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2009.07.26

府中市制55周年記念 能狂言

皆既日食、10分の休憩時間に木漏れ日(欠けた影が出来るとか)の写真でも撮ろうかと思い、カメラを持って行ったのですが、残念ながら光は差して来ませんでした~

さて、一昨日、またまた能狂言を観て来ました♪
今回の野村萬斎さんご出演演目は『舟渡聟』。
これは見た事があるのですが、今回はチケット発売開始日に仕事がお休みだったし、チケット代が全席同じ金額(安目)だったので、狙う事にしました。
前から2列目をゲット出来ました。きゃー

Noそれでは感想行ってみます。

◆講演 清経/小林健二
能の上演前の解説というのは何回か聴いた事がありますが、今迄はストーリーを説明してくれる物がほとんどでした。
今回はそれに加えて詞章(歌詞カード)の解説があるのが嬉しかった♪
古典の授業のようでしたが(^^;)、学生時代に聴いた古典の授業よりずーっと楽しかったです。学生時代は「聞かされてる」、今は「聴いている」という自分側の姿勢の違いも大きいとは思うのですが、小林先生のお話、とてもわかりやすかったです。

ストーリーはわかっても、「今、一体どういうシーンを演じてるの?」なんて思う事もしばしば、置いてきぼりな気分を味わう事の多いダメダメな私ですが(爆)、今回はこの講演のおかげで、少しは付いて行けたかも。毎回こういう解説があれば、良いなぁ。

狂言 ◆舟渡聟(ふなわたしむこ)/野村萬斎・野村万之介・石田幸雄
萬斎ファンになってまだ日が浅いのに、既に2回も見てしまうという事は、頻繁に上演されているという事で、頻繁に上演されているという事は人気演目という事ですよね。笑いがあって、カッコイイ謡もあるので、人気があるのも頷ける気がします。萬斎さんの魅力を味わうにはうってつけ。それを2列目から見れて幸せでした

能 ◆清経 替之型(きよつね かえのかた)/中森貫太・古川充・殿田謙吉
やや寝不足だったので、「寝ちゃったらどうしよう」とドキドキしていました。さすがに2列目で寝るわけにはいきませんが……
講演のおかげもあって、寝ずに済みました~(^^;)。
それにやっぱり席は大事。清経はうまい具合に私のすぐ近くで舞ってくれたのですが、大迫力でした♪
親戚の家に能面が飾ってあって、その部屋で寝た時、なんだか面に見つめられているような気分になって落ち着かなかった事が印象に残ってますが、面って「見られてる」と思わされる範囲がとても広いんですよね~。見つめられると見返さずにはいられません(笑)。面見るの好きだし。
途中刀を振り回していたのも、日本刀好き(?)としては嬉しかったです

◆質疑応答/中森貫太
いや~、中森さんのお話は、ほんっとタメになる!! もう「『へぇ』ボタン」を押しまくりたい気分になります(古っ)。
前回はどんな事おっしゃってたっけ?」と今、当ブログを確認してみたのですが、「聞いたこと全部書きたい位ですが(略)、このブログを見て下さる方の中に能に興味のある方がそれ程いるとは思えないのでやめときます」とか書いてるよ>自分。
そして今となっては「面白かった」という事しか覚えてない。内容を覚えていない~。
ちょっとショックだったので、今年は人の為ではなく、自分の為に備忘録として記録を残しておこうと思います。

<流派の違い>
江戸時代にこんな歌が詠まれたそうです。

「観世ウキウキ(軽い)、喜多キバリすぎ、金春コンニャク骨がない、
宝生ホドよくよく揃う、そやけど、さっぱりおもろうない 金剛(今後)さっぱり流行らない」

悪口なんですけど(^^;)、特徴はよく表されていて、今でもこういう傾向はあるそうです。私には違いは全くわかりませんが
あれ、「武張り過ぎ」という言葉もどっかに入っていたような……???

そういえば、先日国立能楽堂に行ったら展示室に台本が飾ってありました。流派によって書体も違ってて行書で読みづらい物が多かったけれど、金春流の台本は楷書できれいで読みやすかったなぁ。

<舞>
笛が鳴っていない時の動きは能では「舞」とは呼ばないのだとか。
つまり、『清経』は「舞」が無い演目なのだそうです。
「えーっ、あんなに踊りまくってたのに!?」と驚いた私でした。
うーん、「能.com」では『清経』の見所として、「クセからキリにかけての舞の部分が一番の見どころといえるでしょう」と書いてあったのですが。
「舞」という表現がわかりやすいから、そういう表記になっていたのでしょうか?

