NINAGAWA 十二夜
6月から7月にかけては楽しみなイベントが目白押しです♪ おまけに本業関連では、システムが変わる事に伴い研修を受ける事になりました。暇な時は思い切り暇なのに、なんでかたよるのか……不思議です。
そんな濃密月間は歌舞伎でスタート。
今週2本観ました。
感想書きやすい方から行ってみます。新橋演舞場の『NINAGAWA 十二夜』です。
シェイクスピアの『十二夜』の歌舞伎化で、タイトルからもおわかりいただけるかと思いますが、蜷川幸雄さんが演出しています。再演です。
「あれ、YAGI節って、シェイクスピア嫌いじゃなかったっけ?」と思われた方いらっしゃいますか? そうなんです。初演の時は全く興味を持ちませんでした。実は蜷川さんもあまり好きではなく……って、シェイクスピアと蜷川さんが好きじゃないって事は、演劇が好きでないと言っているに等しいですね
私、「舞台好き」なんて言っちゃった事もありますが、好きなのはミュージカルと歌舞伎と野村萬斎さんの狂言だけで、普通のストレートプレイは好きじゃないみたいです(新選組関連のお芝居は例外)。
そんな私が、『十二夜』のチケットを買ってしまったのは、舞台写真を見てしまったせいです。公式サイトのトップページの写真が幻想的でとても美しいんです。ビッグベンの夜景が映っていて……って、それは反則な気がします。別にお芝居にビッグベンが出てくるわけではありません。『十二夜』の舞台がロンドンなわけでもありません。ロンドンで公演をやって、その凱旋公演っていう事でビッグベンの写真がコラージュされているだけ。わかっているのに、心を鷲掴みにされてしまう~。
いや、トップページ以外の写真も美しいんですけどね。特に白い花に囲まれた太鼓橋。そしてそこに立つ和装の美しい男女。
ちょっと普通の歌舞伎では見られないような構図で、どうしても生で見たくなりました。あとは蜷川さん苦手とか言いつつ、萬斎さん目当てで見た『わが魂は輝く水なり』のせいで、萬斎さんの息子役(^^;)・尾上菊之助さんもちょっと気になる存在になっていたもので。
原作は未読だったので、観劇前に慌てて読みました。開演1時間前になんとか読了。
「結末を知ると面白さ半減してしまうかも」とは思ったのですが、どうしてもオリジナルと比較してみたかったのです。そして、今回はそれが吉と出ました。結末を知らないとイライラしてしまいそうなシーンがありましたが、結末を知っているおかげで、ゆったりと見られましたから♪
以下ネタバレありますので、これからご覧になる予定の方はお気を付け下さいね。
まず、ファーストシーンにビックリ。
なんといきなりチェンバロです~っ!! それに合わせて歌うボーイソプラノ。そして鼓。いや~、面白い。ツカミは最高です。チェンバロと鼓があんなに合うとは思いもよりませんでした。
鏡の舞台というのも、初見の方は感動するかも。私は昔、市川猿之助さんのスーパー歌舞伎(『オグリ』)で「一面鏡」というのを観ましたが、あの時は本当にビックリしましたから。
スーパー歌舞伎を観た時の興奮は忘れられません。鏡張り以外にも、工夫された素晴らしい演出てんこもり。宝塚より派手で、「こんな舞台があるのか」と感激しました。当時は「普通の歌舞伎よりスーパー歌舞伎の方が好き」と思ったっけ。
……あ、話が逸れました。戻します。
ファーストシーンには美しい大きなしだれ桜が登場しました、これが美しいのなんの。
『わが魂は輝く水なり』の時も似たような花がありましたが、あれより派手。
花といえば、写真で心を奪われた白い花はユリでした。
私の席は3階だったんですが、双眼鏡で観ても本物と見間違う程リアル……あれ、造花……ですよね?
