解説・字幕付き 能・狂言2019
先日言及した
「野村萬斎さんが毎年出演される恒例イベントの中で、特に好きなベスト3」のうち1つは、府中の森芸術劇場で毎年行われている「解説付き能・狂言」でした。
19日に観て来ました。早いもので、もう一週間経っちゃいました。
今回の解説は葛西聖司さんでした。
この会では、林望さんか葛西さんのどちらかが解説をされる事が圧倒的に多いです(本阿彌光蓮さんの解説を一度お聞きしましたが)。
このお二方、タイプが異なって、甲乙付けがたいんですよねー。
話がお上手で面白いのは葛西さん。能楽鑑賞に即効的に役立つのも葛西さんのお話。
アナウンサーの葛西さんは話すのが専門なので、書くのが専門の林さんが喋りで負けてしまうのは当然かもしれません。
が、私が好きなのは林望さんなんです。
元大学助教授でもある先生のお話はちょっと私には難くて、たまに授業を聴いているように眠くなってしまう事もあるけれど(爆)、勉強になる事も多いし、なんといっても私はリンボウ先生著作の読者でもあるので。
私が毎回この会を楽しみにしている理由の一つは中森貫太さんの質疑応答があるからなんですが、もったいない事にこれを聴かずに帰ってしまう方がものすごく多い。
私は、「質疑応答絶対面白いから、聴いて行った方がいいですよ!」と言いたい気分ですが、見ず知らずの人にそんな事言う勇気はない。
貫太さんはご自身で「僕の質疑応答すっごく面白いですよ!」なんておっしゃる筈もなく、「よろしければ聴いてって下さい」的に質疑応答のコーナーがある事を控え目に伝えるのみです。
が、葛西さんは、言ってくれました。オススメしてくれました。おかげで今回は質疑応答まで残って聴いてく人がすごく多かった。嬉しかったなぁ(自分の事でもないのに)。
「ありがとう、葛西さん!」と思いつつも、そんな如才なさすぎる所が気になってしまう私です。
「林さんだったら、そんな事言えない(言わない?)んだろうなぁ」と思ったりして(勝手な想像です)。なんだろう、この気持。要領悪い私は、スマートすぎてソツのない葛西さんより林さんに共感しちゃうって事なのか? いや、林さんがスマートじゃないという意味ではないんです、すみません。
いやー、「好きな人(林さん)」と「面白い人(葛西さん)」、どちらを選んだらいいんだろう。迷っちゃうなぁ。
あ、私が選ぶ必要はないですね(笑)。
狂言の演目は『蝸牛』でした。
はい、先日の『新春名作狂言の会』と同じ(>_<)。
「またかー」と思ったんですけどね、しかたない。『蝸牛』好きだから我慢……いえ、ありがたく見ました。
先日の茂山千五郎さんの法螺貝は吹き口の所がピカピカ光っていて、「ああいう金属は昔からあるの?」と気になってました。
今回野村家の法螺貝にも注目したのですが、金属部分が見えませんでした。意図的に隠していたのか、金属は付いていなかったのか? また山伏が出てくる演目を見る時にはチェックしてみようと思います(どうでもいい)。
見たばかりだったけど、やっぱり『蝸牛』は楽しい。安定の面白さですね♪
能は『国栖』(くず)でした。
今までになく、わかりやすかった。
葛西さんの解説が効きました。鮎がどういう魚なのか、どこが見どころなのか、など前もってわかっていたお陰で見逃さずにすみました。
字幕(現代語訳)も良かった!
去年も良かったんですが、ちょーっと見づらいのが玉にキズでした。今回は座った位置が良かったのか改良されたのか、とても見やすかった。「字幕と舞台を交互に見る」という感じじゃなくて、「舞台を見ると延長線上に字幕が見える」という感じだったので、字幕を読んでいても演者の動きを見逃さずに済みました。やっぱり意味がわかると全然違う! そして素人にはやはり詞章より現代語訳の方が断然いいっ!!
ラストの蔵王権現は派手でインパクトあったし、最後まで退屈しませんでした。
能を楽しむ事は諦めようと思った事もある私ですが、諦めるのやめます(笑)。
ところで、
この公演のチラシには、右のようなロゴが付いていました、「文化オリンピアード」。
オリンピック・パラリンピックの開催国で行われる文化・芸術のパフォーマンスや展示、舞台公演などのプログラムの事を言うそうです。
そういえば、長野五輪時に観た劇団四季の「ソング&ダンス」はそんな感じの扱いだったかも。今調べてみたら「オリンピック・文化プログラム」と呼んでいた。
「野村萬斎さんの『オイディプス王』のアテネ公演も、そんな感じじゃなかったっけ?」と思い、こちらも調べてみたら、「カルチュラル・オリンピアード」と書いてありました。
ギリシャ語の「カルチュラル・オリンピアード」を長野五輪の時は「文化プログラム」と訳し、東京五輪では「文化オリンピアード」と訳しているわけですね。
オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であるとともに、文化の祭典でもあるのです!(オリンピック憲章で文化的なイベントの実施も義務づけられている)
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