CHANGES
CUTS LIKE A BOWIEより転載
この歌詞には比喩やわかりにくい部分がいくつかありますが、意味不明な物が多いボウイ作品の中では比較的わかり易い部類に入るのではないでしょうか。隠されている事の多い彼の本心も、ここではかなりストレートにさらけ出されていると言えそうです。
この曲はアルバム『ハンキー・ドリー』に収録されています。『ハンキー・ドリー』といえば、ジギー・スターダストの伝説を創り上げる前の時代、つまりまだそれ程世間に評価されていない頃の作品です。自分には自信を持ちつつも、「ひょっとしたら、この程度で終わってしまうのだろうか……」という焦りのような物を感じていた時期なのかもしれません。
ここでは「うまく行くと思っていたが、現実は甘くない。現状を打開する為には変わらなければ」というような事が歌われていますが、この「変わる」そして「変化し続ける」という事はボウイに宿命づけられた課題となった感すらあります。この歌詞はいわば人生の節目(崖っぷち?)における決意表明であり、彼の本質、生き様のような物迄がくっきりと示された物であるような気がします。
私がボウイに求めているものといえば、面白さとカッコ良さ(ここでの「面白さ」や「カッコ良さ」は、音や歌詞・存在など様々な点におけるものを指しています。また「面白さ」はコミカルなものだけではなくもっと幅広い意味での「面白さ」だと解釈して下さい)、そして心地よさ等で、基本的に励ましソングは期待していないのですが、この曲は私の心の支え的存在となっています。たとえば、ボウイの弱気な一面も見られますが、「あんな人でさえ弱気になる事もあるんだ」と考えればネガティブな気分も引きずらずに済みます。またスーパースターで、傍目には人生の大勝利者のように見える彼でさえ「行き止まりの道」にぶち当たった事を考えれば「自分の人生だって易々と思い通りになる筈がない」と考える事が出来、困難を前にした時にも愚痴りたい気分が薄れるからです。
という訳で、この曲は私が最も気に入っている曲の1つです。
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