狂言劇場その伍
「狂言劇場」とは、
「能楽堂ではない、劇場のオリジナルな能舞台でパフォーミングアーツとしての狂言の魅力に迫る」という、世田谷パブリックシアター恒例のシリーズです。野村萬斎さんの企画で、今回五回目を迎えるそうです。行って来ました♪
「能楽堂ではない、劇場のオリジナルな能舞台でパフォーミングアーツとしての狂言の魅力に迫る」という、世田谷パブリックシアター恒例のシリーズです。野村萬斎さんの企画で、今回五回目を迎えるそうです。行って来ました♪
今月はナマ萬斎さんを3回も見られて幸せでした
でも、今年はこれで見納めかな。「チケットをプレゼントされちゃう」とか「オークションで激安で落札」なんて幸運が無い限り、次は来年1月までお預けです。
『鞍馬天狗』と共に始まった2008年は、萬斎さんのおかげで楽しい1年でした。チケットに気を取られてると、1年経つのがあっという間に感じられますね
今年は節約の為にサックス教室を辞めましたが、なんかその分は萬斎さんのチケット代に消え、結局経済状況は良くなっていないような……。
それでは、公演の感想行ってみます。
バレてもあまり支障は無さそうな気もしますが、ネタバレありますので、未見でこれから見る予定の方はご注意下さい。
◆苞山伏(つとやまぶし)/野村万之介・高野和憲・深田博治
会場で配っていたプリントによると、「苞」とは「わらを束ねて物を包んだもの」だそうで、ここではお弁当を意味しています。なんかご立派なタイトルですが、「ボクが寝てる隙に、大事なお弁当を食べちゃったのは誰ーっ!?」という他愛ないお話。
「ボクじゃないよ〜」とトボけるだけならまだしも、人に罪をなすりつけちゃう男はどうかと思いますが、どこか可愛気があるのが狂言らしい所でしょうか。これは次の彦市にも通じますね。
罪をなすりつけられそうになった山伏が、そのなすりつけ人(笑)を最後逃がしてあげる所は微笑ましいけれど、あれでヤツは懲りるのだろうか?(^^;)
◆狂言による 彦市ばなし/野村萬斎・月崎晴夫・石田幸雄
面白かったーーーーーっ!!
萬斎さんご出演の舞台を今年13本観たわけですが(そんなに観たか…)、一番楽しかったです
……一番素人向けだったという感じもしますが(^^;)。
彦市の話は、子供の頃、本で読みました。
当時マジメで良い子(?)だった私は、「嘘の名人・彦市」がキライでした。彦市なんて、天狗を騙す悪いヤツじゃないですか。
「狂言劇場」で『彦市ばなし』をやると知った時もテンション上がらず、「狂言劇場って興味あったけど、彦市かぁ。ちぇーっ、ガッカリ〜」というのが最初の感想
でも「狂言劇場」という企画自体に興味があったし、萬斎さんのポストトークがあるようなので(萬斎さんのお話大好き!!)、取り敢えずチケットはゲットしました。
そんな微妙なテンションでいた先月、
『にほんごであそぼ』で、『彦市ばなし』が取り上げられていました。で、それ、無茶苦茶気に入ってしまったんです〜。
「あれ、『彦市ばなし』って、こんなに面白い話だっけ!?」という感じ。
そして、彦市が魅力的過ぎるんですけどーっ!!
