座・SQUARE 第12回公演
先日、元THE SQUAREの仙波清彦さんのイベントを見てきた話を書きましたが、似て非なるもの、今度は「座・SQUARE」です。
「座・SQUARE」とは、能楽最古の流派・金春流(こんぱるりゅう)の若手能楽師4名によって結成された会だそうです。
いまだ能の面白さを理解する事の出来ない私、「もう無理かも」と半ば諦めつつも、演目に興味があったし、解説もあるようだし、野村萬斎さんが出るので、行ってみました。
国立能楽堂です。
能 ◆蝉丸/井上貴覚・辻井八郎 他
蝉丸、百人一首ファンにとっては気になる人です。
この人の場合は、なんといっても坊主めくりですね。
普通、坊主が出ると持ち札を全部放棄しなければいけないのですが、蝉丸が出ると他人の持ち札全て貰えちゃうのですからっ!! 他の「坊主」と違って、この人だけは頭巾被ってるし、異彩を放った人なのです。
出自も経歴もわからない謎の人物ですが、なんと能では皇子という設定でしたっ!!
それを知っただけでも、この能を見て良かった……かな。
解説聴いてたら、「ええ~っ、そんな話なのっ!?」と身を乗り出してしまいました。
醍醐天皇の子供ですが、生まれながらの盲目で、「そんな子は皇族には相応しくない」とばかりに山に捨てられてしまう蝉丸くん。家来が気の毒がっても、
「これは前世の報い。ここで償っとけば来世は安心。これもパパの思いやりさっ」
みたいな感じで、恨む事もせず、自分の運命を受け入れるのです。
一方、蝉丸のお姉さんは、くせっ毛を笑われて、エリザベートばりに(?)、家を飛び出し彷徨うようになります。そんな蝉丸とお姉さんが再会して、また別れるという話だそうです。
……と、あらすじを書くと、なんかドラマチックなお話なのですが……
やっぱりというべきか、能の言葉は聞き取れず、眠くなり……
はぁ、私、ホント失礼な客です。もう、能見に行くの、やめた方がいいかなぁ(涙)。
狂言 ◆雷/野村萬斎・石田幸雄
先日狂言劇場で、劇場版を見ましたが、今度は通常版(?)です。
とってもウケてました。『蝉丸』の悲しい話の後で、皆さん笑いに飢えていたのかも。私の前には外国人のおじさまが座ってましたが、大笑いしてて、なんだか嬉しくなりました。
萬斎さん、狂言劇場のポストトークでは「能楽堂では天から落ちてきた感じがあまり出ない」みたいな事をおっしゃってましたが、「それはそれでいいんじゃないかなぁ」という感じもしました。天上にいる筈なのに、人間のすぐ近くを走り回っている感じはリアリティはないけれど、なんだかとっても面白かったんで
能 ◆舟弁慶/高橋忍・山本慧・森常好・野村萬斎 他
これは歌舞伎で見た事があります。元ネタである能と見比べてみたいと思ってました。
歌舞伎でも能でも静御前と平知盛が主役で、これを一人二役で演じます。「美しい女性と逞しい男性を同じ人がやるなんて大変そうだなぁ」とは前から思っていたのですが、今回は解説で「片や世界一義経を愛しいと思っている人、片や世界一義経を憎んでいる人」と言われて、「なるほど、そう言われればそうだなぁ。そう思って見ると、また感慨新ただなぁ」と感じ入りました。ホント、何故この2人を同じ人に演じさせようとしたんだろう? その発想、面白いです。
しかし、これも、途中睡魔に襲われました……。
能のリズム・抑揚は、眠気を誘います~(>_<)。
途中で萬斎さんが登場したので目が冴えたとはいえ、なんだか情けない。客層は年配の方が多かったけれど、私の両脇にいた人は若く、とても熱心に見てました。偉いなぁ。自分が恥ずかしいっ!!
萬斎さんは船頭役。一人で走り回ったり、髪を振り乱して必死でオールを漕いだりと運動量豊富。周りがあまり動かないので、萬斎さんの動きが異次元のスピードに見えました(笑)。カッコ良かったです。あんなカッコいい船頭ってありですか?
