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2012.02.05

第3回梅若研能会武蔵野公演

私が一番観たい能の演目は『竹生島』でした。
以前にも書きましたが、新選組の伊東甲子太郎が『竹生島』が好きだったという説があるからです。
殺害された時に『竹生島』を謡っていたという説もあります。それは、子母沢寛の創作だという説もあります(^^;)。
たとえ創作だとしても、数ある作品の中でなぜ『竹生島』がチョイスされたのか、実際『竹生島』を観て、そのヒントを探る……というか色々勝手に想像してみたいと思ってました。

Mu3といっても、わざわざ『竹生島』だけ見に行くという程の熱意があるわけではなく、「野村萬斎さんの狂言とセットでやってくれたら見に行こう」と思っていたのでした。
ちなみに昨年『竹生島』の仕舞を観る機会はあったのですが、舞だけ観ても何もわかりませんでした(爆)。やっぱり通して観ないと……。

あれから、5ヶ月。
思いの外早く、リベンジの機会がやって来ました。
萬斎さんも出演する梅若研能会武蔵野公演で『竹生島』をやるというではありませんか。しかも、解説付き!! 『竹生島』の事、とにかく色々知りたかったんで、解説があるというのはありがたい。その上チケットが安い。一番良い席が4000円。お能2曲に狂言に解説付いてこの値段はリーズナブル♪

郵送されてきたチケットと一緒に能楽鑑賞セミナーの案内が入っていました。
なんと『竹生島』(と『藤戸』)の講習会をやってくれるというではありませんか。チケット購入者は1000円で受講可能。もちろん申し込んでしまいました。

セミナーと当日の解説とで、すっかり「『竹生島』通」な私(ウソ)。

えっと、ここから演目とは関係ない愚痴話をしたいと思います。
でも長くなりそうだなぁ、興味のない方がほとんどだろうけれど吐き出したい。どうしよう……。そうだ、違うページに書く事にしよう。
すぐに公演の話に行きたい方は下へ、長い寄り道に付き合って下さる方はこちらへお進み下さい。

Mu1 Mu2

◆解説/三浦裕子(武蔵野大学客員教授・同大学能楽資料センター研究員)
セミナーと内容がかぶるかと思いきや、ほとんどかぶりませんでした。
セミナーは能楽師の方、解説は大学の先生という事で、視点が異なるのでしょうか。

興味深かったのは神仏混淆のお話。
恥ずかしながら私、耳で聞いた時は「神仏混合」って解釈したのですが、「混淆」ですね(^^;;;;)。意味は似たようなもんだと思いますが。神道も仏教も一緒くたにしちゃって垣根がない感じ? 昔はその辺大らかだったんですよね。
竹生島では神社とお寺が隣り合って建っているとの事でしたが、調べてみたらかつては隣り合うどころか一体だったらしく、分かれたのは神仏分離令が出た明治時代だそうです。

神仏混淆といえば、月真院。
先述の伊東甲子太郎が斎藤一らと暮らしていた所で、高台寺の塔頭です。新選組ファンにはおなじみで斎藤ファン憧れの場所ですが、一般公開はしていないので、入れた時には大喜びで当ブログにもその感想を熱く語りました(その話はここ)。
お寺の中に鳥居があったので驚いて、思わず写真に撮ったっけ。有名な竹生島は神仏分離令に従わなければいけなかったけれど、一般公開もしていない月真院内の鳥居は、特に見咎められる事もなく現在に至ったのでしょうか? しかし、私が知ってる神仏混淆の例2つが共に伊東甲子太郎関連というのは不思議な偶然。

あと、波ウサギという柄がありますが、それの由来は『竹生島』だそうです。
「月海上に浮かんでは兎も浪を奔るか」という一節があります。
セミナーでいただいたテキストには「月が琵琶湖に映る様は月の兎が波間を走るかのようです」という訳が載ってました。

九谷焼 陶器 焼酎カップ 波うさぎ 【B級品】波うさぎ 呉須渕玉千茶(湯呑)

