１月 狂言の会

今日は国立能楽堂へ行って来ました。
今年最初の狂言です♪

国立能楽堂のチケットはいつもインターネットで予約して、会場の自販機自動発券機で発券しています。
今日もいつものようにクレジットカードを差し込み、発券しようとしたのですが、画面には来月のチケットしか表示されない……。
そこでハッとする私。
先月の定例公演の時に今日のチケットも発券したんだったーっ!!　うぎゃーっ!!
すっかり忘れてました。私のばかばかばか～。チケットは家だ～。

側にいた係の人に事情を話した所、電話番号や名前を聞かれて「仮入場券」というのを出してもらえました、インターネットで購入したからデータはちゃんと残ってるんですね。ああ、良かった、助かった。ありがとうございます。

「万が一この席の正規のチケットを持ってる人が来たら、そちらが優先です」と言われるも、「そんな人が現れる事はないだろう」と思ってました。
が……
うわーん、既にその席に誰か座ってるよーん。

迷った挙げ句に、座っていた人に「間違ってないですか？」と声をかけてみた所（失礼ですよね、ホントすみません）、正規のチケットを見せられました。すごすご退散する私。

入口の係員に、「仮入場券」を見せて相談してみると、「確認してみます」と、その席へ向かおうとするではありませんか。
「あの方、ちゃんと正しいチケット持ってました。見せてくれました」と言ったんですが、やはり係の人としては、自分の目で責任持って確認しなければいけないのですよね。
そしてやっぱり、その席に座っている人に非はありませんでした。

「チケットセンターの者が間違えたのかもしれません。確認するのでもう少々お待ち下さい」と言われ、待っているうちに……最初の演目が始まってしまいました。

結局、「仮入場券」への番号転記ミスだった事が判明し、係の人に誘導されて着席したのですが、ハラハラした～。
というのも、先月ここで「遅刻した奴を途中で入れるな」というようなクレームを付けているおじさんを見たのです。
「そこまで怒らなくても…」とは思いましたが、確かに上演途中の入場って、他のお客さんの迷惑ですよね。気持ちわからなくもありません。ホント申し訳ない。チケットセンターの人のミスとはいえ、今回はそもそも私がチケットをちゃんと持ってきていれば起こらなかった事。
ああ、今年の狂言始めがこれとは……。

それでは、気を取り直して、演目の感想行ってみます。

◆宝の槌（たからのつち）／大藏彌太郎・大藏基誠・善竹十郎（35分）
「太郎君がご主人様のいいつけ通りのおつかいが出来なかった」という狂言にはありがちなお話。
源為朝の話などもしていたのですが、途中から見たので、その辺はよくわかりませんでした……。

◆栗焼（くりやき）／山本東次郎・茂山良暢（30分）
「甘くておいしそうな物に目が眩み、ついつい全部食べてしまった太郎君がとんでもない言い訳をする」という『附子』テイストなお話でした。
山本東次郎さんを生で観るのは２度目かな。
前回も、国立能楽堂の狂言の会でした。
その時は「こんな能みたいに難しい狂言があったのか」と驚くような演目でしたが、今回は狂言らしいわかりやすい演目でした。
山本東次郎さんの動きはユーモラスで楽しかった♪

◆鬼丸（おにまる）／石田幸雄・野村萬斎・野村万作（40分）
「ありがたや～」という感じの一曲。
萬斎さんは僧役なのですが、この僧が実は観音様の化身という設定だったのです。
狂言の女性役は美男鬘を巻くのが一般的ですが、観音様だからなのか(？)黒髪を付けて、お雛様のような冠を戴き、能のような美しい衣装を身にまとってました。
以前越後聟を見た時に、「顔が隠れていて殆ど目しか見えないのにあんなにカッコ良いって、どういう事？」みたいな事を書きましたが、今回も乙の面（ちょっとユーモラス）を付けているのに無茶苦茶カッコ良い。どういう事？　ステキでした。

観音様の正体を現す際は、まず声だけが聞こえてくるのですが、それがこの世のものとは思えぬカッコ良さ。つくづく良いお声です。
あ、上演後に、「萬斎って、面を付けてる時の方が声いいよね～」という声が聞こえたのですが、そういう事なんですか？　そんな事ってあるんですか？　観音様になったから一味違うお声を出したという事ではなくて？　なんだかよくわからないけれど、カッコ良いという事だけはわかりました(爆)。

観音様の姿を現してからが、またステキ。
一般人を演じる時のような前屈みスタイルではなく、スッと背筋を伸ばし、優雅に美しく動きます。普段イメージする観音様とは違ったけれど、神々しかった～。
という事で、冒頭の「ありがたや発言」に繋がるという次第です。
良い物が見られました。

今年の狂言始め、情けない失態から始まりましたが、最後はとっても幸せな気分で帰る事が出来ました。ありがとう、萬斎さん♪