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2012.09.24

時の花「秋」

『負けて、勝つ』の野村萬斎さん演じる近衛文麿を私の弟が絶賛しています。
「萬斎に惚れ直した」
「主役の渡辺謙より良かった」
「『のぼうの城』は原作がつまらないから映画には全然興味なかったけど、見に行きたくなった」
等と言ってます。

元々、「天狗様を忘れない会」を立ち上げた弟ですから(活動は『鞍馬天狗』の事を忘れずに、姉弟でたまに思い出話をするだけ)、萬斎さんの事を褒めるのはわからなくもないけれど、「そこまで言うか」とビックリ。
私は「いつもの萬斎さん」という感じで見ていて、「普段と比べて特別スゴイ」みたいな事は感じなかったのですが、「好き過ぎて冷静に見られないんじゃないの?」と言われてしまいました。
いや~、いつも素敵なパフォーマンスを見せて頂いているので、感覚麻痺してるのかな~。
ちなみに姉弟一致で好きなのは「あれはきっと真打ちになりますね」という台詞。
奥様はどんな気持で寄席に誘ったのかな。
私は落ち込むと無性にお笑い番組を観たくなります。笑っていると気が紛れ、笑う時間が長くなる程元気になるような気がするんです。
文麿も、寄席では辛い事を一瞬忘れて笑ったのかな。でも、自殺を思い留まる事は出来なかったのですね。って、私の落ち込みと文麿の落ち込みでは違い過ぎますけど(^_^;)

Ho2そんな文麿……もとい、萬斎さんを見に、一昨日宝生能楽堂に行ってきました。
「時の花」という宝生流の企画公演です。
宝生能楽堂といえば、先日エアコンが壊れてしまったあの会場。
当ブログには「暑くても萬斎さんの前では扇ぐの我慢した」みたいな事を書きましたが、萬斎さんのいない所では、扇ぎまくってまして、そのせいか扇子の袋を落としてしまったようです。
扇子ごと落としていればどなたか拾ってくれそうですが、袋だけだと無視されるかも。ゴミ扱いされて捨てられても仕方ない……と思いつつ、ダメもとで電話で問い合わせてみたら「あります」との事。「22日に取りに行くので、それまで保管していただけますか?」とお願いしていたのでした。とはいえ、実際見るまでは保管されているのが本当に自分の物なのかどうかはわかりません。無事受け取った時は本当に嬉しかった。これ、気に入ってたんです。拾ってくださった方、ひょーっとしたら当ブログをご覧になってるかも知れませんね。本当にありがとうございます!!

扇子袋との再会を喜んだ後は、座席へ。
今回は憧れの正面席です。ホール公演や屋外では良い席で見た事もありますが、能楽堂はほとんど中正面、良くて脇正面が私のお決まりの席でした。正面は初めて♪ カンフェティで割引券が売っていたので、正面にしてみました。
柱のストレスはなく視界は良好ですが、割引券のせいか、かなーり後ろ。双眼鏡持ってけば良かったです、ううう。

それでは感想行ってみます。

狂言◆伯母ヶ酒/野村萬斎、石田幸雄
お酒を飲みたいが為に伯母さんを騙す悪ガキくんの話。
が、萬斎さんがやると憎めなくて……といういつものパターン。
鬼の面を付けて鬼のフリをする「悪ガキ萬斎くん」ですが、お酒を飲むには面が邪魔。最初はお酒に口を付ける時だけこっそり面を外すも、そのうち面倒臭くなったらしく、外しっぱなしに。お酒のせいもあって段々無防備になって行き……というその変わって行く様が面白かったです。それにしても萬斎さんの酔っぱらい役はホント見事だな~。

アロマの惑星◆大橋マキさんトークショー
休憩時間にロビーで行われました。
大橋さん、「そういえば最近見かけない」と思ったら、フジテレビを随分前に退社されてたんですね(気付くの遅すぎ)。
現在はアロマセラピストとして活躍されているそうです。
相変わらずおキレイ。というか、テレビで見るより実物の方がステキ。
テレビで観ていた時は「かわいらしい」というイメージでしたが、今はかわいさを残しつつも、大人の女性という感じ。トークもさすがに手慣れた物でした。
今回「能」と「香り」のコラボレートという事で、アロマカード(香りをしみこませた物)を配ってくれたり、ロビーを香りで演出したりという企画があったのですが、それらの香りについての解説がありました。
どちらにもヒノキが使われているそうですが、ヒノキと能は関係が深いので用いたとの事。
能面はヒノキで作られ、能楽師の皆さんはご自分でも面を彫ったりするので、宝生さんの所にはヒノキの余り(笑)はたくさんあるそうです。
面にヒノキが使われる理由(削りやすい、湿気に強い、丈夫)なども知る事が出来て興味深かったです。

が……
最近、ブログには書いていないのですが、実は私、今も咳喘息と嗅覚障害で2ヶ月に1度程通院してまして……嗅覚は消えたり戻ったりの繰り返しなのです。
先月は今迄とは違う薬をもらったせいで、よく匂いがわかったのですが、強い薬なので長くは使えないそうで、いつもの薬に戻ったら……先週位からまた匂いがわからなくなったのでした(泣)。
この公演、先月だったら良かったなぁ。
アロマカード、いつまで香りが残るんだろう? 香りが残っているうちに私の嗅覚が戻る事はあるのでしょうか?

