫婦という設定でした。
「夫が浮気を隠す為に知恵を振り絞るも結局バレる」という、個人的にはあまり好きなタイプの話ではない筈なのですが、脳天気な夫・勘太郎さんと、恐ろしい妻・獅童さんの掛け合いがおかしくてたまりませんでした。
「あの獅童さんが女役」というだけで面白いので反則な気もしますが、歌舞伎でのこの役は「女性っぽくない人にやらせて笑わせる」という事が多いみたいですね。「こんな奥さんじゃ、浮気するのも無理ないか」という感じで。
当時獅童さんの浮気騒動がワイドショーのネタになっていたのは、ちょっと皮肉な偶然(?)でした。
テレビでちらっと勘三郎さんの夫役を観た事もありますが、勘太郎さんとそっくりで、これも面白かった。「さすが親子」と思いました。勘太郎さんが勘三郎さんの教え通りにやっていたという事でしょうか。
そして、今回の狂言版ですが……
意外にもあまり笑えませんでした。
若い勘太郎さんだと「ったくしょうがないなぁ」と笑って許せる(?)浮気ですが、万作さんだと「いい年して、その態度はどうよ?」と思ってしまうのです(^^;)。
たとえば、夫は妻の事をかなり酷く言います。
「山奥のこけ猿が雨にしょぼ濡れて、はいつくばっているみたいに見えるなあ」とか。(パンフレットの訳より)
万作さんっ、萬斎さんに向かって何て事を!! うきーっ!!
あ、違った、「萬斎さん」じゃなくて、「妻」ね(^^;)。
自分が、妻役の萬斎さんの事を好きすぎて、浮気者の夫に厳しい眼を向けちゃうのかと一瞬思ったのですが、それだけではないと思います〜
で、こういう事をセリフではなく、謡で語ってる所がちょっと気取っているというか、まどろっこしくてわかりにくい感じでした。現代語訳の載ったパンフレットを貰えたから助かりましたが、字を追いかけていたのでストレートに笑えず、つい頭で考えてしまったという部分もあるかも知れません。
その点、歌舞伎はわかりやすかった〜。
サービス精神旺盛というか、サービス過多というか、俗っぽいというかミーハーな私向けというか、「歌舞伎は庶民の文化だなぁ」と感じさせられました。
が!!
俗っぽい話である『花子』が、狂言ではちょっと品良く演じられるのには理由がある事を帰宅後知りました。
夫は大名という設定でしたが、実は天皇(後水尾天皇)がモデルだという説があるそうです。ビックリした〜。そりゃ、あんまり下品には出来ませんよね〜。
そう考えると歌舞伎の俗っぽさは、やり過ぎなような気もしてきます。っていうか、別物と考えた方が良いのかな?
そして、そういう裏話を知っている人は「狂言版ならではの面白さ」を感じていたのでしょう。江戸時代の天皇じゃ、いい年して浮気をして悪びれなくても、仕方ないか。
夫が自分を騙して女性の元へ行ったと知り、怒ったり嘆いたりする萬斎さんが、柱で見事な位すっぽり隠れて見えなかったのが、残念でたまりませんでした。私が怒ったり嘆いたりしたかったよ、とほほ。
◆半能 石橋 三ツ臺(しゃっきょう みつだい)/粟谷能夫・森常好・野村小三郎
すみません、私、これ、全く期待してませんでした。
背水の陣(?)で予習完璧で臨んだ『鞍馬天狗』でも能にハマれなかったので、もう能を楽しむ事は半ば諦めてました。
これも、最初の数分は「あ〜、何言ってんだかわかんない〜」と退屈してしまったんですが、シテ(主役=獅子)が出てからは一変!! もう目が釘付けでした。
まずビジュアルが面白い。
真っ赤な巻き髪の長髪のカツラで、叶美香さんを連想しました(爆)。
動きは微妙にグレート・ムタ(嘘)。
面は迫力のある特徴ある物で、見入ってしまいました。そう、私、面を見るのは好きなんですよね〜。
音楽も妙にテンポがあって迫力があって、心躍ります。ロックっぽいです(そうか?)。
もうこの獅子が出てからラスト迄はあっという間に思えて、「えーっ、もっと観たかったのに、もう終わり!?」という感じ。こんな感想を持ったのは能を観て初めてです。今迄は最初は「わーい、面だ〜」なんて喜んでも途中で飽きる事が殆どだったのですが、今回はスタンディングオベーションしたかった程。もちろん、能でそんな事をする人は誰もいませんから私も大人しくしてましたが、とっても楽しかったんです。多分私ニタニタしてました。いや、ビックリです。こんな作品もあるんだ〜♪