◆竹生島/青木一郎・青木健一・殿田謙吉・中村修一ほか
先日のセミナーで講師をされていた青木一郎さんと青木健一さんがシテとツレ。
面を付けていらっしゃるので、なんだか同一人物とは思えないのですが、広くない部屋(コミュニティセンターの一室)でご一緒した方が舞台に立っているというのは何だか不思議な気がしました。
実は私、このチケットを購入する前に某市民塾の能楽講座にハガキで申し込んだのですが、偶然にもその講師が青木健一さんでした。なのでひょーっとしたら、また5ヶ月お世話になるかもしれません。ただ、締切ギリギリに出したので間に合わずアウトかも……(^_^;)

Mu4で、個人的な興味炸裂の伊東甲子太郎の謡ですが……
昨年放送された『新選組血風録』では鶴見辰吾さんが甲子太郎の役をやっており、謡っているシーンがあります。
テレビ版の『壬生義士伝』では萩原流行さんの甲子太郎がなんか謡っていましたが、そちらはビデオ持ってない(>_<)。
という事で『血風録』の録画を観ながら、聞き取りにトライしてみました。

「りょくじゅかげ沈んでおおきにのぼる景色……」

と聞こえます。意味不明(爆)。

セミナーでいただいたテキストに該当箇所があるか探してみた所……

緑樹影沈んで魚木(うおき)に上る気色あり

とありました!! 「おおき」じゃなく「魚木」か。
テキストの訳には、
「緑したたる木の影が湖水に映ってその木陰の間を魚が泳いで行く様は、魚が木に登るよう」
とありました。
船から見えるキレイな景色について気持ち良く謡っているという感じみたいです。
ちなみに、この「気色あり」の後に前述の兎のくだりが続きます。
オペラのアリアよろしく、この辺が一番有名って事なのかな。
「『竹生島』といえば、兎と魚」みたいな?

殺された晩(冬です)は、近藤勇にお酒をふるまわれて酔っぱらっていたという甲子太郎。
私はお酒は苦手なのですが、ほろ酔い加減の気持ち良い感じは、船に揺られて絶景を眺めて気分上々といった感じと通じる所があるでしょうか?
冬は月がキレイに見えるから、ウサギのようなクレーターも良く見えて思わずこれを謡いたくなったという感じでしょうか?

という感じで、セミナーのおかげで色々楽しく想像出来ました♪

アイは中村修一さん。
最近萬斎さんの舞台でしばしば立衆の1人として出ていたようですが、あんなに目立つ役をされているのを観たのは初めてかも。ちょっと佐藤健さんみたいで、狂言師らしからぬ(?)カッコ良さがありました。

狂言◆茶壺/野村萬斎・深田博治・岡聡史
キュートな萬斎さんが観られて謡もあるという点では私好みですが、内容はかなりバカバカしいかも? 楽しいからいいか♪

これが終わると帰ってしまう人がかなりいました。
「帰っちゃう人って、萬斎さんを見に来た人なんだね」という声が聞こえて、ちょっと心苦しくなった私です

◆藤戸/梅若万三郎・殿田謙吉・高野和憲
『竹生島』は龍神やら弁財天やらが登場して派手で楽しかったのですが、こちらはシテが漁師の母と漁師って、かなり地味。そのせいか、はたまた長時間に及んだせいか、眠気が……。
……私も、狂言が終わった時点で帰った方が良かったのでしょうか(爆)。
あれだけ予習したのに、眠くなってしまうなんて。能はやはり敷居が高いです(>_<)。

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コメント

YAGI節さん

たびたび失礼します。がまです。
この間のコメントお返事ありがとうございました
鈴鹿で野宿ですか・・・確かにF1の時って宿がなくなっちゃうみたいですね。
鈴鹿に泊まる場所があるのに私はF1には全く興味がなくて・・・思えばもったいないですね・・・

さて、昨日武蔵野市民文化会館に行かれたのですね!
私もこの公演のことはホームページなどチェックして、三鷹は我が家から比較的近いし・・・とちょっと気になったのですが、お能メインの公演の様子。
お能もいつかわかるようになりたいけれど・・・ちょっと敷居が高くて見送ってしまいました