能◆紅葉狩/宝生和英、高橋憲正、辰巳大二郎、金森良充、野村萬斎他
金春流の『紅葉狩』を観た事がありますが、あれは「群鬼ノ伝」という特殊バージョン(?)でした。
歌舞伎版も観た事ありますが、それも「鬼揃」という特殊バージョン(?)でした。どちらも鬼が複数出て来ます。

文楽版(無茶苦茶好きっ!!)は鬼一匹でしたが、演出が派手で、人形が人間ではとても出来ないような物凄い動きをするので、感激するやらおかしいやらでとにかく忘れられない演目となりました。

それらと比べると、鬼が一匹で、戦いも妙にあっさり終わってしまう今回のバージョン(これが本来のスタイルなのでしょうが)は地味で物足りない感じが……
って、能に派手さを求めるのは間違ってますね。すみません。

Hoところで、この日、萬斎さんは狂言のみの出演かと思っていました。
が、パンフを見たら『紅葉狩』にも名前が載っているのでビックリ。すごく得した気分になりました♪
「アイ」となっていたので、前シテが引っ込んだ後の登場かと油断していたのですが、ふと気付いたら前半から萬斎さんに似た人が座っている。
しかし、美男鬘付けてるし、自分の席は後ろの方なので、それが萬斎さんだか判別が出来ません。声を聞いてようやく「やっぱり萬斎さんだっ!」と思ったけれど、狂言の時とは微妙に発声が異なるので、一瞬確信が持てませんでした。う~、いつから座っていたんだろう。気付いたのが遅れてなんだか損した気分。
得した気分になったり、損した気分になったりと忙しい一日でした。

右の写真は会場で配られていたパンフレットの裏面。
ポスターっぽいですね。
一緒に写っているチケットと比べるとその大きさがわかるでしょうか。
ちなみにチケットの上に写っているのがアロマカードです。

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コメント

YAGI節さん

がまです
この公演、宣伝を見て「能楽と香りとのコラボだなんて優雅だなあ」と思っていました
でも、嗅覚の具合がお悪い時はだったなんて、残念でしたね(>_<)
そうそう、YAGI節さんの過去の記事で、咳喘息のことを読んでいたのですが「最近の具合はいかがかしら?」と思っていたのです・・・
私は風邪をひいた後に咳が残るタイプで、ひどい時は話をすることも困難になります。でも、ここ一年ほどは風邪をひいていないので、咳もないのですが、咳の止まらない苦しさって本当に辛いですよね・・・どうぞお大事に・・・

「負けて勝つ」の萬斎さんは・・・私は弟さんとは逆でした
もちろん、萬斎さんの演技は素晴らしいのですが・・・なんだか悲劇的すぎて、しかも近衛文麿という人物があまり好きになれず
でも、Twitterでは萬斎ファンの皆様、文麿大好き~というようなつぶやきが多いので、私は少数派なのでしょうね・・・
渡辺謙さんの吉田茂はもうカッコ良すぎて「吉田茂、こんなにカッコ良くないだろう!!」と突っ込みたくなるし・・・
でも、骨太で面白いドラマですよね(と、フォロー)

今週末はパルテノン多摩でつきよ狂言ですね☆完売になっていましたが・・・台風直撃・・・ホール公演になるのでしょうか?私は行かないのですが、萬斎さんが多摩地域にお越しになるだけで嬉しいです

投稿: がま | 2012.09.25 09:36

がまさん
お気遣いありがとうございます。
薬さえあれば、咳は全く大丈夫です。
「ひょっとして、一生薬のお世話になり続けなければいけないのだろうか?」という不安もありますが。

そして近衛文麿。
テレビドラマだったら、天狗役や高杉晋作役が無茶苦茶好きなので、それらと比べると私も「あんまり……」と感じました。
もっとも、近衛文麿役やってても、どこからどう見ても紛れもなく萬斎さんなので、「ステキ」とは思ってしまうのですけどね。
それこそ、「近衛文麿、あんなにステキじゃないだろう!!」という感じ(笑)。

パルテノン多摩は私も行きませんが、多摩地域といえば府中公演、最前ゲット出来ました。
もう2013年のチケットが売られている事に呆然……。

投稿: YAGI節 | 2012.09.26 00:34

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