シーツを握る萬斎さん
一昨日、
東日本復興支援リーディング『いのちを詠(うた)う ―日本の現代詩から―』
というイベントに行って来ました。
世田谷パブリックシアターで行われる筈だった海外カンパニーの来日公演が、震災の影響でキャンセルとなったので、その空いた劇場を使っての企画が急遽持ち上がったのだそうです。
世田谷パブリックシアター芸術監督である野村萬斎さんの呼びかけで、
平幹二朗さん・竹下景子さん・南果歩さん・仲村トオルさん・今井朋彦さん・浦井健治さん・久世星佳さん、他豪華な役者さんと詩人の方々が集いました。
役者の皆さんは、さすがに声が素晴らしい。
平さんの迫力に圧倒され、南さんの声に癒され、今井さんの個性に引き込まれました。
私は子供の頃、母に本を読んでもらうのが大好きだったのですが、南さんの朗読を聴きながらふとそんな事を思い出しました。南さん、ご自身のお子さんに読み聞かせをやっていらしたそうです。道理でハマっていたわけだ。今度は南さんの読む童話とか聴いてみたいなぁ。
イベントが終わり、出口に向かうと、震災の募金を受け付けていました。
シーツのような大きな布を広げて数人で持ち、そこにお金を入れるというスタイルです。
萬斎さん、震災直後のフランス公演の際に募金活動をされたそうなんですが、その時にこういうフランス式を知ったそうです。
先日話題にした「MANSAI◎解体新書その拾八」でも、そのスタイルを取り入れてました。
あの時、私は500円募金をして、
「このシーツを持っているのが萬斎さんだったら、千円入れちゃうだろうなぁ。で、『ベッジ・パードン楽しみにしてます♪』とか、声かけちゃうんだけどなぁ」
などと妄想したものでした。
萬斎さんが、そう易々と姿を現す筈なんてないのですけどね。
そんな事を思いながら、ふとシーツの端に目をやると……
???
一瞬、時が止まりました。
目の前に見えている光景が信じられなくて、しばし硬直。呆然。
シーツを握っているのは萬斎さんではないですかっ!!
きゃーっ!!
ど、ど、ど、どうしよう!?
目は萬斎さんから離せないのですが、緊張のあまり募金シーツに寄る事が出来ません。
凝視しつつつも、一旦通り過ぎてしまいました。
そして、財布の中身を考えます。
千円札はありません。小銭は90円位しかなかったような……?
出掛ける時、千円札を用意しようかと一瞬思ったんです。
でも、遅刻しそうでそんな暇が無かった(>_<)。
……90円入れに戻るか……!?
でも、萬斎さんを目の前にして、いい年した大人が90円って!!
結局、募金しませんでした……
今思えば「90円でもいいじゃん」という感じもするのですが、心臓バクバクしておかしくなってました。
出口に向かいかけたものの、立ち去りがたく、結局ずーっとロビーにいて、萬斎さんがシーツを手放して立ち去る迄見つめまくっていた私でした(怪)。
次に考えたのが写真の事。
撮りたい、撮りたい、撮りたいっ!!
なんだか、いい写真が撮れそうなのですよ。
でも撮っていいのかな?
