野村万作・萬斎 狂言の夕べ 2011
趣味の違う人を好きになってしまいました……
今更ですけど、野村萬斎さんの事です。
萬斎さんの事は大好きなので、狂言以外の出演作や演出作も見に行きたいのですが、呆れる程に趣味が合わないのです。
私はシェイクスピアが苦手ですが、萬斎さんはお好きみたい。
ようやくシェイクスピア・シリーズ(?)が終わったと思ったら、次は『サド侯爵夫人』の演出を手がけるらしい。
そして、その後は『藪原検校』。
どちらも度々上演されてるみたいだから名作なんでしょうけど……私は苦手で、かなりがっくり来てます……。
「萬斎さんと趣味が近い萬斎ファンの方」が羨ましいな。
遡って考えても、萬斎さんの狂言以外の舞台で好きな物って、わずかしかありません。
まだファンになっていなかった頃、某台本を目にする機会があり、あまりの内容に引きまくり、「見に行く」といっていた友人に「やめた方がいいよ」なんて余計な事を言ってしまった事があったっけ。
また、誰が演じるか知らない状態で某作品の台本を読んで、「こんなつまらない作品を上演するなんて理解に苦しむ」と思っていたら、萬斎さん主演で焦りまくったという事もありました。
思えば、愛する(笑)デヴィッド・ボウイもそうでした。
ボウイの事は大好きだから、
ボウイが好きだという本を読んで、
ボウイが好きだという映画を観て、
ボウイが好きだという絵画を見に行きましたが……
気に入った物ってほんの一握りしかないかも。
そんな趣味の違う人が作り出す音楽をどうして、こんなに好きになったのか、不思議です。
ちなみに、「趣味の合う人がキライ」というわけでは勿論なく、大好きな三谷幸喜さんはビックリする程私と趣味が似てます。
異なるのは好きなお笑いタレント位かな(笑)。
無茶苦茶シンパシーを感じてます。
つまり、「自分に近い人」と「正反対の人」に魅力を感じるという事……なのかも知れません。
にしても、ボウイがロックをやってなかったら(役者をやっていたとしても)ファンになっていなかったと思います。
そして、萬斎さんが狂言をやっていなかったら、「鞍馬天狗ファン」にはなっても、「萬斎ファン」にはならなかったんだろうなぁと思う今日この頃です。
もっとも、ボウイがロックをやらなかったらボウイじゃないし、萬斎さんが狂言やってなかったら萬斎さんじゃないんですけどね(意味不明)。
というわけで、前置きが長くなりましたが、萬斎さんが「私が好きな萬斎さん」たり得る(?)狂言を観て来ました。
文京シビックホールの「野村万作・萬斎 狂言の夕べ」です。
2008年は2階でC席、2009年はB席でしたが、今年はA席にしてみました~♪
あれ? なんだか席種が減ってるんですけど。今年はC席ってないよ?
あのクラスの大ホールで2階席となってしまうと、迫力が感じられないのですが、今回は声響きまくりで驚きました。あんなに響くホールだったとは。席によって、聞こえ方全く違いますね(当たり前か)。
それでは感想行ってみます。
◆解説/野村萬斎
この日演じられる『蝸牛』と『業平餅』の解説をされました。
萬斎さんの『蝸牛』の解説は以前聴きました。
ファンになりたての頃は知らない事だらけで、何を聞いても新鮮だったのですが、それが薄れて来たのがちょっと淋しい……。
『業平餅』は初見♪
萬斎さんはお好きとの事ですが、あまり上演されないそうです。
「特別な時にしかやらない」などと言ってプレミア感を煽ってました(笑)。
「今日は業平役を私がやりますが、どう思います?」的な事を言い、ニヤリと笑みを浮かべると、タメて客席の様子をうかがう萬斎さん。
業平とはイケメンのモテ男として知られる在原業平。
萬斎さんいわく「現代人にたとえると……木村拓哉さん?」との事でしたが、木村さんの名前を出す迄にやはりタメるので、誰の名前が出るか色々考えてしまいました。
しれっと「野村萬斎」とか言ったらどうしようかと思いました。っていうか、客席から誰か「萬斎さん!!」って言ってあげれば喜んでくれたかも?(笑)
美男の業平といえども、狂言の中ではコミカルな登場人物の1人です。
まんま美男が演じるよりも、そうでない人が演じた方が味があり、面白味が増すようで、茂山千作さんの業平が評判が良いのだそうです。
それをふまえて「萬斎verの業平はどうか?」という問いになり、先述のニヤリに繋がるわけです。
ニヤリと見つめられて問いつめられて、ドキドキしました~(違)。
どう応えれば正解なのですか?