カッコいいといえば、歌舞伎の知盛はとてもカッコいいです。
特に『義経千本桜』の碇知盛のカッコ良さといったら!!(……とか言いつつ、大河ドラマ『義経』とシャッフルされて、知盛の顔は阿部寛さん……)
『船弁慶』での知盛は亡霊ですが、それでも歌舞伎版はカッコ良いのです。私のような素人では、言われなければ亡霊とはわからない程です。
が、能では面をかぶり、明らかにこの世のものではありません。ま、これも違う意味でカッコ良いのですけどね。長刀振り回す様もキマってます。そして、面を見るのは好きなので、これは興味津々で見れました♪
という感じで、面白かった部分もあるんですが、眠かった所もあまりにも多く……
今後の能鑑賞について、どうしたら良いものかと考え込んでしまいそう。
でも、また萬斎さんにつられて、行っちゃうのかな~?
あ、行っちゃうよ。チケット、持ってたよ
どうしたら能で眠くならないですむか、どなたか教えて下さい~。
| 固定リンク
« 風を継ぐ者 | トップページ | 保科正之/中村彰彦 »
コメント
能は確かに所作が緩やかで眠くなることも多いですよね。昔お茶のお友達で宝生流の能をなさっていた方がおられ、随分と能を鑑賞いたしました。能は歌舞伎より好きかも知れません。最初の大鼓のカーン、続いて笛のピーッと言う音で一挙に幽玄の世界に誘ってくれる緊張感がたまらなく好きなんです。能でも修羅もの狂女ものですとかなり動きがありますので、眼が覚めます。舟弁慶の義経は子役が演じることが多いのですよね。萬斎さんは間狂言でしたのですか?素顔自体が面となるワキ方の森常好さんの父上茂好さんが好きでした。因みに蜘蛛の糸は歌舞伎より華やかに感じました。狂言も勿論面白くて大好きです。私はやはり万作さんですが。能は謡いの部分は大抵演目の解説書に文語文で書いてありますのでそれを眼で追うと眠気がかなり解消されました。こんなので参考になれば良いのですが。
投稿: 早々 | 2009.07.21 16:10
早々さん
きゃ~、ありがとうございますっ!!
うちのブログに来て下さる常連さんで能がお好きな方はいらっしゃらないようで、能の話は書いても殆ど反応がありません(^^;)。
「ニーズ無いよなぁ。皆さん、この記事は飛ばしちゃって、読んで下さらないかもしれないなぁ」なんて思いながら、アップしてました。
コメント頂けて、ホント喜んでます。
早々さんは、能がお好きでしたか!
それでも、眠くなる事があるのですね。
>舟弁慶の義経は子役が演じることが多いのですよね。
そうなのですね。
そういえば『安宅』も『鞍馬天狗』も義経は子役でした。
>演目の解説書に文語文で書いてありますのでそれを眼で追うと
>眠気がかなり解消されました。
う~、私はそれでも眠くなりました……困ったものです。
今迄10本程観ましたが、眠くならなかったのは『石橋』位。
あれは半能? 短かったです(^^;)。でも、ホント面白かった♪
なので、決して能がキライという事ではないと思うんです。
が、眠くなっちゃう
次は『清経』の予定なんですが、これ、早々さんのおっしゃる「修羅能」ってヤツですよね。どうなるかな~。
>蜘蛛の糸は歌舞伎より華やかに感じました。
おおー、そうなのですか!!
歌舞伎の『蜘蛛絲梓弦』とか『蜘蛛の拍子舞』とか『土蜘』は見た事ありますが、蜘蛛の糸を見るとエキサイトします(内容ごっちゃになってますが)。
能はさらに華やかなのですね~。萬斎さんの狂言とセットでやってくれないかなぁ(^^;)。
万作さんも好きですよー♪
よろしければ、またぜひ能や狂言のお話にお付き合い下さい。
古い記事のコメントでも大歓迎です。色々教えて頂けたら嬉しいです
長文失礼しました。
前は長文コメントが書けないしくみだったのですが、ニフティはこんなに書けるんだなぁ。
投稿: YAGI節 | 2009.07.21 20:02