これも帰宅してから調べて知ったのですが、歌舞伎の「石橋物」と呼ばれる作品はこれをもとにしているそうです〜。もう、無知でお恥ずかしい限りですが
たとえば「連獅子」とか「鏡獅子」。長い毛をブンブン振り回すアレです。そういうのは、この『石橋』がもとになっていたわけです。
歌舞伎では「踊りで眠くなる」とか言っちゃうダメダメな私が、眠くならない数少ない踊りが獅子物。この獅子の神通力(?)は能にも共通していたようです。なんか物凄ーく腑に落ちた瞬間でした。
という感じで、今回は歌舞伎の勉強にもなった狂言&能の鑑賞でした。
両方観ると、ますます楽しいのですね〜
→パンフが素敵でした〜
なんだか、とってもおめでたい感じ
というワケで、最後列ではありますが、無事チケットゲット出来、観て来ました♪
最後列といっても9列目だから、ホール公演に置き換えて考えてみれば近い感じもします、うふ。
しかし、私の視力では眼鏡をかけても表情はよく見えませんでした、ちぇっ。
おまけに、中正面。
先月、『ござる乃座』の感想をアップした時に、
「(次の)公演のチケットは中正面です。中正面って、噂によると柱が邪魔らしいですね」
なんて書いてましたが、噂通り柱は邪魔でした。嗚呼。それについてはまた後ほど。
それでは、喜んだりがっかりしたりの、この公演の感想行ってみます。
『靭猿(うつぼざる)』で謡われる唄ですが、『靭猿』は「にほんごであそぼヴァージョン」しか観た事のない初心者な私です。あのヴァージョン大好きなんですけどね。
ラストの数秒だけ「お、聞き覚えがある」と喜んでました(^^;)。
◆狂言 酢薑(すはじかみ)/野村万之介・石田幸雄
言葉遊びというか駄洒落というか、そんな話。
うーん、あまり私の好みには合いませんでした。
◆狂言 花子(はなご)/野村万作・野村萬斎・三宅右近
これが今回のお目当て。
ま、「万作を観る会」ですから、唯一万作さんが出るコレがお目当てなのは当然といえば当然ですが、それ以外にも観たい理由がありました。
歌舞伎を観てクスリと笑う事はよくありますが、大笑いする事ってそれ程多くありません。その数少ない大笑い出来た演目の一つといえば『身替座禅』。
そして、この『身替座禅』の元となっているのが狂言の『花子』なのです。
というワケで、興味を持ってました。
とても重要な曲(演目)みたいですしね。
私が観た歌舞伎版では、中村勘太郎さんと中村獅童さんが夫婦という設定でした。
「夫が浮気を隠す為に知恵を振り絞るも結局バレる」という、個人的にはあまり好きなタイプの話ではない筈なのですが、脳天気な夫・勘太郎さんと、恐ろしい妻・獅童さんの掛け合いがおかしくてたまりませんでした。
「あの獅童さんが女役」というだけで面白いので反則な気もしますが、歌舞伎でのこの役は「女性っぽくない人にやらせて笑わせる」という事が多いみたいですね。「こんな奥さんじゃ、浮気するのも無理ないか」という感じで。
当時獅童さんの浮気騒動がワイドショーのネタになっていたのは、ちょっと皮肉な偶然(?)でした。
テレビでちらっと勘三郎さんの夫役を観た事もありますが、勘太郎さんとそっくりで、これも面白かった。「さすが親子」と思いました。勘太郎さんが勘三郎さんの教え通りにやっていたという事でしょうか。
そして、今回の狂言版ですが……
意外にもあまり笑えませんでした。
若い勘太郎さんだと「ったくしょうがないなぁ」と笑って許せる(?)浮気ですが、万作さんだと「いい年して、その態度はどうよ?」と思ってしまうのです(^^;)。
たとえば、夫は妻の事をかなり酷く言います。
「山奥のこけ猿が雨にしょぼ濡れて、はいつくばっているみたいに見えるなあ」とか。(パンフレットの訳より)
万作さんっ、萬斎さんに向かって何て事を!! うきーっ!!
