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2020.10.17

音楽が憎い

今日の衝撃的なタイトルはNHK朝ドラ『エール』の主人公のセリフから取りました。

今週の『エール』は戦争を描いているので、見るのがちょっと苦しかった。
なんと、森山直太朗さん扮する藤堂先生が亡くなってしまいました。

最初は「歌手の森山さんが素敵な役をやってる~」という感じで見ていたのですが、最近はもう「藤堂先生」としか思えませんでした。「歌ってください」とせがまれ、「みんなの元気のためだ、やるよ」と答えたシーンでは一瞬「えーっ、先生、歌えるの? 大丈夫?」なんて思ってしまった。天下の森山直太朗だってば(笑)。

藤堂先生は、裕一(主人公)をかばうようにして亡くなってしまいました。
戦況が悪かったとはいえ終戦間近だったから、裕一が慰問に行かなければ命を落とさずに済んだのかもしれません。
このエピソードはフィクションだろうとは思ったんですが、実話だったらやりきれない。このドラマは実話とフィクションが混在しているので、気になって思わず調べてしまいました。すると、この先生のモデルになった方は、80歳まで生きたそうです。良かった、本当に良かった(^^;)。

このドラマでは色々な人が美声を聴かせてくれていますが、森山さんはまだでした。死の直前まで温存していたんですね。
……そう思うと、同じく今週たっぷり歌ってくれた薬師丸ひろ子さんの死期も近いのか? そして菊池桃子さんは歌わないのか?

裕一にとって、藤堂先生の死はもちろんショックだったと思うんですが、更に追い打ちをかけたのが近所の少年・弘哉君の死。弘哉君は、裕一の音楽(『若鷲の歌』)に感動して予科練(軍の養成施設)入りを志願したのでした。
藤堂先生は徴兵だから出征するのは仕方ないけれど、弘哉君は志願しなければ戦争に駆り出される事はなかったと思われ……。
お国の為とはいえ、戦意高揚するような曲を作ってきた裕一は、自分を責めると同時に音楽を憎み、曲を書かなくなってしまうのでした。

裕一にハーモニカを与え音楽の楽しさを教え、才能を見抜き、応援してくれたのが藤堂先生でした。
弘哉君にハーモニカを教える裕一は、かつての藤堂先生みたいだったなぁ(涙)。
裕一は戦争で、師と教え子を共に失ってしまったのでした。

裕一は音楽によって生かされてきたような人だったのに、その音楽を憎む事になってしまうなんて……。
それまで音楽の素晴らしさばかりが描かれてきたけれど、ここへきて、その恐ろしさを突き付けられたのでした。
いや、音楽が恐ろしいのではなくて、戦争が恐ろしいんですけどね。
戦争は全てを狂わせる……。

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