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2008.10.03

武士道/新渡戸稲造

世界的ベストセラーだそうですが、未読だった新渡戸稲造の『武士道』を読みました。矢内原忠雄さん訳の岩波文庫版です。
あ、これ、外国人向けに、英語で書かれた作品なのです。
矢内原さんの訳は、クラシカル(?)な文体。趣はあるのですが、やや読みづらいです。別の方の新しい訳も出ているようなのですが、そういうのはもっと今風で読みやすいのかな?

武士道 (岩波文庫)これを書いたきっかけというのが面白かったです。
西洋人は宗教で道徳を学ぶのだそうです。日本人はそんな事はないですよね。「宗教を学ばないでどうやって道徳を学ぶんだ?」と外国人につっこまれた新渡戸さん、考えた末に「武士道があるじゃん!!」と思ったようです。
この本には武士道についても書いてありますが、武士道について語っているというよりも外国の人から指摘される「ここがヘンだよ日本人」的な部分の弁明(本の中では「被告人の立場」と表現されてます)や説明をしているような感じでした。「ヨーロッパにもこういう例があるでしょ、この部分は似てるよね、ここは違うけど」みたいな感じで比較文化論的な事も書いてます。

現代の日本人が読んで驚くような事はそれ程書いてないのですが、リアルタイム(1900年)に読んでいたら無茶苦茶面白かったと思います。「よくぞ、誤解を解いてくれた!!」と喝采したかも。

「武士道」という言葉からは「士道」→「新選組」と連想する私ですが、この本には新選組は全く登場しませんでした。「賊軍」の烙印が押されてる頃だから仕方ないか。ちなみに幕末人としては勝海舟や久坂玄瑞の名前が出て来ました。あと、印象的だったのはこんな記述。

「現代日本の建設者たる佐久間、西郷、大久保、木戸の伝記、また伊藤、大隈、板垣等現存せる人物の回顧談を繙いて見よ――しからば彼らの思案および行動は武士道の刺激の下に行なわれしことを知るであろう」
筆頭に挙げられる佐久間って誰? 象山先生? いくら長州の心の支え・吉田松陰の師とはいえ、他のメンバーを見るとちょっと毛色が違うような気がするのでなんかビックリです。
そして、この頃は伊藤博文や大隈重信、板垣退助が生きていたのですね〜。
つまりもちろん、斎藤一も

新渡戸さんって、クリスチャンだったそうです。
そして、奥様はアメリカ人だったとか。
そんな、「武士」という言葉からはやや離れたイメージのある方が、こういった本を書かれている事が興味深かったです。
ただ、新渡戸さんによると、武士道が目指したものは戦わない事、平和である事だそうで、それは「えっ???」って感じです。本当かな〜? ま、現実と理想は違うって事でしょうか。

そんな平和主義(?)の新渡戸さん、日本とアメリカ両方の事情にお詳しいので架け橋的存在になる筈が、日本が軍国主義に傾いてしまったせいで板ばさみになって大変なご苦労をされたようです。何が災いするかわからない物ですね……。

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コメント

ひゃぁぁ〜(>д<)
YAGI節さんはこれを読まれたんですか!?
凄いです。私もこの本ではないのを買ったんですけど(別解釈の本だと思う)、10ページ位しか読めてません(苦笑) 日本史大好きな私の母でさえ、挫折したんですよ〜。
私の県では、だいたい小学生か中学生の遠足には、この人の記念館に行くんですけど、もちろん理解出来ず(^-^;
難解なんだけど、またチャレンジしてみようなぁ。。。

>西洋人は宗教で道徳を学ぶのだそうです。日本人はそんな事はないですよね。「宗教を学ばないでどうやって道徳を学ぶんだ?」と外国人につっこまれた新渡戸さん、考えた末に「武士道があるじゃん!!」と思ったようです。

これは聞いた事ありました〜。
日本人は宗教教育と言うものがないのに、道徳観念がキチンとしているのは何故かと。教えられなくても普段の生活から武士道精神が身についていて、その生活も神がかっている不思議な民族だと。昔の話ですけどね。。。

投稿: Mini子 | 2008.10.04 19:09

Mini子さん
お〜、地元のヒーローなのですね♪>新渡戸さん

『武士道』、読んだ事は読んだんですが、一部脳が吸収しようとせず、カキンカキンとはね返していると思われる部分ありました。
でも、退屈しそうな所で熊谷直実(歌舞伎でお馴染み)の話が出て来たりと巧みに引き付けてくれました(笑)。
ただ、数年前だったら、私も途中で投げ出していたかも。
Mini子さんも、新選組の本をたくさんお読みになった今なら、また違った気持ちで読めるかも知れませんよ、刀の事とか切腹の話とかも書いてありますし。

あ、もしかして、Mini子さんがお持ちの物、旧仮名遣いだったりするのでは?
そしたら、読むの大変ですよね〜。
私が読んだ物は表現は古めかしいけれど、表記はきっちり現代風になっていたので助かりました。

投稿: YAGI節 | 2008.10.04 23:54

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