幕末・英傑たちのヒーロー
『幕末・英傑たちのヒーロー』という本を読みました。
これを「新選組本」のカテゴリーに入れて良いのか迷いますが、ほんのちょっとではありますが、近藤勇の項もあったので一応(伊東甲子太郎も出てきます)。
あ、ブログ移転後、サイドバーにカテゴリは表示されない設定になってますが(5/6現在)、従来通りカテゴリは設定しており、新選組INDEXもそれに準じて作ってます。
「幕末・英傑たちのヒーロー」としてこの本に挙げられているのは楠正成。
他に菅原道真・武田信玄・赤穂浪士についても書かれてますが、楠話が8割以上、道真話が1割、信玄と赤穂浪士が5分ずつ位といった配分なので、楠正成以外はおまけみたいな感じ?(^^;)
といっても、これは楠正成の伝記ではなく、幕末以降の人々が、どんな風に楠正成を敬ってきたかという事が書かれています。
うーん、楠正成に関する知識って、小学生の頃に得た情報で止まってるんですけど(爆)。
南北朝時代の武将で戦の天才。子供が大喜びするような奇策の数々で敵の大軍をやっつけていて、カッコ良いイメージはありますが……
小学生でも知っている武将の割にはドラマで取り上げられる事も少なく、その後知識を上乗せするどころが、色々忘れて現在に至っているという有様です。
大河ドラマでは『太平記』で武田鉄矢さんがやっていたらしいんですが、見てなかったので、動く楠正成は連想出来ないなぁ。絵本のイメージと、像(皇居)のイメージしかない~。
新選組ファンになってから、「近藤勇が楠正成が大好きだった」という事を知りましたが、楠正成は近藤のみならず、殆どの幕末志士達のヒーローだったんですね。
楠正成自身は鎌倉幕府を倒し、室町幕府を阻もうとしたので「倒幕派」という事になるのかも知れませんが、「忠臣」という所が魅力のようで、佐幕派・討幕派問わず大人気です。こういう物を読むと「皆同じ志なのに、なんで敵対する事になっちゃったかなぁ」と思わずにはいられません。
幕末時、楠正成墓所を訪れる人は一日千人を超えたそうですが、その多くが墓碑の拓本をお土産に買ったそうです。吉田松陰は楠正成を狂おしいほどに崇拝しており、短い生涯ですが、少なくとも三度は墓所を訪れているそうです。拓本も買ったとか。
高杉晋作は楠正成に因んで「楠樹」(雅号)と名乗っていた事もあったそうです(高杉のもう一人のヒーローは菅原道真)。
この本は長州の事を中心に取り上げているのですが、興味深かったのは楠公祭。
楠公祭とは、楠正成を顕彰し慰霊する祭事の事。これは長州だけがやっていた事ではないのですが、長州では楠公祭で一緒に吉田松陰を祀り神格化したそうです。他の尊皇攘夷の殉難者達も一緒に祀るようなり、後には楠公祭から殉難者のみを祀る祭事が独立して招魂祭になり、招魂祭を行う為の招魂場が出来たそうです。
最初は尊皇攘夷の犠牲者が対象でしたが、そこに西南戦争や日清・日露戦争、そして太平洋戦争の犠牲者が祀られるようになったのだとか。招魂場は全国に出来、東京招魂場が後の靖国神社との事。
楠正成と靖国神社、繋がってたんですね~。え、もしや、常識ですか?
だとしたら、今さらですみません~
東京招魂場が出来たのは戊辰戦争後なので、全国レベルの招魂場となります。最初に祀られたのは戊辰戦争の新政府軍の犠牲者です。
旧幕府軍の犠牲者が祀られなかったのは仕方ないにしても、なんと大祭の日と定められたのは会津落城の日と彰義隊が討伐された日と五稜郭が陥落した日(と鳥羽・伏見の戦い開戦日)だったそうです。なんかショック……。
今、靖国神社のHPを確認したら、旧暦でも西暦でも一致しないようなので、現在は配慮して変わったのでしょうか。
小説で、斎藤一が靖国神社を苦々しい思いで見るというシーンがあってとても印象に残ってますが、首相の参拝云々以外にも色々な問題がありそうです……。
とか言いつつ、靖国神社の夜桜能、一度行ってみたくてたまりません。
という感じで、楠正成から、ちょっと意外な方向に行ってしまいましたが、興味深い本でした。
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コメント
そうそう、近藤さん、「楠正成」が好きだったんですよね♪
実はウチの先祖が楠正成の従兄だそうなんです。
くどいようですが、楠正成じゃなくて、従兄です(^_^;)
武田鉄矢さんが演じていたことが有ったんですね。
「太平記」観て無かったなぁ(^_^;)
投稿: あさぎ | 2009.05.07 15:41
太平記、観ていました。
何となく泥臭い風もある正成でした。
楠正成が幕末に英雄扱いされたのは、やはり水戸の大日本史で崇められたからでしょうね。
投稿: 桃源児 | 2009.05.07 23:16
あさぎさん
えーっっっ、すごい~~~~~っ!!
楠家と関係があるのもすごいし、そこまで古い所までわかっているというのもすごい~。
あさぎさんって、お嬢様?
お嬢様といえば、あさぎさんに教えて頂いた『六盛』、今日テレビで「中村橋之助さん行きつけの店」として紹介されていて、今南座に出演中の歌舞伎役者さん達(含愛之助さん)が一緒に訪れてました。愛之助さんと同じお店で食事をしたと思うと嬉しいです(笑)。
これもあさぎさんのおかげ。今更ですが、ありがとうございました♪
投稿: YAGI節 | 2009.05.08 00:23
桃源児さん
『太平記』、御覧になっていたのですね。
あれも脚本、池端さんらしいですよーっ。
光圀は、楠正成が討幕に利用(?)されるとは思ってなかったでしょうね。
あ、あと、記事には関係ありませんが、7月に野村萬斎さん、熊本で公演やるみたいですよ。
投稿: YAGI節 | 2009.05.08 00:24