【語りたくなっちゃう曲】Four Seasons
志村正彦さんが亡くなったのは2009年の12月24日ですが、その約2週間前に『THIS IS FOR YOU〜THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』というアルバムが発売されました。
THE YELLOW MONKEY結成20周年記念として発売されたトリビュートアルバムで、フジファブリックが"Four Seasons"のカバーで参加しています。これが志村さんの生存中に発表された最後の曲みたいです。
邦楽CDをあまり持っていない筈の私ですが、偶然にもアルバム『Four Seasons』はCDで持っていまして(『Four Seasons』は曲名でもあり、アルバムのタイトル名でもある)、オリジナル・ヴァージョンは聴いてました。
フジファブリック・ヴァージョンを聴いての第一印象は、「このボーカル誰?」。
いや、志村さんなんですけどね。志村さんっぽくない。
吉井和哉さん、そっくり!
志村さんは高校時代、THE YELLOW MONKEYのコピーバンドをやっていたそうです。
志村さんと吉井さんの声が似てるなんて思った事なかったけれど、高校生の頃はこんな風に歌っていたんだろうか。
フジファブリックって色々なタイプの曲を演ってますが、そういえばこういうタイプの曲はなかったなぁ。志村さんって、淡々と歌っているイメージだし。
でも、"Four Seasons"は絶唱系っていうんですか? あんな歌い方出来たんですね~。歌い上げてます。
2009年9月2日の志村日記にこんな事が書いてありました。
歌の練習をしている。何故かというとフジファブリックは歌さえうまくなれれば、更にとんでもないバンドになるのは間違いないような気がしまして。すごいぞ、フジファブリック。
そして禁煙をしようかと。これはでかいわー。サラッサラと歌うよ。歌い上げてしまうよ。
ああ、歌の練習と禁煙の成果という事なのか?
歌い上げちゃってたよー。
「サラッサラ」ではないけど。
粘り気ある感じだけど。
以前志村さんのここが好きという記事で、「1.歌がうますぎない」なんて書いちゃったけど、「歌の上手いフジファブリック」って、こんな感じなのかな(ちょっと音外してるっぽい所もありましたが)。歌に自信が持てるようになったら、歌い上げる系の曲を作ったのかもしれませんね。
という感じで、完コピともいえちゃいそうなカバーでしたが、「一味違う」と思ったのはコーラスでした。
前述の記事で「5.コーラス・アレンジも好き」と書きました。
オリジナルにはないコーラスがフジファブリック・ヴァージョンには入っていました。しかも私の好物である「低音コーラス」。これ聴いた後でオリジナルを聴くと、コーラスがないのがすごく物足りなく感じてしまうのでした。
あと、「おやっ?」と思ったのはギター・ソロ。
なんだか、ミック・ロンソンみたい。
吉井さんはデヴィッド・ボウイ・ファンなので、時にビジュアルやコンセプトでボウイ臭をぷんぷん感じさせる事があるのですが、耳からはあまりボウイっぽさを感じさせません。なのに、カバーであるフジファブリックのギターがミック・ロンソン風っていうのが、すごく不思議でした。あのソロは山内さんなのか、志村さんなのか?
と、音の話ばかりしてきましたが、吉井さんといえば歌詞がスゴイんですよね。
初めてこの曲を聴いた時にも「♪アンコールはない 死ねばそれで終わり」という歌詞にドキッとさせられましたが、フジファブリック・ヴァージョンは説得力があり過ぎる(泣)。
そして、ラストの
美しい希望の季節が
In changing time'n four seasons I'm crying
すぐそこまで近づいてる
だけど勇気が足りない 力が足りない 時間が足りない
お金が足りない 空気が足りない 命が足りない
という部分はグッとくるのでした。
あー、時間足りなかったー、命足りなかったー(泣)。
天才・志村さんの前途は美しい希望に満ちあふれていたんじゃないだろうか。
「フジファブリックは歌さえうまくなれれば、更にとんでもないバンドになるのは間違いない」筈だったんですもん。
もっとも、歌はそんなにうまくなくても、「志村さんボーカルのフジファブリック」は、私にとって日本一のバンドですけど。
どれ程望んでも、アンコールはないのですね……
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