あ、違った、「萬斎さん」じゃなくて、「妻」ね(^^;)。
自分が、妻役の萬斎さんの事を好きすぎて、浮気者の夫に厳しい眼を向けちゃうのかと一瞬思ったのですが、それだけではないと思います〜

で、こういう事をセリフではなく、謡で語ってる所がちょっと気取っているというか、まどろっこしくてわかりにくい感じでした。現代語訳の載ったパンフレットを貰えたから助かりましたが、字を追いかけていたのでストレートに笑えず、つい頭で考えてしまったという部分もあるかも知れません。
その点、歌舞伎はわかりやすかった〜。
サービス精神旺盛というか、サービス過多というか、俗っぽいというかミーハーな私向けというか、「歌舞伎は庶民の文化だなぁ」と感じさせられました。
が!!
俗っぽい話である『花子』が、狂言ではちょっと品良く演じられるのには理由がある事を帰宅後知りました。
夫は大名という設定でしたが、実は天皇(後水尾天皇)がモデルだという説があるそうです。ビックリした〜。そりゃ、あんまり下品には出来ませんよね〜。
そう考えると歌舞伎の俗っぽさは、やり過ぎなような気もしてきます。っていうか、別物と考えた方が良いのかな?
そして、そういう裏話を知っている人は「狂言版ならではの面白さ」を感じていたのでしょう。江戸時代の天皇じゃ、いい年して浮気をして悪びれなくても、仕方ないか。
夫が自分を騙して女性の元へ行ったと知り、怒ったり嘆いたりする萬斎さんが、柱で見事な位すっぽり隠れて見えなかったのが、残念でたまりませんでした。私が怒ったり嘆いたりしたかったよ、とほほ。
◆半能 石橋 三ツ臺(しゃっきょう みつだい)/粟谷能夫・森常好・野村小三郎
すみません、私、これ、全く期待してませんでした。
背水の陣(?)で予習完璧で臨んだ『鞍馬天狗』でも能にハマれなかったので、もう能を楽しむ事は半ば諦めてました。
これも、最初の数分は「あ〜、何言ってんだかわかんない〜」と退屈してしまったんですが、シテ(主役=獅子)が出てからは一変!! もう目が釘付けでした。
まずビジュアルが面白い。
真っ赤な巻き髪の長髪のカツラで、叶美香さんを連想しました(爆)。
動きは微妙にグレート・ムタ(嘘)。
面は迫力のある特徴ある物で、見入ってしまいました。そう、私、面を見るのは好きなんですよね〜。
音楽も妙にテンポがあって迫力があって、心躍ります。ロックっぽいです(そうか?)。
もうこの獅子が出てからラスト迄はあっという間に思えて、「えーっ、もっと観たかったのに、もう終わり!?」という感じ。こんな感想を持ったのは能を観て初めてです。今迄は最初は「わーい、面だ〜」なんて喜んでも途中で飽きる事が殆どだったのですが、今回はスタンディングオベーションしたかった程。もちろん、能でそんな事をする人は誰もいませんから私も大人しくしてましたが、とっても楽しかったんです。多分私ニタニタしてました。いや、ビックリです。こんな作品もあるんだ〜♪
これも帰宅してから調べて知ったのですが、歌舞伎の「石橋物」と呼ばれる作品はこれをもとにしているそうです〜。もう、無知でお恥ずかしい限りですが

たとえば「連獅子」とか「鏡獅子」。長い毛をブンブン振り回すアレです。そういうのは、この『石橋』がもとになっていたわけです。
歌舞伎では「踊りで眠くなる」とか言っちゃうダメダメな私が、眠くならない数少ない踊りが獅子物。この獅子の神通力(?)は能にも共通していたようです。なんか物凄ーく腑に落ちた瞬間でした。
という感じで、今回は歌舞伎の勉強にもなった狂言&能の鑑賞でした。
両方観ると、ますます楽しいのですね〜

→パンフが素敵でした〜
なんだか、とってもおめでたい感じ

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