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2012.11.21

『のぼうの城』のここが好き

計3回見た映画『のぼうの城』。
初回より2回目、2回目より3回目の方が面白く感じられるという不思議な作品でした。「忍城チームを好きになる程楽しめる」という事なのかもしれません。
なんだかスポーツ観戦に似た楽しみがありました。

ポスタ- A4 のぼうの城 光沢プリント前回のWBCにたとえるなら……

初見時は、
「イチロー選手はスゴイに決まってるし楽しみだけど、他の選手はどうなの?」と探り探り見ていたという感じ。
しかも、「結果知らないように気をつけていたつもりなのに、日本が勝った事をうっかり知っちゃってから見たので面白さ半減」みたいな感じだったかも。

が、2回目は
「岩隈投手もダルビッシュ投手も松坂投手も川崎選手も中島選手も青木選手もみんないいじゃん、このチーム好き好き。応援する!!」
となったという感じ。

……え、わかりづらい喩えですか

スポーツ観戦はただ漠然と見るよりも、贔屓のチームがあった方が面白いという事です。
「日本人なら日本チームを応援」
「映画なら主人公側に感情移入」
というのが普通だと思うのですが、やはり対象に魅力がないと熱が入りません。
イチロー選手率いる「侍ジャパン」は応援したくなる魅力的なチームだったし、
のぼう様率いる「忍城チーム」も応援したくなる素敵なチームだったというわけ。

野球ファンは贔屓のチームの試合を何度も見て、愛着を深めて行くと思うのですが、忍城チームも見れば見るほど愛着が湧いて、一度目より二度目、二度目より三度目の方が応援したくなっちゃうんですね~。
だから戦闘シーンで忍城チームの奇策が当たった時のカタルシスも初回より二度目、二度目より三度目の方が大きく、2万の軍勢を破った時の爽快感も最後に見た時の方が大きかったんだと思います。
三度目は見ていて「よっしゃ!!」ってガッツポーズ作りたくなりましたから(笑)。
成宮さんの火矢を放つ時の悪魔のような笑みを見て、無茶苦茶嬉しくなってしまうのでした。

忍城メンバーを好きになれないと、この作品はキツイかも。
たとえば、「侍のくせに、現代語使ってる。この人イヤ~」なんて思っちゃうと楽しさ半減かもしれませんね。

さて、そんな『のぼうの城』ですが、戦闘シーン以外にも好きなシーンは色々ありました。
という事で、今日は好きなシーンベスト10を考えてみました。

『のぼうの城』オフィシャルブック惜しくも次点:疾走する丹波
長親を探して馬で疾走するシーン。
広々としてましたね~。見ていてとても気持ち良かったです。サラブレッドのようなカッコイイ馬の美しい走りに見とれました。

「しかも勝っておる」
西村雅彦さん扮する成田氏長の台詞。
関白の兵は一兵たりとも殺さないようにと言い置いたのに、自分が留守の間に勝手に戦を始めちゃっている。
「何やってんだ、ばかもーん!!」という心境でしょうが、勝っているので複雑ですよね。勝てる筈ないと思ったから降る事にしたというのに。その戸惑いっぷり面白かったです。

⑨音楽
エンディングの「ズレてる方がいい」は、すっかり気に入って着メロにしちゃいました。農民が列を作って踊る田植田楽シーンもミュージカルみたいで楽しかったです♪
あと夜のシーン変わり目の所でかかった低音の歌が不思議な迫力があって良かったなぁ。地謡っぽかったのですが……オリジナル?

⑧秀吉の「決壊させよ」
市村正親さんの秀吉、迫力ありました。
もう乗りに乗っていて、手が付けられない感じ。
たとえ、あの津波のような水を食らっても、あの秀吉なら死なないんじゃないかと思えました。石田三成が憧れるのも頷ける力強いシーンでした。

「御屋形は関白に降るおつもりじゃな」
北条家につくか関白に降るか。
どちらを選んでも悔いが残りそうな選択です。
「関白につく」と決まっても、成田泰季が納得しないうちは覆る可能性もゼロではありませんでした。が、その最後の砦と思われた頑固者・泰季が思いのほか物わかりよくこんな台詞を言ってしまったぁぁぁぁぁ!!
そして咽び泣く一同。
初見時はそれ程何とも思わなかったこのシーンですが、三度目は妙に胸に迫って来ました。丹波の絞り出すような「申し訳次第もござらぬ」という台詞も印象的でした。
普通はこれで、ジ・エンドなんですけどね。楽しいどんでん返しでした。

正木丹波vs山田帯刀
源平合戦の頃には「やぁやぁ我こそは」なんて名乗り合っての一騎討ちがお約束ですが、戦国時代にはそういうのって少なくなってますよね。
が、そんな昔ながらの一騎討ちがこの映画には出て来るのでした。
小説を読むと、丹波の咆哮に一瞬怯んだ山田の視線が僅かに逸れ、そのせいで馬の動きも僅かにずれ、山田の体勢がずれたというような説明があるのですが、映画を見ただけでは丹波の「避けたな」という台詞の意味がわからないかも。
山田の首が飛んでしまう所はつい目を閉じてしまいますが、漆黒の魔神・丹波の面目躍如の名場面です。