公演前のお話も読みましたよ~
あそこは別の催し(知り合いの高校生オケの演奏会)で行ったことあるけれど、駅から微妙に遠いですよね。
しかも、確かに誤解を招く時間の書き方ですね~
時間、間違った人他にもいると思います。

私も昨年の『新撰組血風録』は見ていました
鶴見辰吾さんの甲子太郎が謡っていましたね。
お能の一節でしたか。

それにしても・・・萬斎さんの出番が終わると帰ってしまう方がいるとは・・・
それはお能の方に対してとっても失礼なだけでなく、萬斎さんもそういうことはお嫌いになるだろうと思います。

最近読んだ本に、萬斎さんはお能の役者さんの間でたいへん評判が良いと書いてありました。
態度も謙虚で、どんなに忙しくても、小さな能の公演に出ることもいとわない・・・と。
あのお忙しさで、でも「小さな」わけではないでしょうが、能楽堂でもなく都心でもない会場の公演に労をいとわず出演されている萬斎さんは、お能のこともとても大事に思っておられるからゆえでしょうに・・・
まあ、人それぞれ他のご予定もあったりしたかもしれませんけれど・・・

ちゃんと最後まで鑑賞されたYAGI節さん・・・眠くなってしまったって、帰ってしまうのとは全然違いますよ!
でも、私もお能は眠くなっちゃうのかな・・・
いつか能楽堂でお能と狂言の演目見てみたいです。

投稿: がま | 2012.02.05 18:23

竹生島ご覧になられたのですね。能をよく勉強なさっておいででもう感心してしまいます。
解説を省かれた公演一寸残念でしたね。
先週、平家物語の一節で滅びと弔いと言う題で、薩摩琵琶と能のコラボを見てまいりました。最も面も衣装も付けてはおらず直面ではなく素面と言う表現が似合いそうでした。平家琵琶の語りで仕舞を舞う、または琵琶の演奏でシテが自ら謡いながら舞うと言うものでした。
琵琶、能ともに一流の演者でしたので、それぞれ声も朗として良かったのですが、琵琶と能の良さが減殺されて頭が固いのかもしれませんが私には違和感が否めませんでした。

投稿: 早々 | 2012.02.05 22:09

がまさん
『新選組血風録』ご覧になってましたか
『臆病者』の回のゲストでとってもカッコ良かった綾野剛さんって『カーネーション』にも出ているらしいのですが、「『カーネーション』の綾野さんが萬斎さんみたい」という感想をWEBで見かけてビックリしました。好きなもの同士リンクするのかな。

萬斎さん、お能の役者さんの間で評判が良いのですか。なんだか嬉しい♪
見た目によらず(失礼)、謙虚なんですか。
そして、ほんっっっっっっとよく働きますよね~。
一日2公演とかも珍しくないし、全国各地飛び回っているし、その精力的な活動には頭が下がります。凄いですね。

お能……まずは公演中に眠くならないようになりたいです(志低っ

早々さん
はい、ついに『竹生島』観られましたーっ!!
念願叶って嬉しかったです。
しかし、能はやっぱり難しいです。
鶴見辰吾さんのあんな短い物すらわからないのですから、何をか言わんやです、とほほ。
私も早々さんみたいに、ちゃんとわかるようになりたいのですが、そんな日は果たして来るのか……

琵琶と能のコラボイベント、違和感ありましたか。
一見合いそうですけど、難しいものなんですね。

投稿: YAGI節 | 2012.02.07 02:36

正直、子母沢寛氏の書いたものは、かなり信用できるものがほとんどです。「創作だ」とかいう言葉が一人歩きしてしまっていますが、彼の手法(聞き書き)は民俗学のそれであり、彼の著作は極めて貴重な記録の集まりです。「竹生島」も信じてよいと思います。

投稿: よざ | 2012.11.01 01:10

よざさん
わー、伊東甲子太郎、ホントに『竹生島』を謡っていた可能性が高いのですね。
「たとえ創作だとしても」なんて書きつつも、「こんなに『竹生島』に興味を持って、これが創作だったら、ちょっと寂しい」なんて思っていたので、嬉しいです。
ありがとうございました。

投稿: YAGI節 | 2012.11.01 22:31

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