「大丈夫っ、萬斎さん、カッコ良いけど面白いから、業平役ピッタリですぅ」とでも言えば良いのか? いや、そんな事言うの、なんか、ちょっと悔しい(ばか)。
◆蝸牛/野村万作・竹山悠樹・深田博治
狂言初心者だと思っていた私ですが、最近は未見の演目が減ってきました……
先日観た『蚊相撲』は3回目でしたが、この日の『蝸牛』も3回目。
好きな演目ではあるんですが、3回目となると……感想の書きようもないです。
◆業平餅/野村萬斎・石田幸雄他
業平だけあって、衣装がゴージャス
目の保養になりました。
そして、楽しかった~。
目の前にある、美味しそうな餅を食べたいけれど、お金を持っていない業平くん。貧乏だからではなく、偉い人は財布を持たないのですね。
「食べたい、食べたい~」とばかりに謡い出すのですが、餅の名前が色々出てくるので、なんだかシブがき隊の『スシ食いねェ!』を連想してしまいました(年がバレる)。
それはこんなストーリー。
お腹をすかせた本木雅弘さん。ホントはお金持ちですが、現金は持ち歩きません。しかしお寿司がどうしても食べたくなります。「お金がなけりゃ、食べさせられない」と店主に言われ、「そりゃ、そうですよね」と同意するものの、つい『スシ食いねェ!』を口ずさんでしまう……「ん? この歌なんか聞いた事がある……もしや、君は……?」「はい、元シブがき隊のモックンです」「おお、『おくりびと』でアカデミー賞も取った、あの大スター、本木くんか!! なら、娘もどうぞ!!」
……って、それじゃお寿司屋さんが内田裕也さんになっちゃいますね。失礼しました。
ちなみに、この日、新春名作狂言の会の発売初日でした。
電話受付は翌日からなのですが、新宿文化センターでのみ窓口販売をしていたので、シビックホールに行く前に寄ってみました。
18:00頃でしたが、2列目ゲット出来ました♪
最前列も1席だけあったのですが、一番端だったので2列目を選びました。
実は同じ月にあるもう1つの公演でも2列目取れました。
良い新年になりそうです(鬼が笑う)。
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コメント
こんにちは^^
ボウイがロックをやってなかったら
萬斎さんが狂言をやっていなかったら
それぞれ違う方なんですよね。
なんとなく分かる気がしました^^
地方に住んでいるので、なかなか
見にいけません。
こちらでレビューを拝見して
見た気分を味わっています♪
来年も楽しい年になりそうですね~
投稿: moco | 2011.10.16 00:51
萬斎さんのホンダのCM、新しいバージョンがかかるようになりましたね。
ここに来て、私も遅まきながらCMの捕獲をしてみたいと思うようになってしまいました。(笑)
とくに一番気に入っていますのが萬斎さんがスーツを何着もかかえながら「車選び」を「服選び」に例えるバージョンです。
あのCMを見たときはスタイリストになって、シャツからスーツまで、萬斎さんと話し合いながら似合うものを合わせていく・・・
ッて言うの、いいかも…と想像してしまいました。
萬斎さんの好みを全般的に取り入れて、あの声で「僕はこういうのがいい。」って次から次へ言って欲しいです。
着せる楽しみで想像・・・してしまいました。(上着くらいならOKですよね…って私は何を言っているんでしょうか。(^^ゞ)
…と、最初にこんなことをいろいろ書いてしまいました。
「狂言の夕べ2011」、萬斎さんの業平、YAGI節さんのおっしゃるとおり、「かっこいいけど面白いからピッタリ」って言ってあげたいですね。
木村拓哉さんといえば、今トヨタのCMでビートたけしさんと
