« ベッジ・パードン始末記1 | トップページ | 好きな三谷作品ベスト10 »

2011.07.14

ベッジ・パードン始末記2

前回からの続きです。

『ベッジ・パードン』は私にとっては奇跡の舞台です。
三谷さんと萬斎さんというだけで大喜びなのに、なんと舞台はロンドン!!

ロンドン大好きなんです。
自分の部屋のCDラックの上にはロンドンコーナーを設けており、昨日ご紹介したダブルデッカー、そしてローバーミニのミニカーを並べ、
セント・ポール大聖堂の写真を飾り、イギリス地図のコルクボードを立てかけ、背後にはビッグベンのパズルを置いてあります。
壁にはピカデリーサーカスの標識を貼り、マガジンラックには地下鉄オックスフォードサーカス駅の缶バッジを付けてる程ロンドン好きな私です。
この先、ネタバレあります。

London1 London3

写真右:ロンドンコーナーに『ベッジ…』のパンフ置いてみました♪

タイトルが心に響きました。
『ベッジ・パードン』というのは、"I beg your pardon?"の事。
初めての海外旅行の前に、まずこのフレーズを覚えました。
今はこんな言葉使わないのかも知れませんが、当時はこのフレーズを誰かから教えられました
言葉の壁を象徴するようなセンテンスで、身につまされます。

で、"I beg your pardon?"が訛ると「ベッジ・パードン」となるらしいのですが、その訛というのが、コックニー。

下町の労働者階級の言葉って事で、あまりいい発音ではない筈なんですけど、ロンドン好きとしては憧れてしまう。

っていうか、男性のコックニー訛って無茶苦茶カッコいいんですけどっ!!
たとえばデヴィッド・ボウイはコックニー訛だそうです。
ボウイはホントのコックニーと呼ばれる人達よりはほんのちょっぴり南の出身なんですが、半ば意図的にコックニー訛で喋るらしい。

マーク・ボラン、デビッド・ベッカムもコックニー。
私にとっては「コックニー=カッコいい」になってしまうよ~(笑)。
『マイ・フェア・レディ』のイライザだって可愛かったし。
でも、女性が使うと下品に聞こえてしまうのだそうです。
てやんでい、べらぼうめ!!

しかし……
世の中甘くなかった。
全てが私好みになるわけはないですよね~(爆)。

ハッピーエンドじゃなかった(泣)。

「色々あったけど、小説家・漱石の誕生に繋がりました♪」というハッピーエンドと捉える事も出来るけれど……死別は後味が悪い。
「後味スッキリ」が三谷作品だと思っていたので、これは意外でした。

そして、「三谷作品に悪人なし」と勝手に思っていたのですが、悪い人が出て来てそれもちょっとビックリ。
芹沢鴨は憎めなかったし、伊東甲子太郎だって最後はいい人になったし、武田観柳斎ですら良心を見せていたのに、あのソータローはあんまりだ~。(新選組にかたよっているのはいつもの事なのでご容赦下さい)

なんだか、今迄見た三谷作品の中で、最もダークな作品だったような……?(そんなにたくさん見てるわけではないのですけどね)
なのに、お客さんの笑い声はとても多いという不思議な作品でした。
たとえハッピーエンドでなくても、ダークな要素が強くても、それでも「笑わせてやる、何が何でも笑わせてやる。反則使ってでも笑わせる!!」という三谷さんの執念のような信念(?)を感じた舞台でした。

先日、観劇前日に『ありふれた生活』を読んだ事を書きました。
そこには、びっくりする程笑いにこだわる三谷さんの姿が描かれていたのですが、そのせいか、ユーモアのセンスにこだわるソータローと三谷さんがダブって見えて仕方ありませんでした。
「英語教師です」という一言を追究する姿も、「三谷さんが脚本を書く時は一字一句、本当に細かい所まで気を使って、より笑える言葉を模索するんだろうなぁ」なんて連想してしまいました。

ダブるといえば、金之助が「靴を脱いで下さい」という様は、たとえホール上に作られた物であっても能舞台の上では靴を脱がせる萬斎さんそのものに見えました(世田谷パブリックシアターで、イタリア人俳優さんの靴を脱がせていたのが印象に残っていた)。
パンフレットには「靴についての金之助のこだわりは萬斎自身がロンドンに留学していた際のエピソードを、三谷がさっそく取り入れたもの」なんて書いてありましたが、「ロンドンでも日本でもそしてお芝居の中でも靴を脱がせるのが萬斎さん」と何だか笑ってしまいました(失礼)。

ところで……
この作品も、去年の『わが家の歴史』でも、どちらも不倫が描かれているのが気になります……。
まさか、三谷さんの離婚の原因って……?