「わしも少しは働いたぞ」
豊臣軍を退けて喜ぶ農民達に握り飯を配る芦田愛菜ちゃん扮するちどり。
自分にも一つくれるよう丹波に頼まれるも、なんと
「馬になど乗って楽をしおって。これはちゃんと働いたおじちゃん達にやるんだから」
と断ります。
あの山田との一騎討ちを見たら、恐ろしくて口が裂けてもそんな事言えないよ(笑)。
怒るわけでもなく、「わしも少しは働いたぞ」と控え目に(?)訴える丹波役の佐藤浩市さんがステキです。「ほんとか」「いやほんと」というやりとりが微笑ましかった

ちゅどーん
上述しましたが、靱負が火矢を放つ時の悪魔のような笑みにシビれました。
「天才の働きを見せてやるぅ」とか泣いてる時は、好きになれなかったのですが、あの火矢のシーンで全て帳消し。CMにも使われてましたが、あの一瞬の笑みを見れただけでも「あの役を成宮さんにしてくれて良かった!!」と思えました。
油に火が点火した後は遠景となって音はなかった気がしますが、あの映像だと「ちゅどーん」って感じですよね。やったー!!
重くて大変だったとおっしゃってましたが、義経を連想させるような源平ちっくなコスチュームもとても良かったです

のぼうの姫―秀吉の妻となった甲斐姫の実像―船上の田楽踊り
冒頭に「初回より2回目、2回目より3回目の方が面白く感じられた」と書きましたが唯一の例外がコレ。
初回は「萬斎さんの踊り」というだけで興奮して大喜びで見ていましたが、3度見て、歌詞もはっきり聞き取れてくるとやや冷静になり「これはいかがなものだろう」という気になってくるのでした。
「大放尿」何度言えば気がすむのかと……
「今宵ふたりで大放尿」って何。
でも、ここは私が気に入るような踊りを披露する場ではないんですよね。
敵味方問わず、とにかく瞬時に人の目を引き付ける事が重要。インパクト勝負。その意味では最適の踊りだったと思います。
ちなみに私は「ひょろろんひょろろん」とか「がってんじゃー」とかは好き

このシーン、那須与一を連想してしまう私です。
戦いを一時忘れて、敵も味方も一つのパフォーマンスを注視するという点が同じですよね。
与一は物凄いプレッシャーの中扇を射落とすわけですが、長親を撃つように命じられた雑賀の鉄砲上手も緊張しただろうなぁ。そして扇を射った与一は大歓声を浴びるわけですが、踊る長親を見事撃った狙撃兵は……大ブーイング。お気の毒

「だから、これから言うところなんだって」
ラストの石田三成との会談は面白かった~。
理不尽な和議条件を出されて、文句を言う忍城チームの面々。
「城代もなんとか申せ」と言われてのぼう様が言った言葉です。
で、続いた言葉が奮ってます。
「(そんな条件出して)この上まだ戦がし足りぬと申すなら、存分にお相手致すゆえ、直ちに陣に戻られ、軍勢をば差し向けられよ」
薮蛇な長束正家、面白過ぎます(そういえば正家の兜の前立てが蛇)。
敗軍の将なのに、全く怯む事なく、開城の条件を2つも挙げちゃうのぼう様、素敵でした。私も忍城チームの一員になった気分で溜飲を下げました。
それを認める石田三成も良かったですね♪
しかし、三成ってば、戦を何だと思っているんだろう……。
すごく爽やかで、カッコいい所もあるのですが、「そんな心構えじゃ、負けちゃうんだろうなぁ」と思わされる部分も多かったです。

「戦いまする」
言わずと知れたハイライト。
この一言で全てが変わりました!!
この台詞を言う時の萬斎さんは最高にカッコ良いし、その後の話し合いのシーンも良いですね。
「やるか」「やっちまうか」の流れは無茶苦茶好き。
「やっちまうか」は時代劇らしからぬ言葉です。
この映画にはそういう所が多くて(「だから、これから言うところなんだって」も現代語っぽいですね)、そこは賛否意見が分かれる所かなと思います。
私も、全ての時代劇がこんな風になるのは反対です。
『鞍馬天狗』のクラシカルな台詞大好きな私ですから。
でも、こういう作品があってもいいと思う。
この「やっちまうか」には丹波の葛藤、「やるべきでない事をやってしまう」という微妙な後ろめたさ+ワクワク感みたいな物が詰まっていて、好きです。
戦うと決まった後は急に皆元気になっちゃって、襖の開閉が力強くなっている所なんかも面白いです

そして実は私、 平岳大さんの正家も妙に好きなんですよね~。
ここでは「戦いまする」と言われて「2万の軍勢を相手に戦すると申すか!」と言い返すのですが、前半の「2万の軍勢を相手に」という所は声がやや裏返って頼りない感じ。そして「戦すると申すか!」の所は取り繕うように凄む感じで、その言い方が何ともツボでした。
「忍城チームファン」としては、「正家慌ててるよ、くくっ」と悦に入れる瞬間なのでした。
他にも戦場でまんまとやられて「あ~」と気の抜けた声を出す所もたまらなかった。基本、居丈高なんですが、そんな彼が困るととってもイイ気味なのです(失礼)。
イイ気分にさせてくれる悪役って貴重ですね。もう平さんを困らせたくて仕方ない私でした(笑)。