このユリの花園は、もうちょっと近くで観たかったです。
と、セットの事ばかり書いてしまいましたが、役者さん達も素晴らしかったです。
主役の主膳之助(セバスチャン)と琵琶姫(ヴァイオラ)。一人二役ですが、これは菊之助さんハマリ役ですね。
もう他の役者さんは考えられません。ピッタリでした。早変わりもお見事。途中の舞も素敵でした。踊り苦手な私ですが(苦手な物多すぎ?)、見とれてしまいました。
菊之助さんの本当のお父様・菊五郎さん(実年齢では萬斎さんと菊五郎さんが親子で丁度良い)も二役やってましたが、恥ずかしながら、私、全く気付きませんでした(激爆)。
坊太夫(マルヴォーリオ)は髭を生やしていたので……声色も違っていたしぃぃぃ
あとは、市川亀治郎さん!!
いや~、面白かった♪ オリジナルの「マライア」は、特に笑わせる役では無いと思います。なのに、亀治郎さん演じる「麻阿」はなんかおかしい。動きにいちいち笑ってしまいました。いくらかは笑いを意識しているのでしょうが、澄ましてやっているのが逆に面白いというか。その加減が丁度良いのかな。お着物姿で走るスピードが尋常ではないのにもビックリ。「何、あの早さ」と笑ってしまったり、いちいちツボでした(^^;)。
逆に明らかにお笑い担当である安藤(サー・アンドルー)に今一笑えませんでした。この辺は好みの問題だと思います。ロンドン公演を意識してか、安藤だけは所々英語を喋っていたし、イギリスでは安藤の方がウケるのかな。
結論としては、面白かったです。見に行って良かった~
基本的にはオリジナルに忠実なんですが、やはり和風になってるのかな。や、歌舞伎というだけでもう和風なんですが、そういう事ではなく……。
「シェイクスピア的なしつこさみたいな物が薄まっていた所が好きかも」みたいな。
う~、こんなんで、伝わりますか?
例えば私、杏仁が入っている中国風の本格的な杏仁豆腐よりも、日本人用にアレンジされたミルクプリンみたいな物が好き。生春巻はベトナム風の本格的な物より、香草が入っていない物の方が好きなんですけど。そんな感じで。
って、ますます伝わらない?
まぁ、シェイクスピア苦手といっても、悲劇よりは喜劇の方が好きですし。
これは伝わりますよね(笑)。
オリジナルは「ハッピーエンドとはいえ、禍根も残るのでは?」という感じがしないでもありませんが、歌舞伎版の方がどちらかといえば後腐れがなさそうな感じがしました。
狂言では、
ラストに悪事がバレて「ご許されませ、ご許されませ」と片方が逃げて、もう片方が追いかけながら退場しておしまいというようなパターンが多くあります。
そういう演目を観た外国人が「彼らは裏(退場後)では握手していそう」と言った……というような話を以前、萬斎さんがしていました。
「すぐ仲直りしちゃいそう」という意味です。
『十二夜』の「ご許されませ」というセリフを聞きながら、ふとそんな事を思い出しました。
ロンドンで公演する位ですから、イヤホンガイドなしでも楽しめます。
歌舞伎初心者には超おススメかも。
またしても、富司純子さんを見かけました。
かなりの確率で、観劇(あるいは御挨拶?)にいらっしゃっているのでしょうね~。
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コメント
コレ、最近よくTVでCMやってますね!
観に行く予定は全くないんですが(^_^;)
公式サイトのトップページ観て来ました。
ホント、ビッグペンですねー!
私もビートルズやクイーンが好きなので、ついつい心惹かれてしまいます(*^^)v
私信:例の件、残念ですが了解致しました。
あ、でも心変りしたら言ってね(^_^)v
投稿: あさぎ | 2009.06.15 09:57
あさぎさん
えーっ、関西ではテレビCMやっているのですか!!
関東では歌舞伎人気は高く、これの売れ行きも好調みたいですが、関西ではそうでもなくてCMやるのかなぁ?
って、もしかしたら関東でもCMやっているのに、私が知らないだけかもしれませんね(^^;)。
フレディ・マーキュリー、丁度私がロンドンに遊びに行った時に亡くなってしまったんです~。
あれ、この話、前にもしたかな?(だったらごめんなさい)
投稿: YAGI節 | 2009.06.15 22:03