嘘つきで天狗を騙す悪いヤツには変わりないのですが、憎めない〜。
これは萬斎さんの魅力という事なんでしょうね。
世界観も良く、本だけでは感じられなかったというか想像しきれなかった何とも言えない雰囲気が心地良く、俄然公演が楽しみになってしまいました。
期待し過ぎると実際観てガッカリする事も多いのですが、今回は期待を裏切られませんでした。遠眼鏡のシーンだけはちょっと物足りなかったですが(『にほんごであそぼ』の遠眼鏡の切り絵風の映像が好きでした)、他は文句なし♪
そうそう、その遠眼鏡のシーンなんですが、以前どこかで上演した時はCG映像を使っていたそうです。何でも、その時の後援だか主催だかがテレビ局だったので、お金のかかるCGをタダで利用出来てしまったのだとか。で、「NHKはそれを真似した」とレクチャーの時、萬斎さんがおっしゃってました。
その時の公演の映像も見たのですが、確かに『にほんごであそぼ』と同じような感じで、あれはやっぱり好きです。しかし、あれにそんなにお金がかかるとは知らなかった(^^;;;;)。
あと、『にほんごであそぼ』版との違いは鯨でしょうか。
NHKの鯨も可愛かったのですが、舞台のミニ鯨もかわいかった〜。あの目つきがたまりません。あ、写真のチラシに写っている物です。小さいのでわかりづらいとは思いますが、萬斎さんが抱えているのが鯨です。鯨をあんな風に抱えるって、ありえませんけど。ぷぷぷ。
萬斎さんは高い声を出したり低い声を出したり、ペコペコしたかと思えば居丈高に振る舞ったり、調子に乗ったりションボリしたり……とにかく振り幅の大きい演技で、その変化を見るのも楽しかったです。演技の振り幅だけでなく、動きも、飛んだり跳ねたり、でんぐり返しをしたり、泳いだり(笑)と、大きかったぁ。舞台狭しと動き回ってました。
キライな筈の彦市の動きや表情が、面白くておかしくて、かわいくて、仕方ありませんでした。不惑を過ぎた人に「かわいい」と言うのもどうかと思いますが、かわいかった。あ、私、万作さんの事もキュートだって言ってましたね。何歳でも、かわいいものはかわいいという事で
で、楽しみにしていたトークが意外と……(以下略)。
「萬斎さんが話す」というよりも、「ゲストの鎌田東二さん(宗教哲学者)の解説を聞く」というスタンスだったのですが、なんか微妙に話が逸れてました。
たとえば、「今日は天狗と山伏が登場する話だったが、狂言では天狗が山伏のような扮装をする事が多い。それは何故か? 何か関係があるのか?」的な質問を萬斎さんがしてましたが、「天狗と河童が似ている」とか、「天狗は山の神、河童は水の神」みたいな話になり、「妖怪は没落した神」みたいな話になり、宮崎駿アニメにおける神の話になり……いつかは山伏の話に戻るかと思って、こちらは待っているのに、全く着地の気配がなく、「えええっ、それで山伏は一体!?」みたいな(笑)。なんとか萬斎さんがまとめようとしてましたが、「???」という感じでした。
「最後に今回の狂言に関連して『これは知っといた方が良い』みたいな話があれば」というシメの質問にも、狂言とは関係ないような話をされていたような……
つまらなくはないんですが、終始ブレて、ボヤーッとした印象でした。
ぽろっと出てくる狂言に結び付きそうな話を「これを逃すものかっ」という感じで萬斎さんが無理矢理捕まえて軌道修正を図ろうとするも、すぐ横道に逸れちゃう……みたいな。
でもとっても人の良さそうな、素敵な方でした。
萬斎さんは半分困りつつも、半分喜んでいたような。
鎌田さんが「これを言えば萬斎さんが喜ぶであろう」と思って発言する事と、実際萬斎さんが言われて喜ぶ事が微妙に違うようで、それも興味深かったです。
「トリックスター」と言われた時の萬斎さんはすっごい嬉しそうだったからなぁ。
あと、三番叟の話。「高く跳ぶ方が良いですか!!」みたいな感じで身を乗り出す萬斎さんを見ていたら「あれ、ボク、『彦市ばなし』が面白かったって褒めたり、陰陽師の話なんかもしてみたのに、ここで一番食いつくんだ〜」という鎌田さんの心の声が聞こえました(妄想)。
トークの時には黒紋付に着替えられた萬斎さん、やっぱり似合ってたなぁ。
という感じで、楽しい公演でした。
そうそう、能楽堂と違って、舞台も無茶苦茶見やすかったです〜♪
3階席だったのに、とーっても良く見えて大満足です。
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コメント
hi,hi I made a vedio of 萬斎
http://onmyouji.blog.sohu.com/105607565.html
投稿: onmyouji | 2008.12.01 22:19
How cool!
I saw 萬斎's autograph for the first time.
投稿: YAGI節 | 2008.12.01 22:40
The autograph is from someone's blog.I don't have it~T T~
In fact I made some vedios before including 鞍馬天狗.
投稿: onmyouji | 2008.12.03 20:48