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2009.04.11

新選組、敗れざる武士達

2月に読んだ『幕末酒徒列伝』が面白かったので、同じく「ちょっと変わった角度から書かれていそうなエッセイ本」という事で、この本『新選組、敗れざる武士達』を図書館で借りてみました。

これ、表紙が素敵
そして、作者はロッカーだって♪
「ロッカーが語る新選組ってどんな感じ!?」と興味津々で読みました。

読後感想文をアップしようとして、今改めて作者の山川健一さんの事を調べて気づいたのですが、この方、雑誌『ルーディーズ・クラブ』の編集長だったというではありませんかーっ!!

慌てて『ニュールーディーズ・クラブ 15号』を押し入れから引っ張り出してみました。12年前の、デヴィッド・ボウイ特集号です。
おお、確かに、「編集長・山川健一」と記載されている。
編集長自ら、ボウイの新作について熱い記事を書いているっ!!

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ビックリしたのが、記事中の、
「ぼくらは、どこかに所属することが嫌いなのだ。どこかに所属し、忠誠を誓うのが苦手なのだ」という一文。
「だから、ロジャー(間借人)のように、どこにも属そうとしないボウイの事が好き」という意味に取れる文章ですが、一見ボウイと新選組が真逆に思える

これを書いた時、「誠の旗の下、新選組に所属する隊士」の事を山川さんはどう思っていたのでしょう?
12年前はまだ新選組に興味がなかったのかもしれません。
あるいは「どこかに所属し、忠誠を誓うのが苦手」だからこそ、逆に自分に無い物に魅かれるという事もあるか。誠の為に命を懸ける新選組隊士に憧れる……?

あっ、でも、新選組って、結局は間借人みたいな存在ともいえるかも。
脱藩浪人や百姓や商人の寄せ集めですし、「会津藩御預」は「会津藩士」ではないし、「旗本に取り上げられた」と思いきや幕府は無くなっちゃいましたからね。
こじつければ、「ボウイ=ロジャー=新選組」。

新選組、敗れざる武士達なんて、ついついロックを意識してしまいましたが、本の内容は、意外と普通でした。
新選組とボウイを比較するような事もないし(当たり前)、土方の写真に「ロケンロール」と書き込むような突飛な事もしてません(それは『バラガキ』)。
ただ、山川さんとは私、気が合うかも(笑)。
ボウイのアルバムを誉めてくれていたから……というのもありますが(爆)、土方の辞世の句の「東の君」の解釈とか、新選組を美化し過ぎるあたりが、です。
私は新選組に問題が無かったとはもちろん思わないんですが、ついつい美化したくなっちゃうんですよね〜。
伊東甲子太郎についてとか、近藤勇が永倉に言った「家臣になれ発言」の考察などが印象に残りました。
甲府行きが遅れた事も、以前は「のんびりし過ぎた事が悔やまれる〜」なんて思ってましたが、この本読んだら、「ああやって故郷に錦を飾るのもアリだね」と思えた……かな。ちょっと、複雑ですが

全体的に、やや裏づけが弱い感じなので、納得したというよりは「私もそう思いたい。そうだったらいいなぁ」という部分が多かったです。
新選組の事を良く書いてくれるのは嬉しかったのですが、どうせなら松平容保の事も良く書いて欲しかったなぁ。

ところで、「最近『ルーディーズ・クラブ』、見ないなぁ」と思ったら、廃刊して、もうかなり経っているようでした

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コメント

甲府行き。
そうそう、遅かったですよね(^_^;)
でもそっか〜「故郷に錦を飾った」と思えば、納得出来ますね♪

今、ふと思ったんですけど、書かれてる記事の内容と少し違ってしまうかも?なのですが、、、
当時はもちろんTVとかラジオとか、全く無かったですよね。
でも、京の都で活躍していた新選組のことは遠い江戸まできこえてた訳ですよね?
どんな情報伝達方法が有ったんでしょうね?
人から人への口伝え?それだけ?
あ、、瓦番???

何かちょっと気になってしまいました(^_^;)

投稿: あさぎ | 2009.04.11 09:14

この本は知りませんでした。
一匹狼が好きな人が書いた新選組という集団、ちょっと面白そうな切り口かもしれません。
でも、普通なんですか。

投稿: 桃源児 | 2009.04.11 19:56

あさぎさん
ほんと、TVもラジオも無いのに、京都での活躍が江戸まで伝わるなんて、すごいですね〜。
池田屋事件は1864年の日本では、きっと1〜2位を争う大ニュースですよね♪
でも、瓦版では目にしていても、実際大名のようなカッコをしている近藤さんを生で見た多摩の人達はビックリしたでしょうね〜。
オリンピック金メダリストの凱旋以上に大騒ぎだったかも?

投稿: YAGI節 | 2009.04.12 00:34

桃源児さん

>一匹狼が好きな人が書いた

あ、山川さんって、ボウイよりローリング・ストーンズの方がお好きらしいので、必ずしも「一匹狼が好き」というわけではなさそうです(^^;)。
ただ、ストーンズも「反体制派」って事になるのかな?

投稿: YAGI節 | 2009.04.12 00:36

この本面白そうですね♪
副長の辞世、「東の君」の解釈とかすごく気になります!
やはり自分が好きなものってどうしても美化したくなっちゃいますよねぇ。

容保公のことはあまりいい感じでは書かれていないのでしょうか?
出来ればここは一番美化してほしいとこですけど(^_^;)

投稿: dandara | 2009.04.12 21:37

読まれたんですね

美化しているというか、この作者さんの熱い文章がすきです。
ただどことなく、考察のつじつまがあってるようなあってないような
部分が気になりましたが(^^; 面白くは読めましたし、
とにかく新選組を良く描いてくれているって所が気持ちよく
読めますよね〜♪

>「私もそう思いたい。そうだったらいいなぁ」
分かります〜。
同じ事でも、考える方向や、描きようによって印象変わりますしね。

投稿: Mini子 | 2009.04.12 22:11

dandaraさん
私は忘れっぽいので、「東の君」をどう解釈しているのか、最近読後にExcelに入力する事にしました(笑)。
それをはじめてからはまだ「東の君」に言及している本は3冊だけなのですが、3冊目にして初めて将軍家以外の名前を出してくれる本と出会えました。
あ、ここにも慶喜の名前も出てはいるんですが、別の人の名前が挙がってます♪

>容保公のことはあまりいい感じでは書かれていないのでしょうか?

あ、出番はあまりないです(^^;)。
特に批判的というわけでもないのですが、素っ気ない感じかな。

投稿: YAGI節 | 2009.04.12 23:59

Mini子さん
はい、遅くなりましたが、読みました〜。

>考察のつじつまがあってるようなあってないような

そうなんですよね〜。
所々、「え〜、そうかぁ?」って部分もあったのですが、専門家の本というのではなく、趣味の合う友達が書いた物のように楽しく読めました……なんていうと失礼か。
なんというか、おっしゃる通り、「気持ちよく読めた」って感じです。

投稿: YAGI節 | 2009.04.13 00:00

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