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2021.06.18

戦場のメリークリスマス 4K修復版

(東京は)緊急事態宣言の解除が決まりましたね。
ようやく『戦場のメリークリスマス』を観に行ける!
いや、映画館は営業していたんですけどね、なんとなく後ろめたい気がして行けなかったのでした。
何が正しくて何が間違っているのか、わからなくなってる今日この頃です。

『戦場のメリークリスマス』、東京では有楽町・新宿・池袋・吉祥寺・立川で公開中ですが、「4K修復版」と謳われているのに立川シネマシティ以外は2K上映です。
立川シネマシティのホームページには「極上音響上映」と書いてありました。

「忘れがたきは、Merry Christmas Mr.Lawrence の主旋律。永遠の映画主題曲のひとつを、磨き上げ、できる限り美しくお届けするのがシネマシティの使命。ベテラン音響家に依頼し、綿密な音響調整を行って贈ります」
との事。
す、素晴らしい……。

という事で、立川で観る事に決めたのですが、なんと今日が最終日でした。慌てて観てきました。

Me Me01
↑『ヒノマルソウル』も見たい

果たして……
あの「永遠の映画主題曲」が流れた時は体が震えました。PHS時代には着メロにしていた事もある曲です。名曲だなぁ。「磨き上げ、できる限り美しく」届けてくださったんですね。が、「古い映画だよね…」という感じは否めません。1983年の作品だから、38年も前なんですね。「NO MORE映画泥棒」のCMの音の方がクリアできれいだった。とはいえ、やっぱり無茶苦茶イイ曲です。

映像は鮮明でした。さすが4K?

ボウイ・ファンの私はどうしても、ジャック・セリアズの事ばかりを考えてしまうのですが、「セリアズって近藤勇みたい」と思ってしまいました。
新選組ファンになってから『戦場のメリークリスマス』を観るのは初めてなので、こんな事を感じたのは初めてです。
セリアズのあだ名は「Jack 'Strafer'」。「掃射のジャック」。
通訳のロレンスは、「Straferを日本語に訳すのは難しい」みたいな事を言い、悩んだ末に「兵士の中の兵士」と言っていました。「兵士の中の兵士」、日本でいえば、武士の中の武士?

セリアズは、弟思いの優等生でした。
少年時代、数人の悪ガキに取り囲まれ、弟がいじめられそうになると自分が身代わりになって、弟を逃がしてやるという勇敢な一面を持っていました。しかし、多勢に無勢。ボロボロに痛めつけられてしまいます。意識も朦朧となった頃に、弟が呼んできた大人が駆け付けて助けられましたが、「なんで助けを呼んだんだ」と冷たく言い放ちます。
この事件はトラウマになったんだろうなぁ。自分は完璧でありたかったのに、やられるだけ。己の無力さを思い知らされて苦しかったと思います。弟は「お兄ちゃんにも嫌われた」と布団をかぶって泣くのですが、そんな弟を思いやる余裕もないセリアズでした。セリアズも泣きたかったと思う。
そして数年後、青年になったセリアズは、またしても弟が集団でいじめられそうになった時、今度は見て見ぬフリをしてしまうのです。助けを求める弟の声を無視してしまうのです。

セリアズは完璧主義だったと思います。頭も良くてルックスも良くて勇気もあった。
「弟さえいなければ完璧な自分でいられる」という思いがあって、弟がかわいいと同時に憎い事もあったのかな。青年セリアズの頭に少年時代の事件が蘇り、かつての無力感を味わうのがイヤで弟を助ける事を拒否してしまったのかもしれないけれど、助けなかった事で更なるトラウマを抱えこむ事になってしまったのでした。後ろめたすぎて、弟とまともに向き合えなくなってしまいます。

セリアズはその後、立派な弁護士となって「完璧な自分」を取り戻そうとしたのかもしれません。が、世間からは一目置かれるような存在になってみても、「完璧な自分」にはなれない事に気づき、いてもたってもいられないような思いで志願兵となったのかも。

近藤勇は、農民の子でした。
優れた剣術の腕を見込まれて武士の養子となりました。
幕府の剣術指南に採用され「これで完璧な武士だ」と思ったら、「武士が農民に剣術を教わるなんて」という理由で取消になってしまいました。この事は彼のトラウマになったと思います。「このままでは理想の自分になれない」という思いで、いてもたってもいられないような思いで京都に行ったのかも。「武士よりも武士らしくいたい」というのが近藤のポリシーでした。

最初に『戦場のメリークリスマス』を観た時は、「セリアズってば、反抗的過ぎ」と思いましたが、「怖気づいてしまった過去を悔やみ、強い物に立ち向かいたかったのでは?」と今は思ったりもしています。
弟を助けられなかった償いに、ロレンスやヒックスリー(俘虜長)を救おうとしたようにも思えます。

武士よりも武士らしかった近藤は、切腹を許されず斬首となり首が晒されました。
兵士の中の兵士・セリアズは、首だけ出した状態で体を土に埋められました。つまり結果的には晒し首のような状態。
どちらも完璧じゃなかったかもしれないけれど、尊敬される存在になりました。

冒頭では、「『NO MORE映画泥棒』のCMの音の方がきれい」なんて思ってしまった音楽ですが、セリアズの弟の歌声は本当に美しく、そこでも震えてしまったのでした。テーマ曲と同じ位好きな曲です。

セリアズの家が、ドキュメンタリー番組で観たボウイの生家の雰囲気と似ていて驚きました。わざとなのか偶然なのか? あるいは、日本人にはイギリスの家が皆似たような感じに見えちゃうのかもしれません。

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