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2013.08.10

藪原検校

録画したきりまだ観てなかった『藪原検校』、ようやく観ました。

昔、台本を読む機会がありましたが、その時のイメージは最悪。

大悪党は別にいいですよ。
ルパンとか好きだし。
でも殺人はイヤだ~。
しかも連続殺人。イヤだ~。
歌舞伎だったらいいけど(何故?)、ストレートプレイでそれはいやだ~。

というわけで、愛しの萬斎さんが演じると知った時は「よりによってあんな作品をやらなくても……」とかなり落ち込んだのでした。
「いくら萬斎さんでもこれは観たくない」と思ってしまったのでした。

実際、ファンのくせに劇場には足を運ばなかったのですが、テレビでやられたら、しかもせっかく加入した有料チャンネルでやられたら、見ないのももったいない気がして、取りあえず録画だけはしました
が、なかなか観る踏ん切りがつかず、今に至ったのでした。

演劇パンフレット「藪原検校」2012年 作:井上ひさし 出演:野村萬斎で、感想は……
思ったより、カラッとしてましたね。
歌舞伎ではないけれど、歌などが入って「リアルドロドロ」な感じは薄められてました(ほっ)。

あと、杉の市(萬斎さん)に迷いがないのが良かった。
私は殺人を見せられるのは、もちろんイヤなのですが、それに伴う葛藤みたいなのがまた苦手なのですね。
「殺すべきか、殺さぬべきか」とか「殺してしまった、どうしよう」とか「あぁ、この後悔の念からは逃れられない」とか「亡霊を見る、頭がおかしくなりそうだ」みたいな。……つまりシェイクスピア的な?(笑)

そういえば、宮崎アニメの最も大事なことは「逡巡しないこと」って、どこかで読んだっけ。
宮崎アニメの主人公は迷わない。……と、先日見た『風立ちぬ』を連想してみました。
葛藤する主人公は家でテレビで見る分には良いけれど、わざわざ外に出かけて行ってまでは見たくない私です。

で、杉の市はビックリする程、迷いや後悔がない。
母殺しはアクシデントでしたが、他は「自分がのし上がって行く為には当然」みたいな潔さ。
うーん、感心する事ではないのかもしれないけれど、「自分の信じる道をまっしぐら」、「信ずれば誠」みたいな。やっている事は悪い事なんだけれど、その迷いの無さは重苦しさから救ってくれるというか。
なんか杉の市のペースに乗せられてしまう感じなのでした。
という感じで、思った以上に楽しく観られました。
って、連続殺人の話を「楽しく観られました」で片付けるのもどうかと思いますが
そして、再演があっても見に行かないと思いますが

噂の早物語は噂通り凄かった。
ああいう事だったのか~。
『にほんごであそぼ』などで見た時は「これがそんなに凄い物なのかな~?」とイマイチ納得出来てなかったのですが、あれはほんのサワリなのですね。
劇場で見たら、拍手喝采してしまったかもしれない。
あれは生で見たかったかも~。

それにしても保己市はどうして、三段斬りなんて勧めたのかなぁ?
「あれだけの悪行を重ねたんだから、見せしめにしなければ」という正義感なのか?
そして、それがお祭り男・杉の市に相応しい最期だと思ったのか?
あるいはやっぱり屈折した物があったのか?
保己市は杉の市の事、憎んでいたんでしょうか?
検校になった年齢は杉の市の方が若かったけれど、杉の市が検校になった時には既に保己市も検校になっていたので、それ位で嫉妬なんてしないような気がするのですが……。
食べ物の恨みとも思えない(笑)。
杉の市は保己市を小バカにするような態度を取った事はあったけど、保己市の偉さは認めていたような気がする……。
「そんな偉いアンタでさえも、なかなか検校になれない」というような言葉は保己市をバカにするというよりも、「お金が一番大事」という価値観を披露したに過ぎないような気がしたし……
「お金が一番」という価値観は杉の市を殺してでも消したい物だったのか……?
価値観の相違って、離婚の原因としてもトップクラスに挙げられそうな気がしますしね。
保己市が杉の市の事を面白がって見ていて、「友人」と称していたのも満更嘘ではなさそうに思えたのですが……。
あるいは、価値観は違っても、実は意外と似た者同士で、似ているが故の近親憎悪とか?

うーん、なんか、その辺の保己市の心境が、理解力の無い私にはよくわかりませんでした。
ま、別にわからなくてもいっか。

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コメント

YAGI節さん

ご覧になったのですね、藪原検校。
確かに、杉の市に迷いはないですね。
早物語は、生で見たら本当に凄かったですよ〜!!

ラストシーンも、生で見ると怖かったですね。人形使っててもそれが逆に不気味で怖かったです…
保己市の思いは…解釈の難しいところですよね。位置づけとして、彼と杉の市は、全く違うようでいて、実は同じものの陰と陽…みたいなのかな〜とうっすら思うのですが…演じる側は、そして、演出家はどう解釈していたんでしょうね…
保己市が三段切りを提案する時には、怒りが感じられて、それは、盲の人に対して健常者が抱く差別や偏見に対する激しい怒りのように思いました。決して杉の市が憎かったわけではないような…

ところで、風立ちぬ…観ましたよ!
映画も萬斎さんのカプローニも、とっても良かったです(^ ^)期待以上でした!
かもめも見てきました。
こちらは…実力のある役者さん揃いで見応えがあった…という感じでしょうか…萬斎さんはなかなか悪い男でした(^^;;

投稿: がま | 2013.09.07 20:44

がまさん
はい、遅まきながら観ました。
保己市の思い、考えれば考える程わからないです~。
そうですよね、杉の市が憎かったわけではないですよね。

『風立ちぬ』の萬斎さん、良かったですよね♪
『かもめ』も楽しみです~。「悪い男」か……

投稿: YAGI節 | 2013.09.08 23:07

YAGI節さん

わかった!!というか、わかったような気がします!!保己市の思い…
自分のコメント読み直してハタと気がつきました…
でもあくまで私の解釈ですが…

保己市は、杉の市の残虐な死刑を見せつけることで、実は、盲を差別し見下す人々の醜い姿を見せつけたかったのではないか?と思いました。
「興奮して見ているお前たちの心が、実は杉の市の死の姿のように醜いんだ〜!!」と伝えたかったのでは?だから、蕎麦まで食べさせてなるべく醜くしたかったのでは??と思いました。

とにかく、小日向さんの演技力もすごくて、優しげな保己市なのに、死刑について提言するときにひしひしと伝わってくる怒りのパワーが大きくて…そこがなんの怒りだろう??とずっと気になっていたのですが、私なりに答えが出てスッキリしました〜☆

…と、一人で盛り上がって失礼しました

投稿: がま | 2013.09.09 22:26

がまさん
そうですか。深いですね~。
そんな保己市の皮肉は、処刑を見る見物人に伝わるのかな……?

投稿: YAGI節 | 2013.09.11 23:54

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