残念な所もありましたが、全体的には楽しかったです。
お付き合い下さったdandaraさん、ありがとうございました♪

PS:金之助は「本人はあまり意識していなさそうなのに面白い事を言う」という設定でしたが、なんだか仲村トオルさんを連想しました。あの方、普通の事を普通に喋っていても、とことなく面白くないですか?

|

« ベッジ・パードン始末記1 | トップページ | 好きな三谷作品ベスト10 »

コメント

へえ~!三谷さんと萬斎さん、そして舞台がロンドンなんですねー!
ホント、YAGI節さんがお好きなもの揃いですね~

dandaraさんとご一緒されたんですね!?
とても楽しい時を過ごされたことと思います(^^)v

投稿: あさぎ | 2011.07.14 11:12

えーっ! 漱石のロンドン留学時代の話なんですか?
それはぜひ観たかった。残念。

でもまあ、公演を知っていたとしてもチケットがとれなかったでしょうね。

そのうちDVDになったりしないのかしら? あるいは戯曲が本になるとか。

投稿: shoh | 2011.07.14 11:33

あさぎさん
そうなんです、まさに私の為の舞台って感じ?(笑)
三谷さんの脚本で、『新選組vs高杉』とか観られたらもっと嬉しいんですけどね。
もちろん萬斎さんが高杉役。
や、三谷さんの脚本で鞍馬天狗vs近藤でもいいですけど。

shohさん
うわー、shohさんがこれに反応してくださるとは!
そうか、漱石絡みでと言われれば納得なのですが、「shohさんと三谷さん」というのが結び付きませんでした。

WOWOWで放送するという噂を聞きましたが、DVDはどうでしょう……?
出るんじゃないかな~?←希望的観測

昔は三谷作品は必ずといっていいほど、会社で扱っていたので、頼めば台本貰えたと思うのですが、最近はお付き合いなさそうです。
っていうか、最近は持ち出しそのものが厳しくなってしまいました。

投稿: YAGI節 | 2011.07.14 23:31

先日は色々とありがとうございましたm(__)m
三谷さんの舞台、一度は見に行ってみたいと思っていたのでご一緒させていただき本当に感激でした♪
私も三谷さんの作品は最後までとことん笑わされるものと思っていたので今回の作品のラストにはちょっとびっくりでした。
でもこれはこれでとても良い作品だと思いました。
金之助が仲村トオルさんぽいって何となくわかる〜(笑)

投稿: dandara | 2011.07.15 12:47

dandaraさん
こちらこそ、ありがとうございました♪

未見ですが、今春の『国民の映画』も暗くシリアスだったそうです。
『ベッジ…』は震災がなければもっと重い物になっていたとの事。
三谷さんの書きたい物って、変わって来たのかなぁ……?

仲村トオルさん、決して面白い話し方をされるわけじゃないし、ボソボソって感じなんですけどね。どうして面白いんだろう?(笑)。

投稿: YAGI節 | 2011.07.17 01:16

ロンドンコーナーいいですね~。
イギリスのコルクボードが可愛い♪

ベッジは随所に笑いが散りばめられているのに、
最後がアレなので観劇後に清々しさが感じられないですよね(苦笑)。
~啄木も、決してハッピーな終わり方とは言えなかったので
後味が微妙でした…。
ミタニンの作品カラーが少しずつ変わってきている気がします。。。

投稿: Aki_1031 | 2011.07.18 23:47

Akiさん
コルクボードにセットで付いていたピンが、またイギリスを象徴した物ばかりでステキだったのですが、パンクのお兄ちゃんのピンだけが行方不明になってしまいました(>_<)。
(他は衛兵・ユニオンジャック・羊)

『…啄木』も後味微妙でしたか……。
離婚が作品に影響を与えているのかなぁ?
笑いに突っ走りすぎる三谷さんよりは抑えめな三谷さんの方が好きなのですが、暗い話は好きではないので、ちょっと残念です。

投稿: YAGI節 | 2011.07.20 00:46

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ベッジ・パードン始末記1 | トップページ | 好きな三谷作品ベスト10 »