ヤナーチェクを聴きに
私が一番好きなサクソフォニスト・須川展也さんは、長年東京佼成ウインドオーケストラ(一部の高校野球ファンには『ブラバン! 甲子園』でお馴染み?)のコンサートマスターを務めてました。
須川さんのソロコンサートやトルヴェール・クヮルテットのコンサートは聴きに行った事がありますが、東京佼成ウインドオーケストラ(以下TKWO)の演奏は興味がありつつも、まだ生で聴いた事はありませんでした。
TKWOは定期的に演奏会をやっています。
なので「いつでも行ける」と油断していました。
「いつでも行ける」と思ってると案外いつまで経っても行かないものなんですよね。
気づいたら須川さんは退団し、コンサート・マスターも同じトルヴェール・クヮルテットの田中靖人さんに交代していたのでした。
須川さんがいないのは寂しいけれど、田中さんも好きなので、TKWOは今でも気になる存在ではあります。
そんなTKWOのコンサート、ついに聴いて来ました!!
「いつでも行ける」と思いつつ、今迄行っていなかった私の背中を押したのは、ヤナーチェクの『シンフォニエッタ』。
村上春樹さんの『1Q84』の影響です。
小説を読んだ時はどんな曲かわからず、YouTubeで確認したっけ。
で、ファンファーレがカッコ良かったので、「生で聴いてみたい」と思っていたのでした。
そんな『シンフォニエッタ』を、憧れのTKWOが演奏するなんて。これを聴かずに、いつTKWOを聴くんだ!? 今でしょう!!
と、ミーハー過ぎるノリで行ってみました、すみません。
今回指揮をとるラドミル・エリシュカという人はチェコ人。
「ヤナーチェクの孫弟子」だそうです。
エリシュカ氏の師事したブジェチスラフ・バカラという人がヤナーチェクの直弟子だからであり、チェコ本国でもエリシュカ氏はヤナーチェクの権威として有名な存在なのだとか。
まずは序曲「謝肉祭」。
ドヴォルザークの作品です。エリシュカ氏はチェコ・ドヴォルザーク協会の会長を務めているそうなので、ドヴォルザークもお得意なのでしょうね。
で、聴いてたら……
感動して涙出そうになりました。
吉松隆さんの還暦コンサートで大興奮した話をアップしたばかりですが、あちらは曲の魅力とか編曲にやられた部分が大きかったんですが、今回は音にやられました。
初めて聴く曲で、曲にはそれほど心惹かれなかったし、インパクトも感じなかったのですが、とにかく音が美しすぎ。
須川さんの音色は超美しいけれど、TKWOにいるのは須川さんみたいな人ばかりなんですか?
驚いたのはフルート。
実は私、フルートはあまり好きではありません。
結構かすれませんか?
もう「かすれるのが特徴というか、味なの?」なんて思ってたのですが、無茶苦茶クリアでした。透明感ありまくり。あんなフルートは聴いた事なかったなぁ。
フルート以外の木管楽器はほぼ全部好きなんで、普通にやってくれれば気に入る筈ですが、それにしても他の楽器の音も素晴らしくて、「こんな素敵な物を聴けるなんて!!」と幸せな気分になりました。
一人で興奮してしまった私ですが、周りの人は意外とクール。
こんな素敵なものでも聴き慣れてる人にとってはいつも通りな感じなのでしょうか。
次がお目当ての『シンフォニエッタ』だったんですが、ファンファーレこそ「おお、待ってました!!」って感じで嬉しかったのですが、結構長い曲で、途中で段々飽きてきちゃったのでした。
さっきまであんなに感動していた私はなんだったんだ(爆)。
が、隣の人は1曲目とは別人のように派手に拍手をしていたんで、他の皆さんにとってはこちらの方が良かったのかも(^^;;;;;)。
そして、ラストは再びドヴォルザークで交響曲第9番ホ短調「新世界から」。
なんと45分だそうです。これこそ退屈しちゃうかと思ったら……
良かった~。飽きなかった~。
ソロパートが多かったのですが、ここでまたお上手な方の音色の美しさが際立つんですよね。うっとりしました。酔いました。いいなぁ、あんな美しい音が出せたら、演奏も楽しいだろうなぁ。
という感じでお目当てのヤナーチェクより、全く期待していなかったドヴォルザークの方が楽しめてしまったという、意外な展開となりました。
いや、期待していない物の方が楽しめるというのは私にとってはよくある事でした(^^;)。
あ~、ホント綺麗な音色だった~。
いい物聴けた~。
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