「皆が撮っていたら、どさくさに紛れて私も撮っちゃえ」と思ったのですが(すみません)……写メで撮っている人はいても、カメラを向けている人は、私が気付いた限りいませんでした……。
皆さん、大人だなぁ。マナーがあるなぁ。
一回フラッシュが光ったので、写真を撮った人もいたとは思うんですが、撮ったら目立ちそうな気がしました……。
結構高倍率のカメラを持っていたので、
「思い切り離れて、関係ない物撮ってるフリして望遠で撮ってしまおうか?」
なんて姑息な手も考えたのですけどね……出来ませんでした。
あれが、ジャニーズのアイドルとかだったら、撮ってしまうかも。
でも、萬斎さんだと思うと、「そんな失礼な事は出来ないっ、申し訳ない」って気持ちになってカメラを向けられませんでした。
嫌われたくないし~。←嫌われるもなにも認識してもらう事すら無理だってば
帰りの電車の中では、リーディングの事はすっかり忘れ、募金の事ばかり考えていた私でした(恥)。
萬斎さんとお話している人も、握手してもらってる人もいたなぁ。
自分もあの立場になっていたのかもしれないと思うとドキドキしました(ばか)。
帰りにコンビニで買い物をして、お釣りの野口英世を見つめながら、
「あの時、千円札があったら、どうしてたかなぁ?」と考えました。
……見ただけで舞い上がっていたから、話しかけるなんて事、やっぱり出来なかったかもしれない。
って、どんだけ乙女なんだ(爆笑)。
そういえば、千円札が夏目漱石から野口英世に変わったのはいつだったかなぁ……。
あ、私、このイベントに行くのは我慢するみたいな事を以前書きました……。
嘘つくつもりではなかったのですが。すみません
そして、こんなミーハーで、ホントすみません
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コメント
私も行ってましたが自宅ブログに書いたように終演後早々に帰ってしまったので、シーツを持つ芸術監督にはお会い出来ず(泣笑)。今までこういうことはほとんど無かったと思うのでちょっとでも見られた方はラッキーだったと思いますよ~。
写真はちょっと…聞くところによると、写メしようとした方がやんわりと注意を受けてたらしいです。そのフラッシュを焚いた方かも知れませんね。
いや、90円でも良いと思います!入れる時に「ちょっとですみません!舞台頑張って下さいね!」って思い切って話し掛けちゃっても良かったんじゃないかと(笑)。芸術監督ドノとしてはそれでも充分嬉しかったんじゃないでしょうかね。
投稿: RICC | 2011.05.23 20:34
すごく共感してしまったミーハーな私です。でも、姿を見られただけでもラッキーでしたよね。
いっそのこと「千円入れたいんですが、1万円しかもっていません。お釣りをいただくことはできないでしょうか?」って聞いたら、会話も寄付もできて一石二鳥だったかも?
いえ、私にはできません(^^;)。
投稿: shoh | 2011.05.24 09:51
RICCさん
萬斎さんと話す方を見ながら、「RICCさんもお話しされたのかな?」なんて思っていたのですが、ご覧にすらなってなかったのですね。それは残念。
>写メしようとした方がやんわりと注意を受けてたらしい
うわ、そうでしたか。撮らなくて良かった(^_^;)。
おっしゃる通り、90円でも良かったと思います。
でも、勇気が出なかった~~~←小心者
shohさん
>いえ、私にはできません(^^;)。
shohさんっ!!(笑)
いや、shohさんだったら、きっとうまく対応されるんだろうなぁ。
某アーティストとのツーショット写真を思い出しました。
あの人、結構目が鋭くて、生で見たらコワイ印象があったのですが、shohさんとはイイ感じで写真におさまってたし~。
「英語が喋れたら、好きなアーティストとお話出来るのに……」と思った事もありますが、日本人相手でも喋れない私って、一体
あ、好きな野球選手と話して、握手して、サイン貰って、ツーショット写真撮らせてもらった事あるんですけどね。
萬斎さんはなんだか近寄り難い……
投稿: YAGI節 | 2011.05.25 00:07
何気なくトップページをクリックしまして、でてきた
テーマにドッキドキでした。
そうですよね。「このシーツを持っているのが萬斎さん
だったらいいのにな~。」と思いながらも、こうして
萬斎さんが立っているという夢のようなことが現実に
なると、行きたいけど、すごーく行きたいんだけど、
近くまで行けないですよね。
読んでいる間中、自分もそこにいたかのように心臓が
バクバクでした。❤❤
もし私がいたら、お話や募金どころではないでしょう。
写真は・・・・、撮影してもいいですよと言われても
萬斎さんだけを撮るためにカメラを向けるというのは
できないですね~。
函館の時の撮影タイムで皆が萬斎さんに向かって
ケータイやカメラで撮っていましたが、あまりいい感じには
思えませんでした。
同じ東京に住んでいたなら、すぐにとびついてっていたんでしょうねえ・・・・。
私はお財布の中はたいてい全て千円札です。(笑)
募金どころではないなんて書きましたが、もしかしたら、
バラで一万円分シーツにいれちゃっているかもしれませんね。(笑)
YAGi節さん、どうも有難うございました❤
投稿: hiro | 2011.05.25 12:51
hiroさん
普段は千円札入ってるんですけどね~。こういう時に限ってこんな事に(>_<)。
解体新書の時は「萬斎さんだったら話しかけるのに」と思っていたのに、実際目の前にいると何も出来ないとは……我ながらビックリでした。
函館では撮影タイムがあったのですね。いいなぁ。
私は、そんなチャンスがあれば撮りまくっちゃうと思いますよ。
……って、これも今はそう思えても、実際その場になると舞い上がってダメだったりして(苦笑)。
>一万円分シーツにいれちゃっているかもしれませんね。(笑)
お~、リッチ!!