<「主人公になりきる」という感覚はない>
「他の人は違うかも知れませんが、あくまで私は」と断った上で、「演じる人になりきる」というような事は考えないとおっしゃってました。
たとえば『清経』を演じる時は、「修羅物」という事を考えながらやっていて、『清経』も『敦盛』も『頼政』(だったかな?)も同じようにやっているとの事。
「どの役やっても同じ」という評を悪口ととらえる人もいるかも知れないけれど、
「型の通りにやれているという事だから、自分はそれをむしろ誉め言葉だと思う」
みたいな事をおっしゃっていました。
「型」が大事という事は萬斎さんの本や口からさんざん見聞きしていたので、納得出来ました。現代劇とは違う点ですね~。

<鉢巻と蔓帯(かづらおび)>
一見良く似た物なのですが、鉢巻は防具で面の上、蔓帯は髪飾りで面の下に付けるそうです~。

他にも色々あったのですが、今思い出せないので、この位にしておきます。

「それ知ってる~」という質問に対しても、必ずトリビアな事を加えてお話してくれる所に唸りました。あまりにも見事な回答ぶりに、溜め息と拍手が沸き起こった程です。
また中森さんのお話、ぜひ聞きたいです。次回も、見た演目があっても、中森さんのお話目当てにチケット買っちゃいそう。……それにきっと次回も狂言は萬斎さんですよね?(^^;)

中森さんが中心になった公演は府中では毎年1月頃行われているようですが、今年は劇場の改装工事の為に7月となってしまいました。
次はまた1月に戻るようですが、7月にやったから次は再来年とかおっしゃるではありませんかっ。「そんなの反対~っ。年に2回やったっていいじゃないか~っ」と思った私でした。

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コメント

清経ご覧になったのですね。清経ではないのですが中森さんは父上の昌三さんの解説で見たことがあります。確か横浜能楽堂で鉄輪とだったと思います。最近はちょっと能から離れていまして記憶が定かではないのですが。
修羅者にはカケリがありますが清経にはないようです。
舞は序の舞。中の舞、一番能も演じるではなく舞うといいますよね。能五流では謡宝生、舞観世と言う言い方しか知りませんでした。能をよく分らないくせに能役者さんに対し失礼を省みず生意気言わせて頂きますと、プロなのですから型通り演ずることは大切さですし当たり前と思うのです。能役者は装束をつけたときから演ずる曲のその役にならないと「面」やその体の動きで感情を出すのですからと浅はかにも思ってしまうのです。8月に演目は不明ですが遊行寺の薪能を鑑賞するつもりです。

投稿: 早々 | 2009.07.27 00:05

早々さん
五派の違いについての質問を受けた時、貫太さん、「この話は父の得意分野ですが……」と、ちょっと含みのあるような言い方をされていたので気になって調べてみたんですが、晶三さん、昨年お亡くなりになってしまったのですね~

>能役者は装束をつけたときから演ずる曲のその役にならないと
>「面」やその体の動きで感情を出すのですからと浅はかにも思ってしまう

ですよね~!!
でも、感情を出すという事よりも、「どう見えるか」という事に気を使っていらっしゃるようでした。
貫太さんのお話、すごーく不思議に感じたんですが、萬斎さんも、松本幸四郎さんも、貫太さんと似たような事をおっしゃっていたので、「日本の伝統芸能って、そんなもんなのかなぁ」なんて朧気に思ったんですが、役者さんにもよるのかなぁ?

薪能いいですね!!
まだ萬斎さんのファンになる前に、見に行った事があります。
(眠くなるとか言いつつ、興味を持ったのは、狂言より能が先だったのです)
内容は全くわからなかったのですが(爆)、雰囲気が何とも言えず、興奮しました(笑)。
会津まつりの時、鶴ヶ城で毎年薪能をやっているみたいで、これは一度見てみたいです~。

投稿: YAGI節 | 2009.07.27 23:10

表情で訴えかけることが出来る歌舞伎と違って、能は面の傾け具合や扇の返しや用いかたでしか感情を表すことが出来ないですよね。特に3番目能は小書の鬘帯を引くことで小面や若女は演出も出来ますが、深井や曲見の曲ですと心模様を面の翳りで映すとなると大変だとは思います。確かに「どう見えるか」は大事なことだとは思います。半分納得です。
詳しくは分りませんが、五流能は用いる面をはじめ、装束がかなり違っているようです。

遊行寺の薪能はお坊さんが篝火に豪快に薪をくべ、火の粉が飛んでくるので大変ですが、虫の音を聞きながらの能鑑賞も良いものです。

投稿: 早々 | 2009.07.28 17:30

早々さん
あっ、そうですね、歌舞伎と一緒にしちゃいけないですね
萬斎さんが、『花の乱』に出た時に、「目の演技は(共演した)市川團十郎さんを参考にする」みたいな事をおっしゃっていたのを思い出しました。
能楽では目の演技はしないので、ドラマでの目の演技は苦手だったそうです。

それにしても、能の動きは何を意味しているかとか、さっぱりわかりません~
早々さんは、よくご存知なのですね~。
私は言葉もわからず、動きの意味もわからないのですから、前途多難……

>火の粉が飛んでくるので大変

それも、また楽しかったり♪
……って、ヤケドなどしないで下さいね~。

投稿: YAGI節 | 2009.07.29 00:43

日食、全国的に曇りの所が多かったですね。こちらもよくわからず、少し暗くなったかなあという程度でした。
前から2列目、すごいラッキーですね。

投稿: 桃源児 | 2009.07.30 09:05

桃源児さん
マジンガーのおかげで、萬斎さんを生で見られました(笑)。

日食、九州ではかなり欠けたと思うのですが、やはり曇りではよくわからなかったのですね。残念。

投稿: YAGI節 | 2009.07.31 19:11

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