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2010.07.11

ファウストはアラジンだった

野村萬斎さん主演、蜷川幸雄さん演出の舞台『ファウストの悲劇』観て来ました。

Fa萬斎さんの事は大好きなのですが、実は萬斎さんの狂言以外の舞台とは相性の悪い私。
基本的にストレートプレイが好きじゃないんです(三谷幸喜作品は例外)。
特に悲劇は苦手(ミュージカルなら好きなのになぁ)。
という訳で、このタイトルを見た時も行こうかやめようか随分迷ったのですが、ファウストにはちょっと興味があったので行ってみました。

以下、ネタバレありまくりです。

タイトルにした「アラジン」とは、『アラジン・セイン』の事で、デヴィッド・ボウイのアルバムのタイトル名です。

『ファウストの悲劇』に出演されていた大林素子さんは御自身のブログの中で『エリザベート』を連想すると書かれていました。私も、『エリザベート』は大好きですが、ボウイの方が更に好きなのでアラジンを連想してしまったみたい。

精霊を呼び出す姿からは『陰陽師』を連想する方もいそうだし、
姿を隠して悪戯をする様は『彦市ばなし』だし、
キアヌ・リーブスのファンの方だったら『ディアボロス/悪魔の扉』を思い出すだろうし、
悪魔と契約を交わす姿からは、変若水(おちみず)を飲んで鬼になる土方をイメージする方もいるかも!?(笑)

という感じで、幅広い層にアピールしそうな作品だったと思います。
ストーリーは面白いです。原作読みたくなっちゃいました♪

が、劇中劇スタイルのせいで今一世界に入り込めなくなっちゃったかも。
たとえば、ラストのファウストの見せ場。
せっかく萬斎さんの熱演に引き込まれていたのに、尺八のような音が。そこで「あ、そういえば、これ、劇中劇なんだっけ。ここは日本の芝居小屋という設定だっけ?」と思い出してしまいました(←あえて「歌舞伎」とは書かない)。
そんな事思い出しても何も良い事ないのに~。思い出したくなかったです。水さされた気分……

他の演出は好きでした。遊び心満載で、とにかく派手。ミュージカルならいざ知らず、ストレートプレイであんな派手なのアリですか? 驚きました。
ワイヤーアクションにはもう大喜び(子供か)。
冒頭は萬斎さんを見るのも忘れ、宙吊りの悪魔に見とれてしまいました。ぐるんぐるん回ってスゴイ~。

炎は使うわ、花火は使うわ、セットも豪華。ザッツ・エンターテインメント! これだけやってくれればチケット代の高さも気になりません。っていうか、これだけやって『わが魂は輝く水なり』より安くなってますよね。素晴らしい。不況のせいですか?

驚いたのは生首。
よく出来てました。『六道輪廻』にも生首出てきましたが(^_^;)、あれよりリアルだったかも。今回前から2列目でよく見えたのですが、ホント萬斎さんにそっくりでした。

あ、今回、2列目だったんです。うふ♪ 幸せでした
ベンチシートという名前に怯えていましたが、ベンチというよりはソファーっぽかったかな。

よく出来ていたといえば、裸体のヘレナ!!(ギリシャ神話でお馴染み。美女の代名詞)
「きれいな人だなぁ」と思ったのですが、帰宅してからそれが男性だと知りました……。
美しい胸が露わでしたが、あれも作り物だったとは。2列目でも気付きませんでした

シアターガイド 2010年 08月号 [雑誌]そして、萬斎さんの衣装のステキなこと
軟弱なマント野郎(そんな感じのセリフがありました)が最高!! マントの裾捌きの美しさはさすがですが、またスリムな体にノーブルな衣装が似合うんですよね~。
欲を言えば、髭はナシにして頂きたかった。
あ、今回のファウストって、24年間年は取っていませんでしたが、若返りもしてないですよね。「若返りを求めたら、髭がなくなってツルンとかわいくなっちゃう」というエピソードとか、あったらイイのになぁ。

丁度こーんな感じの若々しく凛々しい感じのお顔でやって欲しいのですが~。→

ファウストも良かったけれど、メフィストフェレスも良くて、2人の役を交代させるのも面白そうと思いました。
『レ・ミゼラブル』では鹿賀丈史さんや今井清隆さん等がバルジャンとジャベール両方やってるし。あんな感じで。

一部気に入らない点やツッコミ所、謎はありましたが、全体的には楽しめました。ストレートプレイが苦手な私としては破格な程に
恐れていた暗い悲劇でもなかったし、タイトルで臆して観るのやめなくて良かった~♪

もっとも……
暗い悲劇ではないんですが、実はかなーり身につまされました。
私って、ファウストなんじゃないかと(>_<)。
24年を浪費している私は、悪魔と契約しているようなものではないかと(>_<)。
自分の中では辛い事や苦しい事もそれなりにはあり、ささやかな努力をしてない事もないのですが、多分親から見たら好き勝手な事して24年生きていると思われてそう。
悔い改めようと思いつつも、結局ほとんど変わらぬ毎日……。いつかしっぺ返しを食らうとわかっているけれど、どうにも出来ない……。どうして良いかわからないまま時だけが……。

魂を取られたファウストはどうなっちゃうのかな?
『六道輪廻』に出て来たような地獄で苦しむのか?
でも、地上も地獄って言ってたし……??? キリスト教と仏教は違いますよね。
うーん、やっぱり原作読んでみたい~。


最後に、今日のブログのタイトルの話をもう少し。
あ、この先はデヴィッド・ボウイ・ファンでないとわからないような事が書いてあるので、一般の方はスルーした方が良いかもしれません。

帰りの電車の中で、ボウイの『アラジン・セイン』を聴きました。
「気のふれた男優」の"Forget that I'm fifty cause you just got paid"というくだりに、「ファウストも24年間は不老不死だけど、実年齢は50過ぎかもね」なんて思いを馳せました。
ボウイはこの曲をライブで歌う時に髑髏を持っていた事もあるようですが、髑髏と生首って通じる部分がありますよね。
また、「John, I’m Only Dancing(ボーナストラック)」の、「誘惑されてるけど、踊ってるだけなんだ、誤解しないで」なんて言う歌詞(ゲイのカップルの歌)からはファウストのタンゴ・シーンを連想したり、
「時間」の間奏ではメフィストフェレスが懐中時計を揺らすシーンが思い浮かんだり……
そして、あの猥雑かつ退廃的な雰囲気は『アラジン・セイン』だ、と思ってしまったんです。
うん、ボウイは絶対、この話好きに違いない。
作者のクリストファー・マーロウのプロフィールを読むと、この人の事もボウイは興味を持つに違いないと確信してしまいました。いや、証拠はありませんが

うーん、鞍馬天狗を好きになったと思ったのに、結局はボウイだったのか~(違)。
以上、「何からもボウイを連想してしまう病」患者の感想でした。

↓髑髏を持ちながら「気のふれた男優」を歌うボウイです
悪魔に魂売ってるっぽいです(?)

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