私には無理です。なんか、そこだけ冷静になってました(笑)。
投稿: YAGI節 | 2011.05.25 21:21
初めまして。
私もその日行きました。階段から降りて来たら萬斎さんが目の前にいて…シーツに募金したら「ありがとうございます」と言葉をかけていただきました。(今回は小銭…解体のときは紙だったけど…^^;)
が…。
その直前に…不意に携帯を握り締めたおば様が…唐突にも萬斎さんに「お写真撮っていいですか?」って聞いてまして…。(ρ_-)o
萬斎さんはすかさず…。「写真は勘弁してくださいっ」って笑いながらお断りになってました。周囲には数名取り巻くように人がおりましたが…。萬斎さんが良いですよって言ったらどうなったことかと…(-"-)。
考えればわかるはずですが…。その唐突さに私は驚きました。
私は募金したタイミングで「握手してもらっていいですか」って聞こうと思っていたのに…。完全にタイミングを逸し、萬斎さんもあっという間に楽屋へと行ってしまわれて…。チャンチャンってことで…ガックリ。
その後、朗読リストをもらおうと入り口付近で待っていたら…「渡辺謙」さんが…すすすーって通り過ぎていきました。\(゜□゜)/
投稿: 遥耶 | 2011.05.26 15:10
遥耶さん、はじめまして。ようこそ♪
萬斎さんに、声かけていただいたのですかっ!!
すごーい。良かったですね
>笑いながらお断りになってました。
あ、この瞬間、私、見ていたかも。
言葉は聞こえなかったのですが、「萬斎さんが笑った~」と思ったんで。
>萬斎さんもあっという間に楽屋へと行ってしまわれて…。
はい、ここも、見てましたよ。
なんだか、とっても機嫌良さそうに小走りに行かれたので、何かイイ事でも言われたのかと思ったのですが、あれは苦笑で、逃げてたのか……。
解釈違いも甚だしい
「ちょっと席を外す」という感じにも見えたのですが、しばらく待っていても現れなかったので、「あ~、もう戻って来ないのか」と諦めて帰りました。
という感じなので、多分、私はあの場で遥耶さんを羨ましく見つめていたと思います(笑)。
さすがにお顔は憶えてないのですが。
投稿: YAGI節 | 2011.05.27 23:23
最初にご挨拶を・・・・。遥耶さん、初めまして。
hiroと申します。よろしくお願い致します。
お二人のコメントを読ませていただきました。
私は世田谷パブリックシアターにはまだ行ったことは
ないので、中の様子はわからないのですが、階段を
降りたら萬斎さんがシーツを持って立っていたなんて、
「わあぁ―いいっ❤❤」と勢いで駆け降りていって
しまいそうなくらいですね。(笑)
おば様の不意打ちの登場は惜しいことでしたが・・・・。
募金ではありませんけれども、またこうして萬斎さん
にお会いできる機会があったらなと思います。
投稿: hiro | 2011.05.28 15:06
はじめまして
検索でこのページを見つけ、激しく同意したので思わずコメントされていただきます。
私も、同じ日同じ時にあのロビーにいたのですがー、
フリーズしてしまい、募金に間に合いませんでしたぁ。。泣
芸術監督が「写真撮っていいですか?」というファンの問いかけに「いやあ、それはちょっと」と苦笑いする表情や声、楽屋へ走り去ってゆく足音の振動さえ身体に感じた私ですが、ずっとアタマに描いて憧れてきたまんさい氏はその日なぜか近寄りがたく、とうとう何もできずじまいで帰り道から1週間はウツで放心状態でした。
あのとき握手したとか話をしたとかそういうお話を方々で聞くにつれ、自分を責めて攻め抜いたわたくしでございます。苦笑
うぉぉ〜いつか挽回するぞ!
投稿: 激しく同意 | 2011.06.27 04:12
激しく同意さん(で、良いんでしょうか?)
はじめまして。ようこそ!!
あの場にいらっしゃったんですね♪
>走り去ってゆく足音の振動さえ身体に感じた私
おお、この表現ステキ。
臨場感あります
>その日なぜか近寄りがたく
ですよね~、近寄りがたかったですよね。
ほとんど笑顔なかったし。
なのであの苦笑が貴重に見えました。
またあんな機会があると良いですね♪
挽回しましょー(笑)。
投稿: YAGI節 | 2011.06.27 22:20