「長親を頭にして戦おう」と誓う金打のシーンも好き好き
そして、戦に決した事に関して「御屋形の言いつけには背くんじゃが」と申し訳なさそうな長親に「あの腑抜けの話など聴かずともよい」と言い放つ珠に心で喝采を送りました。出番は少なかったのですが、鈴木保奈美さんの珠も、良かったなぁ。
男たちを投げ飛ばす甲斐姫の事を見て諫めるどころか笑い転げてたり。そんな珠を見て笑い転げていた私でした。

ベスト10には入れませんでしたが、前田吟さんのシーンはどれも好きです。
前田さんの笑顔、いいですね~。夢中に戦っている表情も良かった。

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コメント

YAGI節さん

がまです。
いいシーン、いっぱいありますよね「そうそう☆」なんて思いながら読ませていただきました!

私は開城のシーンが一番好きです。見応えがあって・・・
あと、お酒を飲みながらのぼう様が謡うところ。もう、声が良くって「もっと長く謡が聞きたい〜!!」と思いました。

脇を固める俳優さんでは、メインキャストもいいけれど、私も平岳大さん好きでした。嫌な奴のはずなのにと〜ってもいい味出してましたよね!

西村雅彦さんの氏長も良かったですね!「しかも勝っておる」は私も大好きなシーンです。一緒に映画を観た姉は、氏長を気に入って「最後に当主氏長のその後について教えてくれなかった〜」と残念がっていました

田楽踊りは・・・私も、期待していたほどではなくて・・・
たぶん、ものすご〜く期待が大きかったから、ちょっと物足りなく感じてしまいました。
思うに、夏に観た「藪原検校」の早物語のシーンが凄すぎて、どこかでそれと比べてしまったかな〜・・・
いや、もちろんすごく技のある踊りなのはわかるのですが、「萬斎さんなら、もっとできるはず(偉そうですが)と思ってしまったかなあ・・・
でも、コンセプトが「戦で疲れているおっさんたちを魅了する下ネタ満載の踊り」だから、女性が見てもピンとこないのかなあ・・・と思ったり・・・

なんとかもう一回は見たいのですが、もう一度見たらまた感想も変わるのかな〜なんて思っています。

投稿: がま | 2012.11.26 00:39

がまさん
ホント、いいシーンいっぱいありますよね。
こんなに挙げたくなっちゃう映画、珍しいと思います。

がまさんは開城シーンが一番お好きなのですね。
私も大好きです。
開戦シーンと開城シーン、甲乙つけられなくて随分迷いました。

お酒を飲むシーンは、のぼう様は良いんですが、和泉が恐い~。

氏長……
実は私、今年今更ながら『信長の野望』に無茶苦茶ハマリました。
ようやく飽きたと思ったのに、映画見たら北条でやりたくなっちゃって。
また暇さえあればやってます(>_<)。
私が持っているのはPS2なので、のぼう様は出て来ないのですが、氏長と泰季が出て来ます。
なるべく映画に近い時代でやろうとしたのですが、秀吉強すぎて無茶苦茶大変です~。何度もやり直してます~(ばか)。

「藪原検校」は、そんなに良かったのですね。
見逃しちゃいけなかったかなぁ。
でも、再演やってもまた二の足踏んでしまうかも。

投稿: YAGI節 | 2012.11.27 03:09

信長の野望、面白そうですね!
さすが、天下人秀吉、強いんですね

藪原検校は、好みが分かれるでしょうね〜
ご存知かもしれないですが、衛星劇場という有料チャンネルで1月に放送するみたいですよ☆

投稿: がま | 2012.11.29 10:39

がまさん
現在、家康と協力して、秀吉と対抗すべく頑張ってます(笑)。

衛星劇場、最初はスルーする気だったのですが、『花子』もやるようなので心揺れてます。
衛星劇場契約したら、『藪原検校』も見るのかなぁ>自分。
でも、『国盗人』は途中脱落した私……

投稿: YAGI節 | 2012.11.29 23:20

そうそう、花子もやるんですよね〜
のぼうの城でファンが増えることを見越してのラインナップか!!
もし契約してご覧になったら、藪原検校、YAGI節さんの感想が聞きたい(読みたい?)です
もし、ダメな部類でも、早物語だけは必見ですよ

投稿: がま | 2012.12.01 22:32

がまさん
きゃーきゃー、
『花子』のみならず、
『髭櫓』とか『弓矢太郎』もやるみたいですね
もう絶対契約しますっっっ!!

投稿: YAGI節 | 2012.12.02 23:38

え〜!!そんなに!!
私も契約したくなってきました!でもテレビないけど・・・パソコンでも見れるのかな??

投稿: がま | 2012.12.04 09:27

がまさん
オンデマンドとかあればいいですね~。

投稿: YAGI節 | 2012.12.05 21:45

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