共演されていますよね。
萬斎さんは美男の例えに木村さんを出してきたけど、答えとしては、「即、萬斎さん!!」と言いたいです。
前述に書いた、スタイリストとして任されたら木村拓哉さんも
喜んでオーケーしますよ。
シェイクスピアといえば、最近何か読む者がほしいと思いまして、
元の発端は来年3月に萬斎さんが演出される「サド侯爵夫人」を捜していたところからこのコーナーが目につきまして、「マクベス」・「ハムレット」を手に取ってみました。
どんなストーリーなのかを読んで、萬斎さんが何を感じていったのか辿ってみることができるかな・・・とか思いまして。
軽く読んでみましたが、萬斎さんが主人公という感じでないと
原作ではイメージ的に入れないかなというかんじです。
厚くもない文庫本なので今度買ってみようと思っています。
…で、萬斎さんをあてはめて読みます。❤
投稿: hiro | 2011.10.16 13:02
mocoさん
萬斎さんは狂言やってなかったら「萬斎」という名前ですらないですしね。
しかし、私、狂言そのものが好きなのかと考えると、それ程でもないような気がする……
「萬斎さんがやる狂言」が好きみたいです。
レビュー、拙いもので恐縮ですが、見た気分を味わって頂けてるなんて嬉しいです。
ありがとうございます。
hiroさん
先日、朝食を食べようとして、うっかり髪の毛にバターを付けてしまいました
「朝からツイてない……」と思ったら直後に萬斎さんのCMがかかって、一気に気分が持ち直しました(笑)。
CM捕獲はとっても順調で、新しいバージョンもすぐに2つ共録れました。
コンプリート出来たと思っていたのですが、hiroさんのコメントを読み「服選び???」と不思議に思い、今ホンダのHP見て来ました。
私が捕獲したのは短いバージョンだったようです。がーん。
投稿: YAGI節 | 2011.10.18 23:50
YAGI節さん
ホンダのホームページにありましたでしょうか?
いま私も見てみたのですが白シャツにグレーのスーツ姿の
萬斎さんは初めてみたような気がします。
このバージョンは見たことなかったかも・・・です。
マクベス、読んでみようと思い、ついに買いました。
読み始めたばかりなのでまだ話に入っていけていませんが、
終わるころにはどうなっているでしょうか。(笑)
ハムレットはありませんでしたからどなたかが買われたのでしょうね。
YAGI節さんはサド侯爵夫人は見に行かれますか?
私も何だか映像では萬斎さんを見ることができるのですが、ご本人を見るということができないので寂しいですね。
たまにふと、今までどうしていられたのかと思うことがあります。(笑)
投稿: hiro | 2011.10.19 13:12
hiroさん
あら、hiroさんが御覧になったのとホンダのサイトにあったものと違っていたのですか。どんだけバージョンあるんでしょうね~。
『サド侯爵夫人』、仕事の関係で読んだ事はあるのですが、私には面白さがわかりませんでした。
登場人物に全く感情移入が出来なかったです。
今の気分では……つまり、たとえば今日発売日だとしたらチケット買いません。
でも、『我が魂は輝く水なり』も今年の詩のリーディングも「多分行かない」とか言いつつ、行っちゃったので、先の事はわからないかな。
オークションで安く売ってたりしたら行くかも(爆)。
でも、あの豪華キャストでは、きっと安くはならないでしょうね。
あ、おそらく名作なんだと思います。素晴らしい作品になるかもしれません。
ただ「私の趣味には合わない」というだけです。許して下さい~。
投稿: YAGI節 | 2011.10.21 00:44