龍馬を守った新撰組 禁断の幕末維新史
私は普段「新選組」という表記を好んで使っていますが、今日はタイトルに倣って「新撰組」と書くことにします。
去年、地下鉄の車内広告でこの本のタイトルを見た時は無茶苦茶びっくりしました。
「『幕末恋華新選組』(←ゲーム)ですか?」と(^_^;)。
新選組ファンにとってはとっても嬉しいタイトルですけど、なんだか嘘臭いですよねー。
「まともな本じゃないだろう」と思いました(ごめんなさい)。
が、なんと市の図書館にありました。
「図書館に置かれるという事は、そんなにヘンな本じゃないのかもしれない」と思い直しました。Amazonの評価も悪くないんですよね。
という事で、読んでみました。
タイトルだけ見ると「禁断の幕末維新史」が副題みたいに見えますけど、中身はこっちが主題でした。
「尊皇攘夷ブーム」から戊辰戦争までの流れが書かれている本で、龍馬と新撰組の関係については僅かのページしかさかれていません。
新撰組に関する記述では、気になる点がいくつかありました。
明らかにおかしいと思ったのは二点。
「浪士組は(略)東海道五十三次ルートで2週間後、京都に到着」
という記載がありました。
ふざけた表現が多いので、これも真面目に書いているのではないかも知れないけれど、本当は中山道ですよね。私、一時期、「自転車で中山道で京都に行く」という夢を持っていた時期ありますから(ばか)。私にとっては大事です。こういう所を疎かにされると本の信憑性が下がる……。
「コヤシ香る八王子の近藤」
という記載もありましたが、近藤勇は調布生まれです。養子に入った先は新宿だし、日野をはじめ多摩地区に出稽古に行っていたけれど、八王子だけピックアップされたのには理解に苦しみます。近藤から八王子を真っ先に連想するファンはいないと思うのですが。
他に、「おかしい気がするけど、完全否定は出来ない」という点は山程。
もっとも「歴史なんて、きっと嘘だらけなんだろうなぁ」とは私も普段から感じてます。
疑いだしたらキリがないです。
その気になれば、どういう風にでも考えられちゃいますよね。
否定出来るほどの知識もないので、挙げるのはやめておきますが、もう小説感覚で読んじゃった所もありました(^^;)。
倒幕派に関する事は自分があまり詳しくないという事もあり、違和感はあまり感じませんでした。というか、「わかりやすい!」と思ってしまった。
たとえば、水戸の勤王が「南朝の勤王」というのに目からウロコ。
幕末の人達が楠木正成が大好きな事や、足利三代木像梟首事件の事も知ってはいたんですけど、あんまり南北を意識した事ありませんでした(この辺突っこむとまた難しい事になるのでこれ位にしときます)。
今迄わかりにくかった「長州の藩論がころころ変わった理由」や、第一次長州征伐でぼろぼろになったと思った長州が「攘夷派を一掃出来て結果的には意外と好都合だった」みたいな説明にも納得。
高杉晋作の投獄理由が「仲間を説得できない罪」っていうのも面白すぎました。「脱藩の罪」じゃないんですか(笑)。
もっとも、新撰組に関する記載から想像すると、おかしな事も書いてあるかもしれないんですけどね。その辺は、疑うだけの知識がない~。
という感じで、自分の得意分野に関しては眉唾だらけ、苦手な分野に関しては納得という、ちょーっと危うい感じのする微妙な感想となってしまいました。
全体的にはネガティブでした。
物事を悪い方へ捉えている事が多かったような。人間不信になっちゃうよー。
日本人が、すごくダメな人種みたいに思えてくるよー。(思ってないけど!)
あと、「コヤシ香る八王子の近藤」という記載から察した方もいらっしゃるかも知れませんが、この作者の方、口が悪いです。
近藤に関してはすごく好意的に書いてくれていて嬉しかったんですが、その近藤でさえもコレです(^_^;)。
「わかりやすくしよう、面白くしよう」という工夫だとは思うんですが、私が尊敬する幕末の皆さんにもうちょっと敬意を払ってほしかったような気がしないでもありません。
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コメント
私もちょっと前にこの本読みましたが、期待外れでがっかりしました。
以前、この方の書いた「幕末維新の暗号」は内容を信じる信じないは別としてとても面白く夢中になって読んだ記憶があります。
確かちょっと前にBSでドラマ化もされそれも凄く面白く良いドラマだったので今回も期待大で楽しみに読み始めたら言葉づかいは悪いし、YAGI節さんのおっしゃる通りそれ違うよね?って思う点がいくつかありました。
あまり大きな声では言えないけど、この本よく出版出来たなぁって思ってしまうほど(^^;
投稿: dandara | 2018.01.09 20:43
dandaraさん
おお、さすが硬軟どちらも沢山お読みになってるdandaraさん。
これもお読みになってましたか。
この方、視点は面白いですね。
『幕末維新の暗号』も図書館にあるみたいなんで、読んでみます♪
それにしても、『龍馬を守った新撰組』は幕末に詳しくない人が読んだら、信じてしまいますよね。
。
あれを最初に読んだ人は会津の事を好きになってくれないだろうと思うと罪作りな気はします
土佐の人も、山岡鉄舟好きの人も怒りそう。
投稿: YAGI節 | 2018.01.10 21:52